20代 下6番 抜歯 インプラント インレーブリッジ

先日、歯根破折により左下6番が抜歯となってしまいました。

まだ20代前半ということに加え、今まで歯のトラブルが一切無く育ってきたため、これからどうなってしまうのかと不安で仕方がありません。

現在通院している病院の先生からは「ブリッジ」「インレーブリッジ」「接着ブリッジ」「親知らずの移植」「入れ歯」「ソケット」「インプラント」等と、抜歯後の様々な治療の選択肢とそれぞれのメリットデメリットを教えていただきましたが、その際、その先生は「インプラントは麻薬のようなものでもし自分の身内ならインプラントはさせたくない」とまで仰っており、また20代ということもあり、あまり歯を削らせたくないと「インレーブリッジ」もしくは「(可能な状態であるなら)親知らずの移植」をおすすめされました。

しかし、インレーブリッジは周囲の健康な歯に将来的に虫歯が出来易くなってしまうのではないか、また噛む際の負担が大きいとされている6番でインレーブリッジをするのはブリッジや周囲の歯への負担が大きいのではないか、と少し懐疑的な部分もあり、とても悩んでいます。

後日、また詳しくお話をしていただくことになり、その先生もとても親身になっていただき優しくもあるのですが、自分の歯の分野に対する知識が乏しいこともあり、やはり不安でしかたがないです。

そこで、この件に関する先生の御見解(先生としてはどの治療をおすすめするか)を頂戴することはできますでしょうか。

本来ならば、先生の病院に行き、診察を受けてお話を聞くのが一番なのでしょうが、残念ながら東京在住ではないため、コロナ下も合間って難しい状況です。

私の拙い口頭説明だけで状況判断をするのはなかなか難しいと思われますが、可能な範囲でお話をお聞かせいただけると幸いです。

(補足 抜歯した歯に隣接した歯は健康です。)

(いきなりの質問、長文、それも私事をつらつらと申し訳ございません。 インプラントの動画を検索している際に、こちらのチャンネルがヒットし、先生の人柄や豊富な知識、確かな技術に惹かれ、いてもたってもいられなくなりついこのような質問をした所存でございます。)

長文のコメントありがとうございます。

回答させていただきます。よろしくお願い致します。
頂いた文章だけでは、正直、口内の状態はしっかりと読み取れておりません。
推測の域をでないでしょう。
これからお話しする内容は、「参考程度に」解釈して頂ければと感じております。
まず大前提として、今回、歯を失った理由。これが一番大切です。
歯を失うのは基本3つしかありません。
①むし歯 ②歯周病 ③かみあわせ
※交通事故や腫瘍などは省きます。
②の歯周病は20代前半の方にはほぼ皆無。もし歯周病ならば、若年性の歯周炎。そちらの治療を徹底して行うことが不可欠です。
そのため、今回の歯根破折の原因は①と③。
おそらくは、むし歯であった歯を根管治療。その歯が折れて抜歯。これではないでしょうか。
この時に、なぜ歯根破折になったのか?これが大切。原因は以下の2つ。
1)根管治療が不十分であった、あるいは、そもそも根管治療に至る前までにむし歯が深く、歯が薄かったから折れた
2)根管治療はある程度適切であったにも関わらず折れた
この1)と2)の違い
1)はむし歯が原因で折れています
2)はかみ合わせ、つまり「かみしめ」「歯ぎしり」などの「過剰な力」や上下の歯の歯並び・上下の歯の接触関係で折れています。
原因が異なるということは、対処法が異なるということです。
1)ならば、適切に、精密に、人工歯をかぶせてあげれば治るでしょう。
上記ご提案頂いた治療法、沢山ありますが、私はそのうち、「親知らずの移植」「入れ歯」「ソケット」は排除します。
排除理由
「親知らずの移植」
→私には症例数が少ない。2、3例しかありません。その後の根管治療やさらに被せること、その成功率と失敗した際のことを考えると、費用、リスクが多大なるものであると”私は”感じていますので、排除です。しかし、症例数が多い先生であれば、その治療について、その手順について、移植歯が定着しなかったときのことについての対処法をしっかりと熟知されています。ぜひご相談されてください。
「入れ歯」
→私は今回のようなケースでは基本「インプラント」と考えています。
インプラントが受け入れがたい場合は「なにもしない」あるいは「インレーブリッジ(接着ブリッジ)」です。
「何もしない」というのは、「インプラントにするか?インレーブリッジにするのか?」のご決断期間という意味です。
入れ歯は、入れ歯を乗せた部分の骨を徐々に少なくするとする研究論文が1980年ころから散見されています。
骨が失われてしまうと、インプラントやブリッジがしづらい。第一選択と考えている治療法を邪魔する入れ歯は入れたくありませんし、そもそも20代では入れたくないですよね!
「ソケット」
→この治療法は私は存じ上げておりません。ゴメンなさい。
インレーブリッジも、クラウンでのブリッジでも、「精密に被せれば」長期間維持できている患者様多数拝見してます。
とくに、今回のようなケース。前後の歯が健全であればあるほど、長期間何事もなく維持できています。
「インレーブリッジやクラウンによるブリッジには適した治療環境である」といえるでしょう。
でも2)であれば話は別です。
2)は力で歯根が折れています。つまり噛む力が強い、あるいは「かみしめの異常癖」をもっている。
こういった患者様には、私はインプラントをお勧めします。
1本歯を失った。それは力、支えきれなかった。
だから、両隣の歯を削り、失った1本分を両隣に負担してもらう。
つまり両隣に1.5倍の力を課す治療。これがブリッジです。
失った1本に新たな1本を。
両隣はこれまで通り。これがインプラントです。
私はインプラント治療で失敗したことがありませんし、私が行った治療でお困りになられている患者さまもいらっしゃいません。
成功率、生存率の高いインプラント治療は、噛み合わせの観点からも第一選択の治療法かと感じております。
ただし、その症例数が少ない医院での治療はおすすめいたしません。
私が「移植」をほとんどしない、つまり症例数がないように、インプラントの症例数が少ない医院もあるでしょう。
私は、第一選択はインプラントです。
その次はインレーブリッジ。これもいい方法です。
どちらの方法でも、私は対応可能ですし、誇りをもってお勧めできます。
他の方法でも大丈夫ですけどね(笑) 患者様の応援が出来れば、どの治療法でも大丈夫!!
でも、まずは「何もしないで、恐怖に押されて、無理に選択しないで、冷静に自分に戻すこと」これ大切。
患者様としては悩まれることでしょう。
どの治療法にも利点、欠点がある。
でも、悩まれている時点で、つまりは「悩んでいる時間がある時点で」、「即決の必要性もない」ということです。
無理に決めなくてもいいのです。時間があるということです。
「何もしない」という選択肢もあります。
事実、同年代患者様で、先日抜歯され、私はインプラントをご説明。
患者さまはお若い、「先生、お金ないから、将来!」「そうだね、そしたら、チョット様子見よう!」としています。
でもその患者さまは、噛み締めが強かったことから、下顎の6番をうしなったことで、上顎の6番がやや伸びてきていました。
マウスピースで固定しつつ、「インレーブリッジも悪くないかもね」と治療術式を変更?する提案をしつつ、未だ経過観察中です。
大丈夫、なんでもできますし、なにもしないのも「1つの決断」です。
不安や心配というのは、「予測の出来ないこと」に感じるものです。
おばけも幽霊もそう。得体の知れないもの、つまり予測できないことに不安を感じる。
でもその予測できないことが、その原因が分かる、対処できると知れば、人は前向きに善処できるようになるものです。
今は、歯を失ったばかり、不安になるでしょう。当たり前のこと。
でも大丈夫!歯が1本無くなっても死にません(笑) 死ぬこと以外、かすり傷です。大丈夫です!安心して!大丈夫!
これから時間をかけて、対処しましょう!大丈夫!
このチャンネルではインプラント治療の動画の最初の部分で、こういった内容についてお話しさせて頂いています。
ぜひ、再生リストからご検索いただいて、最初の部分だけでも、流し見してみてください!
今後の対処法をしれば、恐怖は無くなる。
恐怖が無くしたうえで、冷静に、自分にあった治療を選択しましょう。
大丈夫!頑張って!
この回答が少しでもお力になれていれば幸いです!