日別アーカイブ: 2022年1月1日

C4から数年放置してしまった歯は治りますか?

質問ですC4から数年放置してしまった歯は治りますか?。歯茎は数年前に腫れ膿が出ても放置しました、今その歯はぐらついています。状態的には陥没状態です、

まずはこちらのレントゲン写真をご覧下さい。

ご自身の状態が①~④のいずれに当たるのか?によって治療内容が異なるかと思います。

レントゲンでは、硬いものが白く、やわらかいものが黒く写し出されます。つまり、歯がむし歯になると、本来白く写し出されるところが、黒く写るということです。

上に示しますレントゲン写真をご覧ください。正常な歯は、レントゲン写真(正常)のような像となりますが、むし歯でエナメル質が溶かされ、象牙質にまで至ると、①のような状態となります。
①は、神経のある歯がむし歯になり、神経(歯髄)近くまで及んでいる状態です。
②は、神経を処置したのですが、かぶせものに隙間があり、その隙間から感染した状態です。
③は、神経の処置をしたのですが、かぶせものが外れてしまい、そのまま放置、根尖にまで感染が及んでいる状態です。
④は、神経を処置し、そのまま放置、歯が折れてしまった状態です。

同じむし歯ではありますが、状況が様々です。
まずは適切な診断が必要となります。
(当院の根管治療診断基準はこちらを参照下さい)
では、このようなむし歯が進行した状況では、なにが起こっているのでしょうか?

①の症例では、まずバクテリアによる「1次感染」が起こっています。この時に感染するバクテリアを「グラム陰性嫌気性菌」といいます。具体的には、Bacteroiodes(Porphyromonas Gingivalis)、Fusobacteria、Prevotellaなどです。これらバクテリアは「エンドトキシン(内毒素)」をもち、そのLPS(リポサッカライド)の存在が、「身体には悪いことが起きている!」と身体に働きかけ、歯髄(神経)に炎症が引き起こされます。

我々の身体は、一度炎症を起こしても、大概が元に戻りますが、歯の内部にある「歯髄(神経)」は違います。

歯の神経(歯髄)は、バクテリアに感染すると炎症が起こり、元に戻らず「壊死(神経が死ぬこと)」してしまいます。これを放置すると、「2次感染」へつながります。その際に感染するバクテリアを「グラム陽性嫌気性菌」といいます(Enterococcus Faecalis、Peptostreptococcus)。グラム陰性菌とバクテロイデスも感染していますが、このグラム陽性嫌気性菌が感染を拡げると、歯槽骨を溶かし、「根尖病巣」を形成するのです。こうなると、この歯だけの問題ではなくなります。

上記レントゲンで示しました①~④では感染しているバクテリアが異なる可能性があります。治療法も当然変える必要があるでしょう。

健常者の口内にも、感染根管にも認められるバクテリアであるStreptococcus sanguisを象牙質表面に感染させると、わずか10日で象牙細管内への感染することが照明されています。この文献は、象牙細管内の根管治療の困難性を示すとともに、可能な限り早々の治療が必要であることが明らかにしているでしょう。

また、ヒトの歯を用いた実験で、歯を2mm削り、2層目の象牙質を人為的に露出させ、口内に存在する細菌(バクテリア)がどの程度感染するかを調べた実験があります。この実験では、失活歯(神経を処置した歯)と生活歯で、バクテリアに対する感染耐性に違いはあるかも調べています。

結果は、生活歯はバクテリアに耐性を示したましたが感染し、失活歯は150日後、歯の内部深くへ感染することが明らかとなりました。

この結果より、失活歯では特に早々の治療が必要であることが明らかでしょう。

①~③であれば治療が可能です。④は抜歯が最善の治療法となるでしょう!

まずは早々にお近くの歯科医院でご相談ください!

治療頑張って下さいね!

 

 

本年もよろしくお願い致します!

2022年 本年もよろしくお願い致します。

診療の開始は1月5日となっております。

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