咬合調整(かみあわせ)

かみあわせの違和感を赤矢印に感じるとの訴えより精査。

下顎の最後方臼歯はすでに失われており、違和感を感じる歯は、根管治療が為され、根尖に病巣があるとともに、歯根膜腔の拡大が認められる。

この原因は何か?

患者さまは歯ぎしりを自覚されており、その咬合接触関係を診ると、右写真の「咬合調整前」のような接触関係となっている。

上下顎の接触を「赤」と「青」で示している。
 赤と青ともに接触はエリア(面接触)を呈しており、本来再現すべき銀歯の溝や凹凸は不明確。

赤い点はカチカチと噛んだときの接触関係を示し、青い点は下顎を左右側方に動かした時の接触関係を示している。

銀歯の接触関係としては、青い点はない方が良い。
また、赤い点はエリアではなくポイント(点)、つまり上下顎が「点接触」となっている方が良い。

歯は、云わば「包丁」であり、面で接触する歯は、「鈍った包丁」ということ。

つまりは、より力を加えなければ咀嚼することは困難であり、この歯の位置での面接触と側方運動における接触は、「ブラキシズム(歯ぎしり)」を誘発することとなる。

また、対側の歯は喪失しており、この接触関係における この銀歯に対する負担は過大なるものとなる。

適正な接触関係は、その歯の寿命を永きものとする。
そのため、銀歯に穴があかない程度に接触関係を調整。
点接触とし、側方運動時の接触関係を示す青い点の接触は除去することなる。
調整後の口腔内写真が「咬合調整後」である。

患者さまの感覚は、調整後にすぐに良好となる。
本来ならば、さらに歯の「溝や凹凸」を明確にしたいところであるが、
さらなる調整により穴が開くことを懸念してこの程度の調整とする。

「かみあわせ」に関しては、患者さまも、我々歯科医師の中でも、
「この程度でいいかな、、、」というあいまいな認識を持っているように感じる。
「すこしすれば慣れるかな、、、」確かにそうなることもある。

しかし、
少しのひずみなら適応できるが、それが積み重なれば流石に困難。

かみあわせでご苦労を重ねている患者さまを拝見することがとても多い。

こういった基本的な咬合治療をしていれば起きないのでは?
と思うことが多々あるように感ずる。

歯ひとつひとつを大切に治すこと、これに注力したい。