治癒への近道

北九州でご開業されている筒井照子先生の3か月にわたる講習会も先日で修了。
大変多くのことをご教授頂き、学ばせて頂きました。

以前、私は卒業後に大学院へと進学し、補綴学を学びました。
主任教授から「自分の都合のよいところばかり見ていてはダメだ。
病態の原因は何か?診査は十分なのか?診断は間違っていないのか?」
ということを、研究、臨床例検討会や抄読会などで教えて頂きました。

歯科は「どう治すか?」ばかりに集中し、 「なぜこうなったのか?」を明らかにしていなことが多くあります。

HOW(どのように治す)ではなく、WHY(なぜそうなったのか?)を追究すること。
病態へと陥った原因をみつけることなく、治癒することはない。

原因を追究することが治癒への近道となります。
原因、つまり病態への崩壊の道がわからなければ、治癒への道はわからない。
ゴールもわからず、あてずっぽうに走り出してもゴールには着かないでしょう。

医療における一番大切なことを、再確認させて頂き、多くのことをご教授頂きました。

「治癒」とは、我々歯科医師が考える理想的な「かみあわせ」にするのではなく、発症していなかった時に戻すことだ と筒井先生は説きます。

歯科疾患とは、「炎症(むし歯・歯周病)」と「力(かみあわせ)」のコントロールです。

個人差はありますが、そのバランスが崩れると、病態が発症します。

まずはその原因はなにか?を探ること。
原因はひとつではないことがほとんど。
絡み合った一つ一つを仮診断と治療で紐解き、崩壊の道を逆戻りし、原因を追究することで、「治癒」へと導きます。
それには時間が必要でしょう。

治療後は、患者さま一人ひとりのもつ「恒常性のふり幅」におさまっているかを、メンテナンスで確認する。

成長期を過ぎると、「生きること」は、身体を歪ませ、壊していきます。

そのため、治療の終了が「終わり」ではなく、「はじまり」なのかもしれません。

口腔を通して患者さまが健やかに成長し、元気にゆるやかにエイジングしてくださることが我々の仕事だと考えています。

患者さまとは 永い永いおつきあいになりますね。

このたびの講習会参加は、初心を思い起こし、自分をバージョンアップできるとても有意義なものでした。