平成25年9月30日
先日私の矯正の師匠である矯正専門医である森田明子先生主催のFOSSA勉強会にて小児の矯正治療の2症例の治療報告をさせて頂きました。
8歳女児。
一見綺麗な歯並びに見えますが、
前歯が出っ歯であり、下あごが奥左に偏位していることを主訴に来院。
当院では、矯正治療を行う際、必ず症例検討会にあげさせて頂き、同じ志をもつ先生方にご意見を頂き、治療を開始させて頂きます。
今回の症例もそのうちの2症例。
森田先生のいつもご教授頂く、 『最小の侵襲で最大の治療効果をあげる』ことを目標に、そのような状態となった「原因」を追求すべく、 「診査診断と治療の再評価」に重点を置き、資料を集め、診療を進行します。
写真のような症例は異常。
普通であれば、上顎と下顎の正中(黄色の線)は一致するはず。
また、上顎は下顎を覆うように歯並びは形成されるはず。
この正常とは逸脱した「形態」には何か原因がある。
先天的にこのような形態となる個体は少ない。
つまり
「異常な機能の変化による 2次的な形態の変化である」と捉え、
「機能=形態」
『良くない機能』が生体に働き、このような『良くない形態』が形成されたと考えることが大切になります。
この症例の場合、
良くない機能とは、 「口呼吸」 。
ヒトは通常、安静時は鼻呼吸です。
鼻呼吸により、口唇は閉じ、舌は上顎口蓋に押しあてられ、上顎歯列は
拡大成長していきます。
口が開きっぱなしのお子さん、、、、これは心配です。
耳鼻科疾患・アデノイドにより鼻呼吸ができない、、食生活、態癖などにより、
口唇を閉じる習慣がないなど、口で呼吸することを強いられると、
上顎の成長は抑制され、上顎骨は小さくなってしまいます。
この上顎の成長は、12歳ごろでその成長のピークを迎え終了します。
そのため、早期に上顎の成長を促し、なおかつ、上顎の成長を阻害する因子を取り除いてあげる必要があるのです。
写真の中ほどにある透明の装置がその装置。
上顎を拡大するとともに、下顎の位置を改善する。
約6カ月でその効果がでていますね。
これは、FOSSA勉強会でご教授いただいた診査診断を徹底したことによるもの。
最小の侵襲で最大の効果が得られています。
このような咬合(かみあわせ)の問題を考える際、成人、小児に限らず、
①修復(=冠やつめものなど)による補綴学的咬合論
②崩壊した原因を考える生理学的咬合論
の2つの咬合論的観点から かみ合わせを論ずる必要があると
1972年の石原寿郎先生がその文献に記載しています。
現在では、この②崩壊した原因を考える生理学的咬合論を無視した治療が行われ、やり直しの治療が多くなっていることがしばしば見受けられます。
森田先生は、上記のような2点について、つまり
Stomatology(口腔医学) 炎症と力、顎口腔系の調和
Dentistry(歯科修復学) 不足を補う補綴(つめもの冠など)
の2点。口腔医学的観点から原因を追究し、治療を進め、歯科修復学的観点から、失った歯を治す治療が必要であることを説いていらっしゃします。
宮崎歯科医院においても、
このような観点より、治療を進めるべく日々の診察に臨んでおります。