ラバーダムは、どんなに小さな虫歯でも使用するのが良いですか?カリソルブ?

カリソルブは古い治療法だったんですか?

自分はネットで最新の虫歯治療を知りたく検索したらとある歯医者のホームページでスウェーデンの最新虫歯治療法として歯を削らないカリソルブを紹介してたのを見て質問させていただきました。

先生の動画をいくつか見てほんとにレベルが高い治療してるんだなというのが素人ながらよく分かります、しかし自分は東京在住ではないのが本当に残念です。

先生に質問なのですが自分は近くの歯医者で診察をしたところC1の虫歯が2本ほどあると言われました、この場合の最適な治療法はなんでしょうか?

またラバーダムというのはどんなに小さな虫歯でも使用するのが良いですか?

それともこの動画くらい深い虫歯じゃないとラバーダムは意味ないですか?

言葉の表現が適切ではありませんでしたので、注釈します。

ヨーロッパ歯内療法学会でラバーダムとマイクロスコープに断髄法という手法が認められたのが一昨年だったでしょうか。

それと比較して、カリソルブは、1987スウェーデンで開発され、臨床応用が1998年。

薬事承認が2007年(私の記憶では2000年だったかと思っておりましたが、薬事承認はそのあとだったのですね)だそうです、これすべてWikipediaです。

つまり20年近く前の治療法なので、最新とは言い難いなあと。私が歯医者になりたての頃に騒いでいた治療法というのが脳裏によぎったので、そのように回答しました。

悪い治療法という意味ではありませんので、ご理解ください。

東京在住でなくとも、南は沖縄、北は北海道、日本に関わらず海外からもご来院いただいていますが、歯医者は近いほうがいい(笑)

できれば、近隣の歯科医院で、最寄りの歯科医院で、少し足を延ばしてでもご自身にあった歯科医院をご選択ください。

「最適な治療法は何ですか?」とのご質問に回答します。

これは、3つの因子により、「最適」の意味合いが変化します。

①患者様の希望と心配

②患者様のもつ知識の正否

③歯科医師の持つ知識と技術

歯科医師がいくら歯科医学的に正しいことを患者様に進めても、

たとえば

・痛い治療は嫌だ

・リスクは負いたくない

・やりなおしになる位なら、歯の神経と取ってほしい、なぜならこれから海外出張を控えているから

・費用的に高額な保険外治療は難しい

・いくら正しき治療でも、遠方への通院は難しい

③があったとしても、①に合わなければ、それは、その患者様にとっての「最適」な治療法ではなくなります。

しばしば、②の患者様の知識が間違っていることもあり、その修正をするのですが、このインターネット社会、ご自身で得たと“勘違いしている”情報をうのみにしている方がとても多い。

ご自身の意志で探し得た知識というものは、人は「正しい」と認識してしまうものです。 検索はGoogleにコントロールされているにも関わらず。。。

この大前提のお話しをしておかないと、実際に拝見していないため、いい加減な回答となり、いい加減な知識を患者様が獲得してしまうことは、私の本意ではありません。

私が治療する場合の最適。 違う先生が治療する場合の最適。

そして受ける患者様にとっての最適。 これはすべて異なります。

そのため、まずは、今回頂いたご質問を、これから受診する歯科医院のご担当の先生と相談されてください。

しかし、その先生には「できること、出来ないこと」があります。 マイクロスコープが無い歯科医院へ行って、マイクロスコープの話をしても意味がありません。

マイクロスコープが無い歯科医院へ行って、マイクロスコープの治療法の正しさを論議しても意味はありません。

カリソルブをやってない歯科医師へ、カリソルブの妥当性を話しても時間が無駄になってしまいます。

ぜひ、その歯科医院でやっている歯科治療を事前に調べ、その歯科医院出来る内容が、ご自身の希望にあっているかを、その歯科医院の先生と一緒に考えて下さい。

これを踏まえ、私ならばの「最適」を以下にご説明します。

C2というのは、歯の2層目、象牙質にむし歯が達している状況です。

C2には、浅いむし歯つまり、エナメル質直下のむし歯から、歯の神経に近いむし歯までと、その範囲があいまいです。

そのため、当院では、象牙質に達している状態の場合、レントゲンでまずはチェックした上で、CT撮影を行い、歯髄にまで残り『1.1~1.5mm』となっている症例では、必ずラバーダムとマイクロスコープで治療に臨みます。

これは、むし歯が歯を溶かし感染、2層目の象牙質があと1.1~1.5mmとなった時には、神経に炎症の兆しが認められる(=歯髄炎)という、Ricucci先生の文献を根拠としています。

つまり、露髄していなくても、神経はすでに炎症を起こしている、もう歯髄炎になっているということを表しています。

歯髄炎になった状況で、ラバーダムもなく削ることで、感染・炎症を惹起することがあります。これでは治療の意味がありません。 このことについては以下のリンクをご参照ください。

『歯の神経の炎症(=歯髄炎)は、いつ始まるのか?』について https://www.youtube.com/watch?v=Ukmi7sQBdUc&t=335s

『歯髄が生きている?死んでいる?どうやって見極めるの?診断基準とは!』 https://miyazaki-dentalclinic.com/27821

神経に近いむし歯治療後にズキズキと痛くなり、抜髄に至る。

こんなお話しをよく耳にするでしょう。 これには以下の理由が考えられるのです。

①治療中に感染させている

②むし歯を取り残している

③露髄はしていなかったけれど、そもそも歯髄は炎症状態にあった。

ただ、免疫と平衡がとれていたけれど、治療をきっかけに痛みが発現した これです。

こういったことが無きように、術前の診査がとても大切になるのと考えています。

これを踏まえて言うならば、この条件より軽症の場合であれば、ラバーダムは要らないのではないか?と考えています。

事実として、すべての症例でラバーダムを使用しているわけではありません。

この回答が少しでもお力になれていれば幸いです! あとは、ご自身がご決断された歯科医院でご相談下さい。 よろしくお願い致します。ありがとうございました!