当院のYoutubeチャンネルに頂きましたコメント、ご質問に回答させて頂いております。
内容は、歯の神経を残す治療の失敗、成功率?についてです。
当院の見解を分かり易く解説しております。ぜひご参照下さい。
2年前の治療が失敗してたという事でしょうか?
コメントありがとうございます。動画をご視聴頂きまして誠にありがとうございます。
また、皆様の気になる点をご質問頂きまして誠にありがとうございます。
まずは、本動画の
03:41 「MTAの周りはどうなっているのか?」
をご参照を頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。
ご指摘の通り、2年前の記録をチェックさせて頂きましたが、そこにはむし歯の取り残しはございませんでした。
長文となりますが、「失敗か否か?」について、当院の治療方針、患者様へのご説明、当院の成功率、当院の考え方についてご説明させて頂きます。よろしくお願い致します。
当院には大変多くの患者様が「歯の神経を残す治療」「根管治療」でご来院頂きます。
歯の神経を残す治療に臨む前、すべての患者様に次のようなご提案、ご説明をさせて頂いた上で、患者様のご希望を踏まえ、ご同意頂いた上で治療に臨ませて頂いております。ぜひご参照頂ければ幸いです。
当院での神経を残す治療の「神経生存率」は、75%ほどではないかと感じております。
原則、治療はマイクロスコープで行い、動画で記録、保存します。
むし歯の取り残しはありません。
そのため、「成功率」ではなく、「生存率」と表現させて頂いております。
75%の生存率ということは、25%は、のちに根管治療となっているということになります。
以下の動画でこのような症例について解説しております。
ご参考程度にリンクを添付致します。
原因は以下の通りです。
・かみしめ、くいしばりなどの強い力
・喫煙、食生活などの末梢血流量の不足
・神経を残すには、厳しい状況を患者様ごに了解の上、神経を残す治療を施すも、後日歯髄壊死に至った症例
・歯並び
・口内の清掃不良
・精密なる補綴がなされていない
また、患者様には以下のようなご説明をさせて頂いた上で治療に臨んでいます。
1.実際に患部を開け、神経が壊死しているか否か?を診査して、神経が生きていれば「神経を残す治療」、神経が死んでしまっていれば「根管治療」を行うことにご同意を頂き治療に臨む。
→この1の場合は、マイクロスコープで明らかに神経が壊死していることが分かる場合です。以下の動画でその明らかな様子をご覧頂けます。ご参照下さい。
2.実際にマイクロスコープで神経を診査した際、その生死の判別が疑わしい場合、今後壊死の可能性があったとしても、まずは生かす治療を行い、経過を観察してみる。ただし、その後、歯髄壊死の症状・徴候が認められた場合は、根管治療をすることに同意を頂き治療に臨む。
3.神経が残せるか否かの判定が難しく、結局神経が死んでしまう可能性があるならば、根管治療をご希望される場合もございます。長期海外出張や治療回数、費用に関わるご負担を第一に考えられる患者様がこれに該当するでしょう。
4.かみしめや食いしばり、冷温刺激の持続などにより、歯の神経が炎症を起こし、のちに歯髄壊死となり、根管治療が必要となる可能性があること。
治療に臨む前に、上記4つのパターンの可能性をご説明させて頂いた上で治療に臨んで頂いております。
「神経を残す治療」や「根管治療」と説明されたとしても、イメージがつかず、ご心配になられる患者様もいらっしゃいます。そのような患者様には以下のリンクを当院にて見て頂いた上でご説明させて頂いております。添付させて頂きます。ご参照下さい。
適切な歯の神経を残す治療について
https://miyazaki-dentalclinic.com/21762
適切な根管治療について
https://miyazaki-dentalclinic.com/14599
当院では、可能な限り神経を残すべく治療に傾注しておりますが、その患者様の治癒能力によって、歯の神経のバイタリティー(生命能力)によって、その後、根管治療に至ってしまうケースがあるのも事実です。
この点につきましては、患者様に過度の期待をお掛けしないよう事前に必ずご説明させて頂いて上でご同意頂き、治療に臨ませて頂いているのが現状です。
本症例の患者様は、私の臨床実感として、歯の神経を残せる症例であったと思っております。
事実、術後1カ月後、3か月後、6か月後の症状も把握しておりましたが問題ございませんでした。しかし、患者様ご自身として、身体が疲れると、歯ぎしりをして、歯に痛みがあったことを自覚されていました。
歯髄壊死に至るには「むし歯」つまり「細菌感染」だけでなく、「外傷」「持続的冷温刺激」も関連するようです。
たとえるならば、蚊に刺されると皮膚が腫れて炎症を起こします。これを感染による炎症とします。
皮膚をたたき続ければ、皮膚は赤く腫れます。これも炎症です。
熱いもの、冷たいものをあてつづけると皮膚は炎症を起こします(やけど)。これも炎症です。
歯ぎしり、食いしばりは、歯が打撲を起こすのと同じです。その中の歯髄が炎症を起こし、壊死に至ります。
本症例の03:41 を見ても明らかなように、いわゆるむし歯の所見はありませんでした。
ご質問頂きました「本症例を失敗」とするか否か?につきましては、これからの当院の課題として、患者様に再度、ご確認頂いて、今後の治療に臨ませて頂きます。
再確認の機会を頂いたいことをとても感謝しております。ありがとうございます。
また、今回の症例を、
「通常であれば根管治療となっていた症例を、2年間、ご自身の歯で、神経をとらずに過ごすことができた。」ことに喜びを見出すのか?
また、
「そんなことならば根管治療をした方が良かった」と考えるのか?その価値観は皆様それぞれであるため、今後の術前の問診課題とさせて頂きます。
本症例の患者様には、「ありがとうございます」という感謝のお言葉を頂いております。再治療に際し、当院にご来院いただけたこと自体、こちらが感謝なのですが、このような患者様に出逢えたことは本当にありがたい限りです。
大変勉強になるコメント、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。