歯の神経を残すには?(新人歯科医からの質問)

卒業3年目の新人歯科医です 深いう蝕を取ってたら露髄する時があって、 最初のうちは直接覆髄してたのですが、半年したら大体痛みが出てくるので上の先生にそういうのは全部抜髄しなさいって言われました 覆髄するときなにを使えばいいのでしょうか うちはセラカルを使っています

コメントありがとうございます!

釈迦に説法であり、恐縮ではございますが、先生もご存知の通り、むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。

当院では、カリエスが象牙質に達している状態の場合、レントゲンでまずはチェックした上で、CT撮影を行い、歯髄にまで残り『1.1~1.5mm』となっている症例では、必ずラバーダムとマイクロスコープで治療に臨みます。

これは、むし歯が歯を溶かし感染、2層目の象牙質があと1.1~1.5mmとなった時には、神経に炎症の兆しが認められる(=歯髄炎)という、Ricucci先生の文献を根拠としています。

つまり、露髄していなくても、神経はすでに炎症を起こしている、もう歯髄炎になっているということを表しています。

歯髄炎になった状況で、ラバーダムもなく削ることで、感染・炎症を惹起することがあります。

これでは治療の意味がありません。 このことについては以下のリンクをご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Ukmi7sQBdUc&t=335s

おそらくではございますが、ご指導下さっている院長先生は、その点を重々ご理解された上で、患者様の来院回数や患者様へご負担とならないようにと、抜髄を指示されているのではないかと推察いたします。

ご質問頂きした通り、確かに、覆髄材の選択も大変重要な課題であることは私も同感です。
セラカルで問題ないのではないかと感じております。

それ以上に大切なのは3つであり、むし歯治療の大原則であり、もうご存知のあたりまえのことではありますが、

① むし歯を取り残さないこと
② 治療中に感染させないこと
③ 治療後に感染させないこと

①にはマイクロスコープ
②にはラバーダム
③精度の高い補綴治療

これに適切な治療コンセプトかと感じております。

お手すきの時に、当院のホームページ、「歯の神経を残す治療」をチラ見して頂けると、参考にして頂ける内容があるかと感じております。

この回答が少しでもお力になれていれば幸いです!