これまで、多くの歯を根管治療しているため、これ以上、歯の神経を取りたくないという思いから、当院を受診・ご相談された患者様。
むし歯が深く、根管治療が必要と他院で説明されました。
2~3週前から痛みがあり、夜、寝る前にズキンとすることがある、とのことです。
患者様の年齢は20代、これまで、痛み止めは服用されていません。
この「鎮痛剤の服用既往の有無」は、神経を残せるか否かのポイントです。
本動画は、根管治療が必要と診断された症例の神経を残す治療について、実際の治療の様子を供覧いただきながら、わかり易く解説しております。
お困りの患者様は、ぜひご参考いただければ幸いです。
ラバーダムを装着して、歯の表面に付着した唾液を洗浄・消毒した術前の状態です。
当院では、歯の神経(=歯髄)近くにまで及んでいるむし歯治療では、ラバーダムを装着して治療に臨んでいます。
むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。細菌が歯の表面に付着・感染し、歯を溶かしながら、内部へと感染ヲ拡げていく病気がむし歯です。
その細菌感染を取り除くのが、歯科医院でのむし歯治療となります。
その治療の際に、治療している歯に唾液が飛び散り、接触することは、治癒を阻害するばかりでなく、再感染の機会を与えかねません。
深いむし歯治療では、ラバーダムの装着が、治療の成否を分けると云っても過言ではないでしょう。
メタルインレーを取り外し、むし歯を齲蝕検知液を用いて染色し、むし歯を削り取ります。
水洗し、ピンク色に染色された部分がむし歯です。
染色された部分、茶褐色に変色した部分を取り残すことなく、マイクロスコープで注意深く観察し、徹底的に削り取ります。
マイクロスコープで診ることで、健全な部分は削らず、むし歯のみを削り取ることが可能です。これにより、「できるだけ削らないむし歯治療」が実現されます。
上画像は齲蝕検知液を用いて染色したむし歯です。
下画像は、染色された部分を取り除いた後の状態です。
むし歯は神経にまで及んでいました。
むし歯を削り取ることで、歯の神経が露出(=露髄)しましたが、この状態でも、”感染を取り除ければ” 歯の神経は残せます。
また、術後の「しみる」 「痛む」 「違和感」といった症状も残りません、治ります。
このような症状が残るのは、神経に至るむし歯治療をしたからではなく、「感染が残っている(=むし歯が残っている、取り残してる)」ことが原因です。
たとえ、神経に達したとしても、感染が取り除ければ治ります。
むし歯は、細菌の感染症。感染を取り除ければ治ります。
断髄部(感染した神経を部分的に取り除き、神経の露出した部分)に、MTAを貼薬した様子です。MTAを高アルカリ性で抗菌作用を有する優れた覆髄材です。
当院では多くの症例で良好な結果が得られています。
当院には多くの患者様がし「歯の神経を残したい!」「歯の神経を残す治療をしてもらったけれど、違和感、痛み、しみる」といった症状・希望を訴えて来院されます。
その患者様たちに共通する2つのポイントがあります。
これは「むし歯治療を成功させる」2つのポイントと重なります。
① むし歯を取り残している
② ラバーダムを装着していない
①にはマイクロスコープが不可欠です。従来の肉眼での治療には限界があると、私の臨床経験では感じています。
②、ラバーダムは絶対です。治療中の唾液の接触は、治癒を阻害するばかりでなく、再感染の機会を与えかねません。
この2点を徹底すれば、むし歯治療は成功します。
やり直しのないむし歯治療、一生に一度の歯科治療を!
当院の目標です。