むし歯が深く進行していることが分かった時、歯の神経(=歯髄)を取るべきか否かの決断を迫られることがあります。
「むし歯が深かったので、次回は神経を取る(根管治療)治療が必要です」
「(治療後に)これで痛みがでるようであれば、神経の治療が必要です」
こんな説明を歯科医から受けたことがあるのではないでしょうか?
むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。むし歯治療の目的は、感染した細菌を取り除くことです。放置すると感染が拡大してしまうからです。
歯の神経を取る(=根管治療)ときは、歯に2つの病状があるからです。
歯の内部深くに侵攻した細菌の感染により、
① 神経が炎症を起こし、元には戻らない状態となっている
② すでに神経は死んでしまっている
①を「不可逆性歯髄炎」
②を「歯髄壊死」
といいます。
この2つと、一時的な歯髄炎(可逆性歯髄炎⇒治療で元に戻る)を見分けることが術前に必要となります。
これにはいくつかの簡単なチェック項目があります。
〇 冷たいものや温かいものや食事などの”刺激”の後に、数分から数時間継続する痛みがある。
〇 たたくと痛む、かむと痛む
〇 レントゲンで、歯根周囲が黒く写っている
〇 温度変化に反応がなく、電気的な刺激を加えても反応がない
上記の症状を伴う歯に対して、「神経を残す治療」を行っても効果はありません。
更なる感染拡大を予防すべく、適切な根管治療が必要です。
逆にいえば、上記の症状ではない場合、
〇 1分以内の軽い痛み
〇 かんでも痛みはない
〇 温度、電気に反応する
などの症状であれば、神経を残す治療が可能ということになります。
このような症例では、適切にむし歯を取り去れば、症状は嘘のように改善します。