ラバーダム 根管治療《口が開いていられない》メール相談

当院のyoutubeチャンネルの動画に、ラバーダムについてのご質問を頂きました。
患者様皆様が感じていらっしゃる内容です。ぜひご活用下さい。

《 ご質問 》

治療中は口で呼吸出来ない、もしくはしない方がいいんですかね?

自分口呼吸なので鼻だけだと少しきつそうに思えるんですが…。 

それと口は大きめに開かないと駄目ですか?

30分は顎がもちそうにないです。

《 回答 》

大変意義あるコメント、ご質問をありがとうございます。

おっしゃる通りです。

長い時間お口を開いて、尚且つ鼻で呼吸し続ける。慣れないと、とてもとても大変に感じることでしょう。

でも大丈夫、必ずできるようになります。

また、「ぜひできるようになって頂きたい!」これが一番の願いです。

それはなぜか??

この「ラバーダムが装着できるようになる」ことが、むし歯や歯周病、噛み合わせの問題を無くしてします予防効果があるからです。

これについて解説致します。少し長くなりますが、お付き合い頂ければ幸いです。

最後までお読みいただいたときには、むし歯や歯周病、噛み合わせで歯医者さんへ通院する可能性がとてもとても小さいものになるでしょう。

「ラバーダムを装着出来る」=「歯医者さんへの通院が必要なくなる」の理由をご説明する前に、頂きましたご質問に回答させて頂きます。

『治療中は口で呼吸出来ない、もしくはしない方がいいんですかね? 』

口呼吸はできない程ではなく、しづらくなるかと思います。

治療中、お口の中に水が流れることはありませんので、ラバーの隙間から口で呼吸することはできるようです。

「しない方がいいんですかね?」、結論を申します。

ラバーダムをするしないに関わらず、「口で呼吸はしない方がいい」でしょう。
後ほど解説致します。

『自分口呼吸なので鼻だけだと少しきつそうに思えるんですが…』

鼻がつまってしまっており、全く鼻呼吸ができない状況であれば、たしかに、ご推察の通り、少ししづらいかと思います。

そのような患者様には「耳鼻科」へのご通院をお勧めいたします。

これは「ラバーダム」装着のためではなく、全身の健康に大変寄与するからです。
これも後ほど解説致します。

『それと口は大きめに開かないと駄目ですか?』

そうですね、できれば大きく開いて頂けると治療はスムーズに進みます。

でも、歯医者さんにいらっしゃる患者さまは、そのほとんどの方が「お口は大きく開けることができません」(笑) 

皆さんお口、小さいです。お口を開く習慣が少ないのでしょう。
これについても後ほど解説します。

そのため、当院では少しずつ開いて頂けるように、治療時間も少しずつ伸ばしていきましょうとご説明させて頂いております。

皆さん、2~3回目には大きくお口を開いていられるようですよ。

いきなり大きなお口は開けられないものです、できることを少しずつ少しずつです。

『30分は顎がもちそうにないです。』

30分持てば最高です。十分です。

それでは、『ラバーダム装着が装着出来る』=『歯医者さんへの通院がいらない』
について解説します。

ラバーダムを装着出来るようになる方は、以下の2つが出来る方です

① 大きなお口を開けることができ、それを持続できる

② 基本、いつも鼻で呼吸している

逆を云うならば、ラバーダムを装着出来ない方は、以下の2つの悪条件をもっています。

① 口が開かない

② 口呼吸

なぜこれらが悪条件なのかを解説します。

① 口が開かない

口が開きづらい、開かない方は、必ず「かみしめ、歯ぎしり」をしています。

上下の歯はいつも接触しているものであるといった固定観念もあるようです。

上下の歯は、健康であれば、1日のうち、7分から15分の接触時間であるという有名な研究論文があります。

その接触は、嚥下(飲み込む時)と咀嚼(食べる時)の2つの時だけで。

その際の噛む力はグラム単位の少ないもの。平時は基本「接触しない」のです。

口が開かない方は、いつもいつも、寝ても覚めても噛んでいることが常となっています。

そのため、噛む方向に働く筋肉は硬直し、筋肉痛を起こしています。

腕の力こぶを形作る「上腕二頭筋」の筋トレばかりすると、腕をのばしづらくなり、柔軟な腕の動きができなくなるのと同じです。

お口が開きづらく、開けることができません。

「かみしめ」「くいしばり」「歯ぎしり」にはその原因に諸説あります。

・歯並び

・全身姿勢

・ストレス

この中でも、「ストレス」が大きな要因を示すようです。

「かみしめ、歯ぎしり、食いしばり」が強く、その頻度が多い方には一つの共通点があります。

「物事に真面目に取り組まれる姿勢」です。

真面目に、几帳面に、しっかりと物事に取り組まれる精神性だけでなく、周りの方々へ細やかな配慮をされる人間性から、その困難を乗り切る際、「かみしめ」「食いしばり」「歯ぎしり」をされているようです。

「かみしめ、食いしばり、歯ぎしり」の際、脳内ではβエンドルフィンといった脳内麻薬が放出されます。

これには「健忘効果」があります。

つまり、「歯ぎしり」していることを忘れてしまうということです。これにより、皆さんほぼほぼその自覚がありません。

かみしめの力は絶大なるものです。歯が折れる、ヒビが入るほどの力を込めることが研究論文からも明らかにされています。

「一生懸命歯ブラシはしているけれど、奥歯がいつもむし歯になる。」

こんな患者様が多数いらっしゃいます。これは歯ブラシしていないからではなく、「かみしめにより歯にヒビが入り、そこにむし歯の細菌が感染してむし歯になっている」これが原因なのです。

こういった患者さま、大変多い。

歯ぎしりやかみしめ、食いしばりをしないこと。これをご自覚頂くことで、その頻度と強度は大幅に軽減されることが論文で明らかにされています。

ではどのようにしてそれを予防するのか?を解説します。

① 自覚すること

② 口を開くエクササイズをすること

③ 全身のストレッチをする、歩く

④ 舌を口蓋に、口を閉じて、鼻呼吸

この4点です。

詳細はまたいずれどこかの場所でまた解説致します。

簡単なのは、②お口を開けることです。

身体の姿勢を整えて、
「あ」
「い」
「う」
「べ(ベロを前につきだす)」

これを5秒間ずつ、3セット、朝昼寝る前、いつでも何度でもやってみましょう。

噛む筋肉がリラックスしてお口が開くようになります。

また、平時の時は、舌を口蓋につけて、上下の歯は接触しないように、前歯で1~2mm程の隙間を感じつつ、上下の唇は軽く接触、閉じて鼻呼吸です。

いわゆる「座禅」「瞑想」をする際の状態です。この状態を常としましょう。

かみしめは少なくなり、口は開くようになります。

お口を開けるようになるだけで、かみしめしなくなり、お口周りの様々な問題を予防・解決することが可能です。
簡単なのでぜひ!

②口呼吸

「口呼吸」は悪です。ぜひ改善したいものです。

ヒトは基本、原則「鼻」で呼吸する動物です。
そのように作られている生物です。

そのため、「口」で呼吸するのは「何らかの問題を抱えている異常な行為」と判断し、改善することが必要不可欠です。

鼻で呼吸することで、外界からの異物、細菌、ウィルスなどを鼻粘膜のフィルターで除去し、体内へ酸素を供給します。

「優れたフィルター」が鼻粘膜です。

これを通さず「口」で呼吸することは、体内へ「異物、細菌、ウィルス」を取り入れてしまうことになります。
これは良くありません。

でも鼻呼吸が常となっていない方もいらっしゃるでしょう。その要因としては以下のことが考えられます。

① 鼻疾患(花粉症など)

② 歯並び

③ 全身姿勢

④ ストレス

①②はぜひ、耳鼻科、歯科で改善しましょう。

③は④と関連していることがしばしばです。

口呼吸となっているそのほとんどが、④です。

前述致しましたが、④のストレス、身体的ストレス(疲労)により身体が疲れると、肩は落ち、背中は丸まり猫背となりがちです。

また精神的ストレスにより、呼吸は浅く不規則。

ゆっくりとした呼吸ができず、腹式呼吸から胸式呼吸となりがちです。

胸式呼吸では十分な呼吸ができないため、口が開き、酸素を摂取しようとする。

すると口内は乾き、唾液は乾燥。免疫機能が低下する。。。この悪循環となります。

口呼吸により、唾液が少なくなり、むし歯・歯周病になり易くなります。
口呼吸はぜひぜひ改善して頂きたいところです。

ラバーダムを装着できるということは、

・お口があけていられるということ
・鼻で呼吸ができるということ

です。お口を開くだけで、鼻で呼吸することができるようになるだけで、予防できることが沢山あります。
ぜひご参照頂きご活用ただければ幸いです。

長文お付き合い頂きましても誠にありがとうございました!

本動画のタイムスケジュールです。ご活用下さい。

00:31 3カ月前の「歯の神経を残す治療」の様子
02:33 3カ月後の歯髄壊死 根管治療 術前
03:29 無痛麻酔の様子
07:41 ラバーダムの試適・調整
09:18 ラバーダムの装着
13:25 治療開始 コンポジットレジンを削り取る
13:22 以前、MTAで覆髄した部分はどうなっていたのか?
15:20 歯髄壊死を確認
15:51 根管治療開始
17:10 4つの根管入り口とCT
17:39 根管の先端を模索(穿通)
18:42 根管治療とはえんとつ掃除のようなもの
25:37 SEC01で根管の先端を穿通する
28:59 ゲーツグリデンドリルで清掃
31:10 ニッケルチタン製ファイルで清掃
35:49 根管内を次亜塩素酸で音波洗浄
39:16 根管内を吸引・乾燥
40:14 水酸カルシウムを貼薬
44:03 ラバーダムを取り外す
45:27 動画を見ながら術後のご説明
49:26 動画終了

宮﨑歯科医院 Youtubeチャンネル