強い痛みはなく、食事でしみる程度の左下第2大臼歯の症例です。根管治療(神経の治療、根っこの治療、歯内療法)の可能性を他院にて説明を受け、当院を受診されました。
むし歯は非常に深く、神経(=歯髄)にまで到達していました。右写真のピンクに染色している箇所が「神経」です。
このような神経に到達した状態を「露髄」といいます。
『露髄した場合は根管治療が必要』と判断するのが普通です。誤りではありません。
しかし、むし歯は「唾液中に存在する細菌の感染症」です。感染を取り除けば、たとえ痛みが在ったとしても治癒します。
本症例では、感染により部分的に壊死した歯髄を除去し、MTAを貼薬する「部分断髄法」を適用し、根管治療をすることなく、神経を温存しました。
この治療には、露髄部を精査するための「マイクロスコープ」と無菌的に治療を進めるための「ラバーダム」が不可欠です。
むし歯は、唾液中に存在する細菌の感染症です。無菌的配慮の成否が、治癒の成否を決定します。徹底した歯科治療でやり直しのない一生に一度の歯科治療を!当院の目標です。