根管治療を終えても痛みがある

先生、この前から度々ご相談させて貰ってる者ですが、根管専門医の所で、根管治療終え、悩みながらも本詰めもしたのですが。

やはりまだ痛みが出る時があるのです😭 専門医には、歯ではない、、筋肉の関係だと思うと言われたのですが、、。

根管治療中、おそらく、三箇所中、一カ所だけチクチクした痛み→(以前から痛かった場所)があったのですが、先生にはその時言えず。ラバーダムしてるので、聞いて貰えない限り、アピールも出来ずで😞

先生の動画で、勉強していたので、ちなみに治療後に根管数を聞いてみたら3つで、でも根っこが繋がっていたと言われたのですね。。

歯軋りもするタイプではあるのですが、どうしても筋肉の関係とは思えないのです。まだ感染している箇所があるのではないかと、、思ってしまうのです。

ちなみに、根管治療って何回でも出来るのですか😢

三回目は専門医さんでしたが、自分の気持ち的には、治らなかったという状況です😭

コメントを拝読いたしました。

実際に拝見していないため、ご病状が全く分からず、適切な回答ができないことに苦慮しております。

ご担当されている先生は、根管治療の専門医の先生であることから、ご病状をよく知る専門医の先生の見解が、信頼できる見解ではないかと感じております。

以下に、痛みが治まらないような症例の場合、どんな可能性があるのかについて回答させていただきます。

今回のご病状に対する回答ではなく、私が痛みが治まらない症例の場合、どのように考えるのか?という内容となっております。

その点ご理解いただいたうえで、ご担当の先生とコミュニケーションをお取りいただき、ご希望に叶う歯科治療をご選択いただければと感じております。

①根っこの先に膿が溜まる「根尖病巣」の原因は何か?

一般的に、根尖病巣とは、歯の根っこの先、歯を支える骨が溶けてなくなり炎症を起こしている状態をいいます。

その原因は細菌の感染です

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症で、むし歯を放置、その感染が歯の内部深くにまで進行することで、根っこの先にまで炎症が及び、骨が溶けてなくなります。
ときにはそこに膿が溜まり歯茎が腫れてしまうこともあります。
レントゲンやCT画像上で、歯の根っこ先が黒く写ります。

原因は、むし歯つまり細菌感染ですので、その感染を取り除けば、根尖病巣は治ります。

その治療が根管治療です

ここで知っておいていただきたいことがあります
根管治療とは、歯の内部の感染を取り除く治療です

病状が進行してしまい、歯の内部だけでなく、歯の外部にまで感染が及んでいる症例では、根管治療だけでは治りません。
歯根端切除術という手術が必要です。

そのため、根管治療に限らず、むし歯治療は、早期発見早期治療が必要となるのです。

しっかり治療したい!
それに役立つ2つの治療機器、それがラバーダムとマイクロスコープです

むし歯の細菌は0.5~1.0㍈で目には見えません、そしてその細菌は唾液中に存在します
その感染を徹底的に見える化するマイクロスコープ、そして治療中に唾液を接触させないラバーダム、これがむし歯治療や根管治療を助ける治療機器となります! 

②根尖病巣は治らないのか?治らない場合はどういう時か?

『根管治療しても治らない、痛みが治まらない、痛みは治まったけれど、違和感が残っている、腫れている』なぜですか?

こんなご質問を大変多く頂きます

その理由はこの5つです。

①痛みの原因は、治療が不十分であること
②痛みの原因は、歯の内部である「根管」にはないこと
③痛みの原因は、他の歯にあること?
④痛みの原因は、むし歯ではない?こと
⑤痛みの原因は、歯ではない…こと です

①これは患者様にとっては判別が難しいでしょう。
治りが悪い時は、まずはご担当の先生とご相談の上、大学病院の専門科や根管治療専門医の先生を紹介してもらいましょう
御自身で探すときは、根管治療専門医、ラバーダムとマイクロスコープCTを完備した歯科医院などご選択頂きご相談されてください

②の「痛みの原因が、歯の内部「根管」にはない」

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。
根管治療は『歯の内部のみ』の感染を取り除く治療です。
根管が複雑な場合は、その感染が取りづらい場合があります。
以前の治療で器具が残っていたりすると尚更ですが、術前のCTで事前に知ることが可能です。
また度重なる根管治療のため、歯の内部が壊れている(根っこの先が壊れている、穴が開いている、ヒビがある)場合も痛みは緩解しますが、違和感は残ります。
病状が侵攻すると、感染が歯の外部に波及している場合もあります。
これは、症状が多少和らぎますが、根管治療だけでは治りません。
歯根端切除術が必要となります。

このように、歯の内部の感染が原因ではない
つまり、
・度重なる根管治療で歯が壊れている
・歯にヒビが入っている
・歯に大きな穴が開いている
・根管内に異物があり、それ以上根管治療できない
・感染は歯の内部ではなく、外部にまで及んでいる

こんな場合は、痛みや違和感は、根管治療のみでは治りません。
その際は、歯根端切除術や再植術あるいは抜歯などが最善の治療法となります

③の「痛みの原因は、他の歯にある?」
患者様の訴える歯の痛みもありますが、両隣の歯の痛みを「その痛みと混同している場合」もあります。

④の「痛みの原因は、むし歯ではない?」

むし歯があっても、以前の根管治療が不十分であったとしても、それが痛みや違和感の原因ではない場合があります。

口の中の痛みの原因は、3つです
むし歯、歯周病そして噛み合わせです

痛みの原因は、本当にむし歯なのか?「歯周病」や「かみあわせ(かみしめ、はぎしり、くいしばり)」ではないのか?を調べてもらいましょう。

たとえば、上顎の大臼歯などは、「トリガーポイント」といって、噛みしめによる咬筋や側頭筋の筋の緊張による痛みが、歯に感じられるということがあります。
原因は「筋の緊張」つまり「無意識のかみしめ」であり、むし歯が原因ではありません。
これは大変よくあることです。

このような症例に対して根管治療を行うと、一旦、上下の歯が接触しなくなるため痛みは治まりますが、しばらくすると、噛みしめによる筋の緊張が生じて、痛みや違和感は再発します、治りません。

このように、そこにむし歯があったとしても、痛みの原因は「他にある」ということもあります。

⑤の「痛みの原因は、歯ではない…」
長期間、あまりに痛みに悩まれることで、歯には問題がないものの、痛みは感じてしまうという状況が起こるようです。

痛みは身体にとってのサイレンです。
その感覚は、末梢で感じるものではなく、「脳」で感じています。
通常なら、末梢に、つまり歯に問題があり、それを知らせるために脳にサイレンを鳴らす、つまり「痛みを感じる」ことで脳に知らせます。

しかし、心配や度重なる痛みや違和感の持続により、末梢では何も問題がないにも関わらず、何かのはずみで痛みを感じてしまうという事があるようです。
心配性で我慢強い方が、この病状に陥りがちのように感じています。
これは大変難しい病状です。

①はしっかりとした根管治療で改善します、ラバーダムとマイクロスコープは大変有効でしょう!
②~④については、一つずつ鑑別診断していけば、必ず、必ず治ります。

適切な根管治療後、痛みや違和感が残る場合はこの点をぜひチェックしてみて下さい!

これには、ご担当の先生の十分なるコミュニケーションが不可欠でしょう!

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