かみあわせと姿勢

かみあわせ(咬合)の不調和が顔と身体に及ぼす影響についてのお話です。

頭頸部領域には多くの筋肉が付着します。
その筋の「機能」を読み解くこと、これが「かみあわせ=力」を読み解くことにつながります。

生体力学において、
『機能は力であり、力は形態』として表現されます。
『よい機能は良い形態として、よくない機能は良くない形態』として表現されます。
つまり、形態を診ることで、機能を診ることができるのです。右図は歪みのない顔貌と全身の状態です。
左側の奥歯、つまり図向かって右側のかみあわせが低いことで、下顎が左側へ偏位します。これにより顔貌は左右非対称となります。目、鼻唇溝(ほうれい線)、口裂の水平性などに変化が生じます。

顔貌の非対称は頭位(頭の傾き)にも影響を与え、左側への頭位の傾斜が認められるようになります。顔面筋、咀嚼筋、頭頸部領域の筋の緊張も認められるようになります。

肩凝りなども認められるでしょう。

 
頭位の傾斜により、僧帽筋など頸部領域の筋が緊張し、肩のラインにも傾斜が認められるようになります。
肩の傾斜は背筋(せすじ)の傾きにも影響を与えます。

頭位、肩の変化は、腰、膝、足へと移行し、体重のバランスにも影響を与えます。

頭位、下顎位、咬合の関係は密接です。頭位が側方へわずか10°傾斜することで、平均約1.8mm下顎の位置が側方へ偏位するという文献があります。 

無理な全身姿勢では、適正なかみあわせは得られないという示唆がこの文献より明確です。

かみあわせに歪みがある方に、上記のような全身的な症状がしばしば認められます。骨格の華奢な方、筋力の弱い方では顕著となります。

宮﨑歯科医院では、かみあわせに不具合を感じる患者様や全顎的治療、矯正治療を施す患者様に、「かみあわせの診査」を必ず行います。

 
かみあわせと全身姿勢の関係は密接ではありますが、どちらが卵でどちらが鶏なのかは未だ明らかではありません。日々の生活習慣などで崩した姿勢では、適正なかみあわせは得られず、無理な姿勢でかみあわせに不具合を感ずる患者様も多く見受けられます。

-図は日本歯科大学小出教授監修の著書より引用-