歯根端切除術(再考) 東京都内歯医者マイクロスコープ

最近、根管治療がもてはやされている感があるのは私だけだろうか?

歯科界では、2000年まで、歯周病治療(歯周外科手術・歯周再生治療)により歯を残すことが流行し、成功率の高まったインプラント治療が2000年を超えて全盛に。ここ数年ではインプラント治療に加え、今一度歯を残すことを大切にしようという観点から「マイクロスコープ根管治療」が流行している。マイクロスコープによる根管治療に加えて、マイクロスコープによる歯根端切除術を行うことで、成功率が高まるという文献とともに、「歯は残せる!」という言葉が日本ネット内で散見されるようになっているの現在。

たしかに正しい治療コンセプトと適切な環境づくりは、根管治療に関わらず最重要案件といえるだろう。しかし、マイクロスコープがあれば治る!ニッケルチタンファイルを使えば治る!MTAを使えば治る!というわけではないはずである。そこには正しい治療コンセプトがあってしかるべきであり、それに従い試行錯誤して治療に臨むことで良い結果が得られるはずである。

最近当院にはこんな問い合わせやご質問が多くある。
マイクロスコープはありますか?使ってもらえますか?」
「ラバーダムしてもらえば治るんじゃないですか?」
「ニッケルチタンを使えばなんとかなるんじゃないですか?」
「〇〇を使ってやってみて下さい!」

お困りになった末でのお言葉であると重々承知ではあるものの、こんな言葉には少々困惑する。マイクロスコープなどの「道具」を使うのは「人」。どう使うかも「人」。使い方がわからなければ、道具も意味を為しません。「宝の持ち腐れ」です。

インターネットでは多くの情報が氾濫しています。それを歯科素人である患者さまが判別するのは難しい状況にあるでしょう。当院では多くの時間を設けて患者さまをお話しする機会をつくるようにしています。

私が師事するUCLA正式プログラムでご教授頂いている清水藤太先生のお話しでは、アメリカ根管治療の歴史は右のようになっているとのこと。

米国では、現在の日本のマイクロスコープ歯根端切除術全盛の時代は15年ほど前に過ぎ去り、現在ではその反省期に来ているらしい。つまりはやったけど治らないかった症例の後始末の時期にあるとのこと。

ではなぜそのようなことが起こるのか?ここではその詳細については長文となるため割愛するが、その点も踏まえて、現在米国のエンドドンティスト(根管治療専門医)育成機関では、エンドドンティストにインプラント治療法を教えるようになっている。

適切な根管治療が為されていないならば、経過観察など行わずに速やかに外科治療(歯根端切除)に移行しなければならない」 Dr.Abou-Rassは言っています。

同時に、「エンドドンティストたるもの積極的に外科(歯根端切除術)を取り入れるべきであり、通常の根管治療が”右手”ならば、”外科”は左手。右手と左手を組み合わせることでしっかりとしたエンド(根管治療)ができるようになる」と言っている。

根管内に問題があるのであれば、通常の根管治療でその原因を除去してあげれば、あとは勝手に「身体」が治してくれる。根尖病変などが治らないのは、根管内ではなく、根管外に感染が拡大進行しているから。ならばその部分をしっかりと除去する「歯根端切除術」は有効な手段といえるだろう。

しかしそれをしてもまだ失敗することもある。では歯根端切除術は無駄なのだろうか??
それについては、清水先生はこのように述べています。

「現在では、エンド(根管治療)にだけ頼るのではなく、その後の治療を見据えた考え方が必要である。それにはンド―インプラントロジーの考え方が必要。徹底した根管治療(エンド)で残せなかった場合は、すみやかにインプラントできるような環境づくりを口腔内につくっておくことが大切。」

つまり、根尖病変はそのままにせず通常の根管治療に加えて歯根端切除術を行い、病変を確実に除去し骨再生(GBR)を促す。そのまま経過が良好であれば良し、悪ければ抜歯してインプラントできるようする!将来を見据えてリスクを少なくした治療が大切なのです。(根尖病変は放置して治るのか??)

当院ではUCLA正式プログラムに準じた根管治療を行い徹底して歯を残します。歯根端切除術は必要不可欠な治療であり、次につながる有効な治療法といえるでしょう。当院の治療、外科手術は無痛麻酔・無痛治療です安心してご相談ください。