お仕事がお忙しく、しばらく通院できなかった患者様からのセカンドオピニオン。
左下の奥歯の調子が悪く、ご自宅の近くの歯医者さんにて休日に診てもらったら、歯が折れているので、抜歯ですよ!と言われたそう。。。その時、宮﨑歯科医院を思い出して頂いたようで、先日ご相談に来ていただきました。
次回には、抜歯して、インプラントか入れ歯(義歯)にしましょうと説明を頂いたとのこと。
(上レントゲン写真)拝見すると、確かに折れてしまっています。この状況になると、違和感や腫れは多少あるものの、意外と痛みは少ないものです。体調の変化により痛みが増減するので、患者様自身も『治ったかな?』と勘違いしてしまうことが多いようです。
(レントゲンの見方についてはこちらをクリックしてくださいね)
こちらは当院で撮影したCT画像です。
インプラントには「骨がある」ことがとても大切です。
CTで診ると、かなり骨が失われています。
左側が下あごの断面、右側が上からの視点です。
紫色に表示されている〇印は、「下歯槽管」です。下あごの中を通る神経です。
折れた歯の周りの骨は相当失われています。下歯槽管まであと5mmとなっています。
このまま抜歯してしまうと、 さらに骨を失うこととなります。
インプラントを今後考えているのならば、ただ抜いてしまってはいけません。
当院では、患者さまの負担(時間、費用、身体への侵襲)の少ない既存骨(ご自身の今ある骨)へのインプラント埋入を心掛けています。
しかし骨がなく、骨の造成が必要となる症例があることも事実です。
その際は、GBR(Guided Bone Regeneration)や自家骨移植(オトガイや腸骨)などの既存骨の外側への移植法ではなく、外側に緻密骨を有する状況下での骨移植を優先して行います。
(ちょっと専門的過ぎですね(笑)、時間的にも身体にもお財布にも優しい治療と思っていただければ大丈夫です)
いずれにしても抜歯により、歯を支える骨は失われます。
極力その量を少なくするためにも、まずは抜歯時には配慮が必要です。
インプラント治療について(保険外治療・自費治療)
治療内容
人工の歯の根をあごの骨に埋め込み、それを土台として人工の歯を作製します。
入れ歯やブリッジ治療とは違い、固定源があごの骨なので、咬合力が強く、他の歯に影響なく、欠損部分に人工歯を補綴することが可能です。
標準費用(自費・税別)
45万円(1本あたり)
インプラント治療は保険が適用とならないため注意が必要です。
治療期間・回数
インプラントの治療期間は、およそ数ヶ月~半年以上(手術内容・方法による)です。治療内容は、下記の①~⑤のような流れとなっています。
①カウンセリング~治療の検査・計画
②1次手術
③2次手術
④人工の歯を作製・装着
⑤定期検診(半年に1回程度)
インプラント治療では、2回の外科手術を行います。
1次手術でインプラントの埋入を行い、2次手術で土台を設置します。この土台は、アバットメントといわれ人工の歯を装着するために必要なものです。
1次手術と2次手術の間には、埋入したインプラントと骨の結合を確認するため、約3~6ヶ月間の治療期間があります。
口腔内の状況や治療内容により異なります。
メリット
歯を欠損された患者様がインプラント治療を行うことで、再びしっかりと強く咬め、美味しく食事を楽しめるようになります。隣の歯を削る必要もなく、ブリッジや入れ歯と比較して安定性に優れています。発音がしやすくなったり、セラミック歯で見栄えよく仕上げることができるので、笑顔に自信が持てるようになったりまします。
副作用やリスク
治療には手術を伴います。重度の歯周病がある場合脱離のリスクが高くなります。体質等によりインプラントと骨の定着が困難な場合があります。骨の状態により増骨等の処置が別途必要になります。全身疾患の持病がある場合は主治医にご相談ください。
また、埋入後に口腔内の衛生管理を怠ると、インプラント周囲炎に罹り、健康な天然歯が歯周病で抜けるのと同じように抜け落ちてしまう可能性があります。
インプラント治療のリスク
インプラント治療における主なリスクは下記の3つです。
①血管損傷
②神経麻痺
③手術後の腫れ・痛み
血管損傷・神経麻痺は、血管や神経が「ドリル」や「インプラント自体」によって損傷することで起こるリスクです。インプラント手術の検査~計画を入念に行うことでトラブルを回避できます。起こった場合は、回復に数日~数週間の時間が必要です。
また、個人差がありますが手術後の腫れや痛みを伴うリスクもあります。こちらは、時間経過と共に治まっていきますが、痛みが酷い場合は「痛み止め」の服用が可能です。
※メリット・副作用・リスクには個人差があります。
インプラント治療と、他の治療との違い
「入れ歯」や「ブリッジ」は天然の歯を治療しているのに対して、「インプラント」は人工物を埋入することから、治療内容が大きく異なります。
また、「差し歯」との違いは「歯根は残っているか・いないか?」という違いです。
歯根が残る差し歯では、治療時間や治療費が短め・安めというメリットの反面、変色や歯根の割れの可能性といったデメリットがあります。
神