露髄 CR(コンポジットレジン) 痛みがある むし歯が深い

ご質問

はじめまして、歯科衛生士5年目しています 少し露髄していてる状態で、PEしなくて CRするとなると痛みは一時的にも出るはずなのですが、大丈夫なのでしょうか? それで痛いとおっしゃる患者様もいると思いますが Cの痛みではないと説明できますが、 どう言った説明を先生はされてるのでしょうか お時間いただきますがお答えしていただけたらと思います

回答および質問者への質問

コメントありがとうございます❗ ごめんなさい、不勉強で。 PEとは何ですか? 露髄した状態に、PEしないで、CR(コンポジットレジン?)すると、痛みが一時的でるはず。この一時的に痛みがでることが、大丈夫か?どうか?というご質問ですか? この痛みを、C(カリエス)が原因ではないということを、山珠璃さんさ患者さまに分かりやすく説明することはできる!けど、私はその痛みをどのように説明しているのか?ということ?ですか? それはなぜですか? ご説明できていればご質問の必要性はないように感じますが、、、 何度も読み返しましたが、ごめんなさいね。良くわからなかったので、ご質問にご質問でお願いいたしました。 お時間あるときにご返信きだされば回答させていただきます。よろしくお願いいたします❗

質問者からの回答

PEていうのはばつ髄て習ったのですが違いますでしょうか、、、?😖 そうです。 露髄した状態でCRしたら一時的に痛みが出てしまうと思うのですが、 それはカリエスをとった痛みとはまた別だと思うんですが カリエスをとったから虫歯の痛みではないとは患者様に説明できると思うのですが ズキズキがなければ根治へ進まないと思うのですが、少しの痛みがあるけどズキズキしないという患者様に対してのお返事ってなんて先生はおっしゃられてるのかなと思って 気になってコメントさせてもらいました お手数ですがお時間いただけるときにお返事いただければと思います

ご返信ありがとうございます。

PE。pulpectomyの略ですね。おっしゃる通り抜髄ですね。私は今初めて知りました(笑) 大変勉強になりました、ありがとうございます。

頂いたご質問にはいくつかのポイントがあります。

長文となりますが、解説させていただきます。

「露髄してCRすると一時的に痛い」

まず大前提として、露髄させて際、『ラバーダム』をした上で治療されていましたか?

これはとても大切なことです。

結論から申し上げます。『むし歯を、つまり細菌感染を徹底的に取り除けば、治療中に露髄しても、たとえ部分的に歯髄を取り除いても(部分断髄)、たとえ半分歯髄を取り除いても、翌日治療後、痛みは全くありません』

これ、驚きですよね(笑)

でもこれには、治療中の感染を予防するラバーダムと感染を徹底的に取り除く、または「歯髄の炎症状態や感染程度を徹底的に読み取る」マイクロスコープが必要となります。

私も以前は肉眼やルーペで治療をしていました。

そのような時は、おっしゃるように感じておりましたが、現在、ラバーダムとマイクロスコープを活用して適切な治療コンセプトで行うようになったことで、このような驚きの事実を知るようになりました。

当然といえば当然のこと。

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症。その感染を取り除けば治る。ただそれだけ。

そのために、治療中に感染させない、唾液侵入させないラバーダムと、歯髄の血流状態や生死を確認するマイクロスコープ。これがとても大切です。

歯髄の生死につきましては、その状態をマイクロスコープで撮影した動画、先日配信しております。ぜひご参考下さい。

また、露髄について、歯髄を部分的にとる断髄について、感染の除去について、最新の歯科治療について解説した動画も以前に配信しております。ぜひご参考下さい。

〇【前編】歯の神経『半分でも』残せる!? 根管治療せずに、歯の神経を残す「歯頚部断髄法」とは何か?

つまり、「露髄してCRすると一時的に痛い」というのは「本当ではない」ということになります。治療後なので、多少の痛みや違和感がありますが、それほどの痛みとはなりません。

なぜなら、原因となる感染を取り除いているのですから、治療しているのですから、痛いはずはないのです。

なら、露髄した後の痛みとは何か?

それは「感染の取り残し」ただこれだけです。

当院には大変多くの患者様が、全国各地よりご来院頂きます。

歯の神経に近い深いむし歯治療をしたんだけれど、痛い、しみる、違和感が残る。。。

今回ご質問頂いたような症状を抱えて来院されます。

そんな方々を拝見して共通することは以下のこと。

・治療中にラバーダムをしていない

・肉眼あるいは弱拡大のルーペによる施術

そして

・必ずむし歯が残っている

これです。こんな患者様をラバーダムとマイクロスコープで治療に臨むと、翌日には痛みや違和感がなくなるのです。

肉眼での識別能力は100~200ミクロンです。1センチにも満たな歯の内部のむし歯など、見えるわけもありません。私も肉眼、2倍、3倍、5倍、8倍、10倍のルーペを経て、マイクロスコープを使用するようになりましたが、ルーペや肉眼では、シビアなむし歯治療、それも露髄を伴う治療。以前は、全く見えていなかったと痛感します。

また、これは大変基本的にことなので、そんなことはしていないとお叱りを受けるかもしれませんが一応。

たとえ、露髄周囲のむし歯が取り除けていたとしても、コンポジットレジンでは覆髄は不可能です。

コンポジットレジンは「水」のあるところでは完全硬化しません。

露髄部は湿潤状態です。露髄部を覆うことはできません。そのため、水酸化カルシウム系の覆髄材使用して覆髄し、それが完全硬化後にコンポジットレジンで被覆します。

このコンポジットレジンのプライマーやボンディング材を、露髄面に塗布する先生がいらっしゃるようですが、それもあり得ない施術。露髄した繊細な歯髄に対して酸処理を行うことで、炎症を惹起しかねない。

そもそも、この2つの障壁を潜り抜けたとしても、湿潤状態の口内でのコンポジットレジン修復は意味を為しません。必ずラバーダムが必要となるのです。

ご経験があるかと思います。

コンポジットレジンのマージンが茶褐色に変色している症例を。

あれが、これです。ラバーダムを用いてコンポジットレジン修復をすると、あのようなことになりません。

そして最後に、露髄するような症例での「術前の診査」です。

当院では、露髄するような状態の場合、レントゲンでまずはチェックした上で、CT撮影を行い、歯髄にまで残り1.1~1.5mmとなっている症例では、必ずラバーダムとマイクロスコープで治療に臨みます。

これは、むし歯が歯を溶かし感染、2層目の象牙質があと1.1~1.5mmとなった時に、神経に炎症の兆しが認められるという、Ricucci先生の文献を根拠としています。

つまり、露髄していなくても、神経はすでに炎症を起こしている、もう歯髄炎になっているということを表しています。

このことについては以下のリンクをご参照ください。

05:35​ 歯の神経の炎症(=歯髄炎)は、いつ始まるのか?

〇歯髄が生きている?死んでいる?どうやって見極めるの?診断基準とは!

https://miyazaki-dentalclinic.com/27821

神経に近いむし歯治療後にズキズキと痛くなり、抜髄に至る。こんなお話しをよく耳にするでしょう。

これには以下の理由が考えられるのです。

①治療中に感染させている

②むし歯を取り残している

③露髄はしていなかったけれど、そもそも歯髄は炎症状態にあった。ただ、免疫と平衡がとれていたけれど、治療をきっかけに痛みが発現した

これです。

こういったことが無きように、術前の診査がとても大切になるのです。

これを踏まえて、頂いたご質問を再度確認します。

 

『露髄した状態でCRしたら一時的に痛みが出てしまうと思うのですが、それはカリエスをとった痛みとはまた別だと思うんですが、カリエスをとったから虫歯の痛みではないとは患者様に説明できると思うのですが、ズキズキがなければ根治へ進まないと思うのですが、少しの痛みがあるけどズキズキしないという患者様に対してのお返事ってなんて先生はおっしゃられてるのかなと思って。。。』

『露髄した状態でCRしたら一時的に痛みが出てしまうと思うのですが』

→当院ではラバーダムとマイクロスコープで治療に臨みます。痛みは全くありません。

『それはカリエスをとった痛みとはまた別だと思うんですが、』

→カリエスを取り残すと、凍みる、違和感、痛みが残ります。取り切れば痛みはありません。なので、当院では痛みは全くなくなります。

『カリエスをとったから虫歯の痛みではないとは患者様に説明できると思うのですが、』

→この説明については、当院では施術中の様子をすべて動画で記録しています。その様子を術後に見て頂きご確認いただきますので、むし歯の取り残しはありません。

『ズキズキがなければ根治へ進まないと思うのですが、少しの痛みがあるけどズキズキしないという患者様に対してのお返事ってなんて先生はおっしゃられてるのかなと思って。。。』

→当院ではそのようなシビアなケースはあらかじめご説明をさせて頂いています。

神経を残せるか否かは以下の点にかかってきます。

① 歯髄への細菌感染の有無

② 歯髄のバイタリティー

③ マイクロリーケージの有無

①はマイクロスコープとラバーダムで臨みます。

③は補綴です。精度の悪い補綴では、治療後の再感染を招きます。

そして②です。

たとえむし歯を取り除いたとしても、治癒能力が無ければ、歯髄は壊死します。

海外の文献で、その神経の生存率を調べると7~8割だそうです。

当院でも7割。3割はのちに根管治療に至ります。

その原因は「血流不足」

つまり、

・食生活、生活習慣

・かみしめ

・ストレス

・全身姿勢、呼吸

こういった、「身体を酸化させる習慣」をお持ちの方は、治りが悪い。

・食生活がコンビニ食事や脂質・糖質に偏っている

・かみしめ習癖より、クラック、末梢血流量の制限

・ストレスによる交感神経優位な状況による酸素摂取量の不足による身体の酸化

・ストレス感受性が強いことから、身体が緊張。頸部・大頬筋は緊張し、胸式呼吸となり首は前傾。舌は下がり、クレンチングを助長。口内は口呼吸により乾燥し、唇は万年乾燥状態でリップクリームは欠かせない。当然呼吸は浅く、酸素摂取量は少ないため、抹消の血流量は不足する。猫背、冷え性、O脚、足の浮指、などなどなど。その症状は多岐にわたります。

 

このような患者様は、この3割に該当する場合があるため、患者様にその旨ご説明させていただき、術前にご希望を伺いつつ、治療同意書を頂き、治療に臨みます。

歯科医院により、地域の求め、医院の治療理念、患者さまからのご希望・求め、医院のスペックなど様々です。

その歯科医院出来る限りの治療を施すことがとても大切ですが、出来ないことを出来ないと説明することも大切です。

たとえば当院では、矯正の難症例や腫瘍の摘出、とても難しい親知らずの抜歯、小児歯科、三叉神経痛などの症例は、適切な医療機関にご紹介させて頂いております。

患者様のためになるならば、どんな手段でも構わないでしょう。

日々研鑽しつつ、患者様のお力になれればと感じております。