40代男性、右下大臼歯の違和感を主訴に来院されました。写真は治療終了時、ハイブリッドセラミックスを装着した口内写真です。噛む力の強い患者さまには適した材質といえるハイブリッドセラミックスの治療過程をご報告させていただきます。
治療スケジュールは、1カ月ほど。
①初診時 根管治療
②根管治療終了
③ファイバーコア+仮歯セット 型どり
④ハイブリッドセラミックスセット
左写真は初診時の口内写真です。マイクロスコープで診査すると、銀合金の詰め物が擦り減り、歯もすり減り、隙間ができています(黄色矢印)。レントゲン写真ではその部位が黒く写っており、むし歯が疑われます。神経近くまで進行したむし歯であるため、ラバーダムを装着してむし歯治療に臨みます。
(神経を残す治療はこちらをクリックご参照ください)
マイクロスコープで慎重にむし歯を除去します。むし歯は神経にまで到達していたことから、根管治療を行いました。本症例の第2大臼歯は、2歯根3根管が基本です。3根管を明示し拡大清掃します。根管内を無菌化すると痛みや不快症状はなくなります。
根管治療後に型どりをして、ファイバーコアを植立します。柔軟性のあるファイバーコアは歯の寿命を長くします。その上にかぶせものを製作しますが、かぶせものは精度が命です。形を整えて、歯肉圧排をおこない精密な型どりをします。型どり後は仮歯を装着します。
ハイブリッドセラミックスはメタルとハイブリッドセラミックスで作られています。裏側には歯の削除量を少なくするためにメタルが一部露出しますが審美性を損なうものではありません。症例によってはすべてをハイブリッドセラミックスで覆うことも可能です。本症例のように、噛む力が強い症例では、審美的にも優れ、また柔軟な素材であるハイブリッドセラミックスは適した材料といえるでしょう。
【セラミック治療・ホワイトニングについて】(保険外治療・自費治療)
治療内容
セラミック製の人工歯を用いて歯の欠損した部位を補ったり歯列を整えたり、特殊な薬剤やライトを使用して歯を漂白するなどして、美しい口元をつくります。
標準費用(自費・税別)
セラミック治療:45000円~165000円。ホワイトニング:35000円
治療期間・回数
①カウンセリング
②かたどり、かみあわせ
③セット
※口腔内の状況や治療内容により異なります。
メリット
セラミック治療により自然な白さや透明感のある口元を手に入れることで、銀歯が気になってうまく笑えないなどのコンプレックスを解消することができます。さらに芸能人のようなより白く美しい歯並びにすることもできます。また以前に入れた銀歯によるアレルギーが改善する場合もございます。ホワイトニングでは着色汚れを落とし、歯本来の自然な白さを取り戻します。
副作用やリスク
【セラミック治療】
歯を削ります。また場合によっては、治療箇所周囲の健康な歯を削ることもございます。歯を削ることで痛み・しみ・知覚過敏が起こることがあります。被せ物や詰め物は経年劣化する場合があります。
【ホワイトニング】
歯の変色の原因によっては、ホワイトニングによる改善が認められない場合があります。また治療・薬剤によって、知覚過敏や歯がしみたりすることがあります。