日別アーカイブ: 2020年10月29日

高さが2ミリに満たない歯は、ラバーダムが出来ない

初めて質問させていただきます。

根管治療中の者です。

虫歯を多く削ったり折れたりして部分的に高さが2ミリに満たない部分がある歯は、ラバーダムが出来ないと思うのですが、そのような場合、根管治療の成功率は大幅に低下するとの理解で合ってるでしょうか?

コメントありがとうございます。

長文となりますが、必要なご説明も加えながら解説させて頂きます。

「2mm以下~?」の本題については、この文章最後の方に記載しています。

よろしくお願いします!

まずはご質問に対する結論から。

「ラバーダムができないならば、根管治療の成功率は大幅に低下する可能性を秘めています」

現代根管治療の礎を築いたkakehashi先生1965年の論文で以下のことが結論づけられています。『微生物(細菌)がいなければ、問題は起こらない』

https://miyazaki-dentalclinic.com/21898

またMöller先生は、1966,1981年の論文で、『細菌が根尖性歯周炎を起こす』と結論付けています。根尖性歯周炎とは、レントゲンで見たとき、歯根の先に黒い透過像が見える状態です。

そのため、根管治療の原則は、以下の3つがポイントとなっています。

①治療の際は、無菌的に行う

②徹底的に細菌を除去、減少させる

③その後は緊密に封鎖して、再感染を防止する

この治療の際に、細菌が侵入することを予防する「ラバーダム」はあって当然然るべきでしょう。

事実、『ラバーダムを装着した時と、装着しなかった時の根管治療の成功率を検証する論文が“無い”』ことから、その必要性が当然のことであり、議論の余地がないことも明白です。

世界一安価で簡便な日本の保険治療では、手間がかかることから、省かれてしまっている現状はありますが、根管治療の際は必ず装着して臨みたい術式です。

根管治療時はラバーダムは必須であり、「ラバーダム防湿ができないなら根管治療は禁忌である」と聖書(世界基準の臨床歯内療法 医歯薬出版)に記載されています。

https://miyazaki-dentalclinic.com/13332

ではここで本題です。

「2mm以下ではラバーダムができないのか?」

当院では、2mm以下の症例でも「隔壁(かくへき)」という術式で、ラバーダムを装着し、根管治療に臨んでいます。残っている歯にコンポジットレジン樹脂を接着し、人工的に壁をつくり、そこにラバーダムを引っ掛けて根管治療に臨んでいます。

ぜひそのようにして根管治療に臨んで下さい。

歯は最後まで抜いてはいけません。

たとえ十分な根管治療ができなかったとしても、たとえ根管治療して違和感が残っていたとしても、天然歯に勝るものはありません。ぜひご自身の歯を大切にされてください!

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