根管治療は早いほうが良い 東京虎ノ門ヒルズ霞ヶ関神谷町歯科歯医者


むし歯は、唾液中に存在する細菌(バクテリア)の感染症です。

レントゲンでは、硬いものが白く、やわらかいものが黒く写し出されます。つまり、歯がむし歯になると、本来白く写し出されるところが、黒く写るということです。

上に示しますレントゲン写真をご覧ください。正常な歯は、レントゲン写真(正常)のような像となりますが、むし歯でエナメル質が溶かされ、象牙質にまで至ると、①のような状態となります。
は、神経のある歯がむし歯になり、神経(歯髄)近くまで及んでいる状態です。
は、神経を処置したのですが、かぶせものに隙間があり、その隙間から感染した状態です。
は、神経の処置をしたのですが、かぶせものが外れてしまい、そのまま放置、根尖にまで感染が及んでいる状態です。
は、神経を処置し、そのまま放置、歯が折れてしまった状態です。

同じむし歯ではありますが、状況が様々です。
まずは適切な診断が必要となります。
(当院の根管治療診断基準はこちらを参照下さい)
では、このようなむし歯が進行した状況では、なにが起こっているのでしょうか?

の症例では、まずバクテリアによる「1次感染」が起こっています。この時に感染するバクテリアを「グラム陰性嫌気性菌」といいます。具体的には、Bacteroiodes(Porphyromonas Gingivalis)、Fusobacteria、Prevotellaなどです。これらバクテリアは「エンドトキシン(内毒素)」をもち、そのLPS(リポサッカライド)の存在が、「身体には悪いことが起きている!」と身体に働きかけ、歯髄(神経)に炎症が引き起こされます。

我々の身体は、一度炎症を起こしても、大概が元に戻りますが、歯の内部にある「歯髄(神経)」は違います。

歯の神経(歯髄)は、バクテリアに感染すると炎症が起こり、元に戻らず「壊死(神経が死ぬこと)」してしまいます。これを放置すると、「2次感染」へつながります。その際に感染するバクテリアを「グラム陽性嫌気性菌」といいます(Enterococcus Faecalis、Peptostreptococcus)。グラム陰性菌とバクテロイデスも感染していますが、このグラム陽性嫌気性菌が感染を拡げると、歯槽骨を溶かし、「根尖病巣」を形成するのです。こうなると、この歯だけの問題ではなくなります。

上記レントゲンで示しました①~④では感染しているバクテリアが異なる可能性があります。治療法も当然変える必要があるでしょう。

根管治療は、このような感染拡大を予防すべく行います。これが根管治療の目的であり、理由です。

根管治療は、細菌(バクテリア)の駆除です。ラバーダム防湿は必須といえるでしょう。感染を拡大させないためにも、可能な限り早期に治療することが大切となります。

では、どのくらい早期に治療しなくてはいけないのでしょうか??

健常者の口内にも、感染根管にも認められるバクテリアであるStreptococcus sanguisを象牙質表面に感染させると、ずか10日で象牙細管内への感染することが照明されています。この文献は、象牙細管内の根管治療の困難性を示すとともに、可能な限り早々の治療が必要であることが明らかにしているでしょう。

また、ヒトの歯を用いた実験で、歯を2mm削り、2層目の象牙質を人為的に露出させ、口内に存在する細菌(バクテリア)がどの程度感染するかを調べた実験があります。この実験では、失活歯(神経を処置した歯)と生活歯で、バクテリアに対する感染耐性に違いはあるかも調べています。

結果は、生活歯はバクテリアに耐性を示したましたが感染し、失活歯は150日後、歯の内部深くへ感染することが明らかとなりました。この結果より、失活歯では特に早々の治療が必要であることが明らかでしょう。

象牙細管への感染についてはこちらをご参照ください。

このように、当院では科学的根拠に基づく根管治療を心掛けています。