ブリッジができない?インプラント?入れ歯?


以前に、黄色の歯を抜歯したため、両隣の歯(白矢印)を削って3つつなげてかぶせました。この形態のかぶせものを「ブリッジ」といいます。

この症例では、右の白矢印の歯が折れてしまい、抜歯することとなりました。奥の歯が折れてしまうと、ブリッジによる治療ができなくなります。 

ブリッジは、抜歯した歯の両隣に歯があるからできる治療です。ブリッジの支えとなっている奥歯を失うと、橋渡しする歯(歯根)が無くなるため、ブリッジはできません。そのため、治療法としては、以下の3つが考えられます。

そのまま放置
入れ歯
インプラント

をご選択いただいた場合、短期的には大きな問題はありませんが、長期的に見ると、反対側の奥歯や前歯に負担がかかります。負担のかかる部位に、「神経の治療をした歯(いわゆる差し歯)」があると、歯が折れてしまうことがあります。神経の治療をした歯は、10~15年で折れるという文献もあることから、そのまま放置するというご決断は、すすめられるものではないようです。

の入れ歯もひとつの選択肢として考えられ得るのですが、一長一短があるようです。入れ歯は型どりをすれば簡単に製作することができるのが利点といえるでしょう。しかし、入れ歯には「咬む力を支える能力は無い」と言えます。
歯は、咬むと、約30ミクロン動くと云われています。入れ歯は咬むと約400ミクロン動きます。実に歯の10倍以上沈み込んでしまうのです。そのため、入れ歯を固定する歯に負担がかかり、現在ではおススメできる治療とはいえないのが現状です。
これに加えて、発音・咀嚼などの機能も円滑に営むことができません。「しゃべりづらい、食べづらい」を我慢して使用していただくことが前提となります。

インプラント治療は、 ①、②の欠点を解決することが可能です。しかし、手術が必要であること、費用が高額であることが治療の障壁と考えられます。

左下奥歯のブリッジを支える歯が折れてしまい、インプラント治療をした一例です。 白矢印がブリッジを支えている歯、黄色矢印は歯がありません。
歯が無いところ(黄色矢印)と折れてしまったブリッジを支える歯(白矢印 右)の箇所にインプラント2本埋入しました(青矢印)。

歯が折れた原因は、歯への過重負担です。咬む力が強すぎて、歯が折れるのです。
その力に対抗する治療法としては、①放置 ②入れ歯 では治すことはできないでしょう。すこしずつ歯を失ってしまうことは目に見えます。

症例が異なれば、最善の方法は異なります。インプラント治療が最高の治療ではない場合もあります。歯を失った原因を突き止めて、再発しない改善できる治療法を共に考えたいと当院は切に願っております。