親知らずが横を向いてはえてきたことで、その手前の歯(下顎第2大臼歯)がむし歯になり、他院にて根管治療(神経を取る治療)が必要です、と説明・診断された患者様。
・違う治療法はないか?神経取りたくない
・できるだけ神経は残せないか?
・抜かないで済む方法はないか?
との希望を胸に当院を受診・相談されました。
本動画は、当院にて行った、「神経を残す治療」について分かりやすく解説しております。お困りの患者様はぜひご参考ください。
上画像は、当院にて術前に撮影したCT立体画像です。神経に至る大きなむし歯が認められます。
CT画像は、レントゲン画像と同様に、硬いものが白く、軟らかいものが黒く写し出されます。むし歯は、細菌により溶かされて軟らかくなっているため、より黒く写し出されます。上画像を見ると、むし歯が歯の神経に達していることがよく分かります。
当院では、深いむし歯治療の際、根管治療となる可能性があるため、術前にCTを撮影し、患者様への分かりやすい説明とともに、適切な診査診断を行っております。
むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。深いむし歯治療では、治療中に唾液が混入することは、治癒を阻害するばかりでなく、再感染の機会を与えかねません。
そのため、当院ではラバーダムを装着した上で治療に臨んでいます。
その感染の拡がり・深さによって、治療法が異なります。
上図は、むし歯の広がりと、それに対する治療についてです。
(詳しくはクリックし、リンクをご参照ください)
本症例はMTA直接覆髄法です。
神経に近いむし歯治療、神経を残す治療では、治療中に感染させてないため、「ラバーダム」は、必要な治療環境といえるでしょう。
本症例は、むし歯を取り去ることで、露髄しました。露髄とは、むし歯を削り取ることで、歯の神経(=歯髄)に達し、神経が露出することをいいます。
上画像は、肉眼の12.5倍に拡大されたマイクロスコープ画像です。
従来の肉眼による治療では、ここまで診ることはできません。
「レントゲンでみて深いむし歯だから、根管治療(神経を取る治療)が必要です」
こんな説明を受けたことはありませんか?
決して間違いではありません。
むし歯は細菌の感染症です。その感染を取り除くのがむし歯治療ですが、「肉眼では限界がある」のも事実です。
そのため、レントゲンで神経に達したむし歯では、感染が拡がっている可能性を考慮して、根管治療を行うのです。
しかし、現在では、マイクロスコープでむし歯を取り去り、その神経の病状、感染の有無、その感染の程度、その感染による神経の炎症度合い、その炎症の拡がり、その炎症が治まるか否か、炎症により神経は死んでしまっているか否か?などをマイクロスコープで診査・診断することが可能となっています。
これには、ラバーダムとマイクロスコープ、そして適切な診断基準が必要となりますが、現在では、日本のマイクロスコープ普及率は3~5%。これからを期待されている状況です。
当院ではマイクロスコープを2機(近日中に更に1機)、計3機を導入し、治療に臨んでいます。
鎮痛剤を服用しなければならない程の痛みがあるならば、根管治療も仕方ありません。
適切に根管治療を行うことが正しく、適切に行えば、歯は永く永く維持できます。
しかし痛みがないならば、たとえレントゲンで深いむし歯であったとしても、絶対に神経は残すべきでしょう!
当院では、深いむし歯や露髄であったとしても、神経の病状をマイクロスコープで精査した上で、歯の神経をできるだけ残す治療にチャレンジしています。