【歯医者さんからのご質問】
すいませんでした。感染根管治療時に麻酔薬を使ったためのアレルギーと根管処置時に使用のメリットを考えると僕には少し理解できないときがあります。すべて使用を否定しているわけではありませんが。いかがでしようか。
ご連絡ありがとうございます。
麻酔薬を使用したことによりアレルギー反応があるならば、使用は出来ないかと思います。
私も同感です。
そのような患者様は私も治療ができないため、大学病院へご紹介させて頂いております。
当院では、根管治療を行う際、以下の診断を行った後に、適切な治療法を選択させて頂いております。
先生もご存知のことかと思いますが、このコメント。多くの方々がご覧になっています。
基礎からご説明させて頂くご無礼をお許しいただきつつ、ご存知のことはお読み飛ばして頂ければ幸いです。
この点、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
根管治療の際は、「歯髄つまり神経の病状診断」と、それにより炎症が波及した部位つまり「歯を支える組織、根尖歯周組織の診断」が不可欠になるかと思います。
(1)【歯髄の診断】
歯髄の状況は以下の6型に分類されます。
Initial treatment(はじめての根管治療の場合)
①正常
②可逆性歯髄炎(軽度の炎症。冷温刺激で一過性の鋭い痛みがあります)
③不可逆性歯髄炎(深いむし歯、なにもせずとも痛みがある状態です)
④歯髄壊死 (神経が死んでしまった状態。症状がある場合、ほぼ無症状な場合があります)
Retreatment(2度目以降の再根管治療の場合)
⑤過去に根管治療をした既往の有る歯
⑥だれかが根管治療を開始した歯
この2つは症状がある場合、ない場合様々です。
(2)【根尖歯周組織の診断】
根尖歯周組織の状況は以下の6型に分類されます。
①正常
②急性根尖性歯周炎(噛んだ時の痛みがあります。何もせずとも痛みます)
③慢性根尖性歯周炎(あまり症状がありません)
④急性根尖膿瘍(根っこの先相当部の歯茎、顔面が腫れ、痛みがあります)
⑤慢性根尖膿瘍(自覚症状は少なく、排膿(膿み)・腫れがあります)
⑥硬化性骨炎(無症状である場合、痛みがある場合共にあります)
先生のおっしゃる「治療が必要となる感染根管治療」は、上記の
(1)③、④、⑤、⑥
(2)②~⑥
これら(1)の4つと(2)の5つの掛け合わせたケースつまり20パターンが考えられるかと思います。
そのうちの(1)④で完全なる歯髄壊死でありつつ、(2)③、⑤、⑥であれば、削ったり、触ったりした時の痛み。
つまりは治療による痛みは、「根尖をファイルなどで触る時以外」は痛み無く治療が可能かと思います。
しかし、たとえば、(1)の③や④。
むし歯は徐々に進行します。つまり感染、炎症、そして痛み、壊死。このように進行するため、私の臨床実感としては、完全なる壊死は皆無に等しいと感じています。
その点に配慮した上で、おそらく、壊死組織のみを取り去り、そこにペリオドンなどの失活材を塗布するのかと思いますが、部分的に壊死した組織ということは、部分的に生きているということであり、それに加えて(2)部に炎症が有る場合は、貼薬後の拍動痛・自発痛が痛み止めを超える程に痛みとなっている症例、大変多く拝見しています。
ただし、上記20パターンを適切に判断しつつ、歯髄壊死部などを的確に判断しつつ、また貼薬剤などもペリオドンだけでなく、他貼薬剤を適切に判断し、根管治療に臨むことで、手際よく痛み少なく予後の良い根管治療を施している症例や先生、沢山拝見しています。
当院では、治療中の痛み、治療後の痛みの軽減を期待するために、また、健全部分である歯周組織への負担や壊死部の特定が困難であることなどからも、術前の麻酔を行い、すべての症例で、可能な限り術中術後の痛みを軽減して差し上げたいと願っております。
麻酔を使用しないということをすべて否定するものではありません。
適切な診査診断のもと、痛みが少なく治療が可能であり、また、その上で、麻酔をせずとも治療することに「患者様が同意」しているのであれば、そこに問題は全くないのではないでしょうか。
このような回答でよろしかったでしょうか?
ぜひお返事を下さい。