インプラント治療の目的とは何でしょうか?
インプラントとは、歯を失った部位に、人工の歯根(チタン系)を骨内に埋め込み、その上に歯をつくる治療法です。
現在のインプラントが広く臨床応用されるようになってから30年以上が経過しました。
それまでも、また現在でも、インプラントに代わる治療法として、従来法のブリッジ治療や義歯(入れ歯)治療がありますが、なぜ今インプラント治療なのでしょう?
私の考えるインプラント治療の目的は、
「患者様のQOL(Quality of Life)の向上」 です。
インプラント治療では、従来法では難しかった咀嚼機能の回復が可能となり、患者様の健康を維持できるようになりました。
歯は、栄養器官の重要な構成要素です。
それゆえに、歯が多数存在し、咬合が安定・維持されることは、栄養・運動・精神面において、直接的にも間接的にも関与すると考えらえれます。
歯があることで、食事がおいしく、会話がたのしく、見た目もきれいになり、生活のストレスが大幅に軽減されること。
これが、インプラント治療を選択する目的でしょう。
また、インプラント治療による『力学的な安定』は、治療の効果を長持ちさせる効果があります。
歯牙欠損症例において、「強いところと弱いところ」「噛みやすいところと噛みづらいところ」をつくってはいけない、というのが基本原則です。
多数歯を喪失してしまった患者様の場合、
天然歯に比較して、義歯(入れ歯)では、機能回復の程度に大きな差が生じます。
よく噛めないということは、糖質主体の食事となり、栄養面での偏りがでて、生活習慣病に陥りやすくなります。
また、脳への刺激が薄れ、認知症の頻度も高くなることが示唆されています。
このような場合は、インプラントを適材適所に応用することにより、歯に近似した諸機能を回復することができます。
インプラントにより、全身的な健康に大きく寄与できる可能性を手にすることができるのです。
『食べることは生きること』であり、
とくに高齢者においてその重要性が増すこととなります。
インプラント治療による咀嚼機能の回復が、
全身に大きな改善をもたらし、
患者様のQOLを維持・向上させる。
これが、インプラント治療の目的ではないでしょうか。