かかりつけの歯科医院で、ハイブリッドセラミックスインレーを製作・装着しては外れ、装着しては外れを3回位繰り返し当院を来院された患者様。
かかりつけの歯科医には、「むし歯が神経に近いから、次やるときは神経とるかも」と言われ、ちゃんと治療できるところを探して当院を受診されました。3回外れて、最後には神経を取るほどのむし歯?と診断したかかりつけ歯科医。3回外れている間に何か対処できなかったのでしょうか?
その間の患者様のご心労と忍耐に、頭の下がる想いです。
むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。治療前には歯面を洗浄・消毒した上で治療に臨みます。
詰め物(インレー)、かぶせもの(クラウン)が外れるには”理由”が必ずあります。
それを診断するのが歯科医師の責務です。
むし歯を削って歯をかぶせるのが歯科医師の仕事ではありません。歯科医師の仕事は、「咀嚼機能の回復で」です。
美味しく食事ができるようにすることで、全身の健康に寄与することが歯科医師の責務といえるでしょう。
詰め物が外れたのは、詰め物のせいではなく、他に原因があることを知り、それを突き止める必要が歯科医師にはあるでしょう。
理由は2つです。「むし歯が残っている」「かみあわせの問題」、原因はこれのみです。
本症例では、目に見えるむし歯が認められます。また、インレーはギリギリした時にも接触しています。かみあわせに問題ありです。
齲蝕検知液を使用してむし歯を診査します。マイクロブラシを使用して染色し、水で洗い流します。微かにでもピンク色に染色された部分はむし歯です。
1cmにも満たない歯の内部のむしばを取り除くには”肉眼での治療”は困難を極めます。
治療内容を見ることのできない歯科治療。ご不安に感ずることも多いでしょう。
当院ではそんなご不安を解消できるよう、治療の前後だけでなく、治療中の様子をマイクロスコープで動画で記録し、患者様へのご説明に役立てています。
動画は肉眼の8倍拡大率でむし歯を削り取っている様子です。むし歯は感染症であり、すべて削り取れば必ず治ります。
むし歯のみを削り取り、健全な部分は削らないように配慮しつつ慎重に治療を進めます。
ラバーダムを装着しているため、喉へ水が流れることはありません。長時間の治療ではありますが患者様はその点、辛さは少ないようです。
肉眼の12.5倍に拡大率を上げ、むし歯の取り残しがないか、繰り返し精査します。
むし歯は2箇所で歯の神経に達していました。スポットライトで照らした部位がその箇所です。
むし歯を取りきり、精査します。
スポットライトを当てている部分に「亀裂(ヒビ)」が認められます。
本症例のむし歯の原因は、磨き残しではなく、かみしめにより歯にヒビが入り、そこから細菌が感染したことです。
このような症例は珍しいことではありません。
かみしめ、歯ぎしり、くいしばりには注意が必必要です。神経の露出した部分を薬液で十分に洗浄・消毒します。
露髄部以外をコンポジットレジン樹脂で覆います。
神経を保護する薬(覆髄材)、MTAを貼薬します。
MTAは高アルカリ性で抗菌作用を有する優れた覆髄材です。その優れた効能を科学的に証明する論文も多く、信頼できる薬剤といえるでしょう。
当院では多くの症例で応用し、良好な結果が得られています。むし歯が深くても、神経に達していたとしても、歯の神経は残せます。安易に神経をとってはいけません。
適切な診断基準に基づき、ラバーダム、マイクロスコープそしてMTAを活用して、歯の神経を残しましょう!
インプラントする前に、歯を抜かないように!
歯を抜かないようにするために、徹底的な根管治療を!
歯の神経を抜かないようにするために、徹底的な歯の神経を残す治療を!
ここに注力している歯科医院、
ラバーダム、マイクロスコープ、MTA。この3つを活用している歯科医院は、
歯医者の選び方、歯科医院の選び方の1つの基準といえるでしょう!!