口が開かない《歯科治療》

頂きましたご質問に回答させて頂いております。
よろしくお願い致します!

いつも拝見させて頂いております。

先生開口量が小さい方の根管治療はどのような工夫をなされてますか??

おはようございます! いつもご視聴くださり誠にありがとうございます!

いくつか工夫をさせて頂いておりますが、思いつくまま箇条書きで回答させて頂きます。

歯科医師の先生皆様が工夫されている内容と重複することばかりかもしれません。

よろしくお願い致します!

まず「小さな開口量とはどのくらいか?」について定義づけましょう。

論文では「開口障害」を以下のように定義づけしています。

「 開 口障 害 の 診 断 基準 と して最 大 開 口 量 が35mmま たは40mm以 下」

つまり、3センチから4センチ以下は「口が開いていない」といえるでしょう。

当院で治療する際の開口量は、3センチです。

それ以下では上顎の第2大臼歯の治療は困難を極めます。

3センチ以下の場合、以下の状況が考えられるでしょう。

①顎関節に器質的異常があり、開けることができない

②骨格が小さく、もとから最大開口量が小さい

③お口を開く習慣がなく、大きく開けたことがあまりない

④「かみしめ」などの生活習慣により、噛む筋肉が硬直している(咬筋の緊張)

⑤全身姿勢が猫背(後頭下筋の硬縮)

⑥歯科治療に対する緊張、恐怖心
①②など、構造的に制約がある場合、それ以上の開口は期待できないでしょう。
その範囲内で出来る限りの治療をさせて頂きますが、この2項目に該当することは、ほぼほぼありません。
③④⑤に共通することは、「かみしめ」「歯ぎしり」といった、歯の異常接触癖です。
このような患者様に特徴的なのが、「歯並びが混んでいる」「上下の噛み合わせが深い」といったことでしょうか。
実直に真摯に物事に取り組まれる精神性をお持ちのため、いつもかみしめて物事に取り組まれることから、いつも「屈曲筋」が緊張状態であり、お口が開きづらい状況にあるようです。
そのような患者様は、噛む筋肉「咬筋」が緊張しており、その異常なる緊張によりお口が開きません。
猫背の場合は首の後ろ、後頭下筋が持続的に収縮しています。開口運動はお口を開けるだけでなく、協調的に「頭を後ろに下げる運動」が必要です。
このような猫背の患者様はそれができないため、開口量が小さくなりがちです。
お口の中を見せるという行為は非常に無防備です。 歯科治療でご苦労を重ねている患者様は、緊張・恐怖心と戦っています。
お口は開きづらくなるのが常でしょう。これが⑥です。
ではどうするか?についてお話させて頂きます。
①②は出来る範囲でお口を開いて頂けるようお願いしております。
※①が顎関節症、関節円板の前方転位症例などであれば、スプリントで正位した上で治療に臨みます。
③の場合、まずは練習です。
「かくっと顎が外れる感覚」を怖く感じる方もいるようです。
それを体感して頂きます。
開ける所まで相手いただき、そこからは我々が下顎前歯部をゆっくりと押し下げて、下あごを下前方へと誘導します。
緊張がとければ皆開けられます。

④も③同様です。 このような患者様にはバイトブロックで開口状態を維持して頂きます。

1回の治療時間も最小は短めに。お声がけしつつ、いつでも治療は終了できるように配慮しつつ治療に臨みます。

バイトブロックを入れることで、次回いらっしゃるときは、お口がさらに開けられるようになっているようです。

前屈を繰り返し行えば、徐々に前屈ができるようになるのと同じでしょう。

ストレッチしているような感じです。

睡眠中のかみしめがキツイ方には「スプリント」を装着していただき、その緩和に努めます。 ⑤の姿勢矯正はなかなか難しいでしょう。

これは治療ユニットの鞍頭台を後ろに倒し、やや強制的に頭を後屈させて開口していただきます。患者様にもそのご理解を頂くことで、お口は開けられるようになります。

⑥お口が開かない、開けられない患者様のほとんどが、ここに分類されるのではないでしょうか。

「これから行う治療について」たえず「予測」出来るよう配慮した「お声がけ」をしつつ治療に臨めば、身体はリラックスし、お口は開いて頂けるようです。

当院では3センチ程開いて頂ければ治療できそうです。

思いつくままの箇条書きで恐縮ですが、ご期待に沿える回答となっていれば幸いです。

宮﨑歯科医院 Youtubeチャンネル