日本の保険診療で認められている代表的な金属、「12%金銀パラジウム合金」(銀歯)。
金属アレルギーや身体に与える為害性より、世界中で、日本でのみ使用されている金属です。
この金属が、歯科保険診療の詰め物として認められたのは、戦後間もない頃です。
国民皆保険制度導入の際に、貴金属に替わる安価な代用金属として開発されました。その当時より可能な限り早期に「金合金」へ移行すべきであることを委員会報告書で発表されておりましたが、そのまま改善されることなく現在にまで至っています。
「12%金銀パラジウム合金」に含まれる成分は、金12%・パラジウム20%・銀50%・銅16%・その他2%(亜鉛、インジウ、イリジウム等)です。
パラジウムは、金の耐摩耗性、銀の耐蝕性という欠点を補うために使用されていますが、リンパ球幼若化テストという金属アレルギー検査では、約半数の人に陽性反応を示します。医療先進国では、「幼児及び妊婦に、銅を含有するパラジウム合金と、水銀・銀アマルガム合金を使用しない」という勧告が出され、パラジウムが体に与える悪影響を考慮して、パラジウムフリー(パラジウムを含まない)の金属を使うことを強く推奨しています。
「アマルガム」という言葉、聞いた事があるのではないでしょうか?
正式名称は「歯科用水銀アマルガム」といいます。この金属は、無機水銀が使用されていますが、無機水銀も有機化すると、メチル化水銀などに変質し、水俣病などの原因となった有害な水銀となります。現在では様々な疾病の原因と考えられるようになり、臨床においても使用されないようになってきておりまが、1970年以前に虫歯の治療をしたことのある患者様の口腔内には、未だこの金属が残っていることがしばしばです。
アマルガムは口腔内において変性・変質しやすく、経時的に劣化、腐食します。
文献では、使用3年以内に劣化の兆候を示し、10年後には、平均で総重量の約73%が減少すると報告されています。つまりは水銀が体内に流出し、自覚のないままに吸収され、蓄積されていくこととなるのです。
・口腔内の歯科金属にアレルギーがある患者様
・金属のつめ物やかぶせ物から金属イオンが溶出している患者様
・異なる種類の金属が口の中にあることでガルバニック電流が発生している患者様
・歯科金属が電磁波のアンテナとなってしまっている患者様
このような患者様に、メタルフリー歯科治療が有効と考えられています。
宮﨑歯科医院では、口腔内から金属を極力なくし、身体に優しい金属を使用しない「メタルフリー歯科治療」を推進しております。
生態親和性に優れ、審美的にもより自然な「メタルフリー歯科治療」には、オールセラミックス(ジルコニア等)、ハイブリッドセラミックス、グラスファイバーなどの金属を使わない歯科材料などがあります。