セラミックインレー装着後 しみる 痛い

当院のYoutubeチャンネル、上の動画に頂いたご質問に回答させて頂きました。

内容は歯の神経に近いむし歯治療後にセラミックインレーを装着した後も痛みあることに対する回答です。
ぜひご参考下さい!

いつも動画を見て勉強させて戴いております。私自身、右下の奥歯の虫歯治療をしました。神経近くまで虫歯が達していたとのことでしたが、神経を保存する方向で治療して頂きました。その後セラミックインレーの詰め物をして2週間ほど経っておりますが、冷たい物がしみます。お医者様からは治療後しばらくは敏感になっていて痛むことがあると言われているので、よくわかりませんでした。何もしていないと痛みは無いのですがこれは異常でしょうか?また、虫歯治療中、麻酔をしてもらったにも関わらず、タービンの冷却水やエアーが当たるとかなりしみたのですが、これも普通なのでしょうか。

いつも当院のyoutubeチャンネルをご視聴頂きまして誠にありがとうございます!

深いむし歯の治療を受けられたとのこと、大変お疲れ様でした。

治療後の経過についてのご質問に回答させて頂きます。

実際に拝見していないため、推測の域を出ませんが、参考としてご一読頂ければ幸いです。

「しみる」という症状は患者様によってその意味合い、ニュアンスは様々です。

後日、その点に関する動画を配信致します。ぜひご参照下さい。

ここでは冷たいものがキーンと染みる痛みに限定して回答致します。

深いむし歯治療後にこのような”しみる”症状は3つの原因が考えられます。

①むし歯の取り残しがある
②かみしめ・くいしばりが原因である
③メタルインレーによる熱伝導性
④インレーに隙間がある
⑤インレーのかみあわせ

少しネガティブな項目もありますが結論から回答させて頂きます。

おそらく、②ではないかと推察しております。

ひとつひとつ解説致します。

①むし歯の取り残しがある

このような場合は、マイクロスコープやラバーダムの装着下ではない症例で見られることがあります。

当院では、歯の神経を残したといったご希望を胸に来院される患者様を大変多く拝見しております。

その中に特に多いのが、「先日、歯の神経を残す治療をしてからインレーを装着したけれど、痛み・違和感・しみる症状が残っている、なぜ?」といった病状です。

このような症例で共通することは、歯の神経を残す治療の際、ラバーダムを使用していないこと、また、マイクロスコープなどの拡大視野ではなく、肉眼で治療を行っていることです。

肉眼ではかすかなむし歯を判別することは困難です。

他院での肉眼による治療のやり直しをさせて頂くと、必ずといっていいほどむし歯が残っています。

これは歯科医師が取り残したということではなく、肉眼治療の限界といえるでしょう。

ただし、マイクロスコープとラバーダムを使用しないと必ず起こる、ということでもありません。

また、ラバーダムとマイクロスコープを使用していれば、むし歯の取り残しがないということでもありません。

むし歯が残っていることで、冷たいものがしみる、違和感といった症状が残る場合があるようですが、これは、“治療直後から変わらず続く症状”です。

治療後しばらく経ってから発現する症状ではありません。

② かみしめ、くいしばりが原因の場合

“無意識の”かみしめ、くいしばりにより、歯に負担が掛かり、しみるといった症状が発現する場合が大変多く認められます。

かみしめや食いしばりは、一般的な「歯ぎしり」とは異なり、音が鳴りません。

歯ぎしりであれば、噛んだ力が音に変換され、その力が分散されますが、かみしめや食いしばりは、その力がそのままダイレクトに歯にかかります。

流石には歯は悲鳴を上げる、つまり、痛んだり、しみたり、違和感が生じます。

このような場合、しみる部分は、「歯と歯ぐきの境目」が多いようです。

①については、冷たいものを含んだ時、ほぼ毎回“しみる”といった症状が発現しますが、②を原因とした“しみる”症状にはバラツキがあるようです。

日常生活における感情的な問題、つまり精神的ストレスと「歯ぎしり、かみしめ、食いしばり」との関係を調べた研究(Rugh&Solbergの研究)では、

・就職の面接
・口論
・退職
・試験
・病気
・疲れ
・離婚の決意

などの感情的問題後に優位に歯ぎしりなどが誘発されることが分かっています。

ただし、これは一過性でその時のみ。逆にハワイ旅行などの楽しみがあると全くなくなってしまうのが特徴です。

つまり、今日はしみたけど、次の日はしみないといった状況です。

上記の症状には「時期」には特徴があります。

1) 精神的なストレスや肉体的なストレスが強くかかった時

つまり、仕事が忙しい、人間関係などのストレスで心が疲労した時期と一致して発現します。これは睡眠時や無意識のかみしめが原因といえるでしょう。

2) 気温差、気圧差の著しい環境下にいる時

これはつまり季節の変わり目、冷暖房が必要となる生活環境、冬の寒い状況下での睡眠環境、飛行機、スキューバダイビングなどです。

このような生活環境は、身体に著しい負担を強いるため、無意識の・睡眠時のかみしめ、歯ぎしり、くいしばりをし易い環境といえるでしょう。

かみしめやくいしばり、歯ぎしりの強い・多い時には、歯に負担がかかり、その負担の警告音・サイレンとして、「硬いものを噛んだ時に少し痛い」「冷たいもので少ししみる」といった症状が発現します。

しかしこれは一過性(一時的な)のものだといえるでしょう。

心配事などが多いと、無意識にかみしめをしてしまい、「しみる・違和感・少し痛むといった症状」が発現することは、この季節の変わり目には非常に多く認められる症状です。

心配事などのストレスにより、ヒトはさらに敏感になりやすいため、痛み・違和感といった症状をさらに強く探し出して感じるようになるようです。

③メタルインレーによる熱伝導性

金属などの熱伝導性の高い材質を使用して人工歯を製作し、歯に被せることで、しばらく冷たいもの、温かいものがしみることがあるようです。

④インレーに隙間がある
⑤インレーのかみあわせ

むし歯を削り取った後は、その削った部分を可能な限り精密に人工歯で被せます。

その詰め物と歯との間に隙間があったり、詰め物が強く接触しすぎていたりすると、違和感やしみるといった症状が続くようです。この点につきましてはご担当頂いている先生にしっかりと見て頂ければ問題ないでしょう。

回答は以上となります。

この回答がお力になれていれば幸いです!

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