メールご相談への回答例(当院の根管治療の流れ 2回 歯髄壊死症例)


根管治療(根っこの治療、神経の治療、歯内療法)は避けたい、神経を残したいができるでしょうか?といったお問い合わせ、ご来院いただく患者さまを多く拝見しております。
実際に拝見しないことには明確には分かりません。

当院にいただくメールの中から1通、その内容と実際の治療について、動画を交えてご紹介させていただきます。ご参考いただければ幸いです。

まずは以下のようなお問い合わせをいただきました。


患者様から頂いたお問い合わせメール

『他院で「歯の神経を取る必要がある」と言われましたが、可能な限り神経(歯髄)を残したいと思い、ご相談させていただきました。経過を以下にご説明させていただきます。数年前に前歯(右側切歯)の虫歯治療を行い、レジンを詰めていただきました。その前歯に1ヶ月ほど前に弱い痛みがありましたが、その後数日して痛みはおさまりました。つい2日ほど前から今度は少し強めの痛みが現れました。具体的には、普段は痛くありませんし、食べ物を食べても痛くありません。しかし、温かいものを飲んだり運動したりすると痛みが現れます。あとは打診痛があります。貴院を受診させていただいた場合、治療の選択肢および歯髄を残せる可能性についてご示唆いただけませんでしょうか。お手数おかけいたします。どうぞよろしくお願いいたします。』

上記の患者様からのお問い合わせメールに対し、当院では以下のような回答をさせていただきました。

『はじめまして。宮崎歯科医院 宮崎と申します。よろしくお願い致します。お痛みのある中、詳細なるご説明をいただきまして誠にありがとうございます。

お問い合わせ内容
「貴院を受診させていただいた場合、治療の選択肢および歯髄を残せる可能性についてご示唆いただけませんでしょうか。」

〇初診の流れはこちらをご参考ください。よろしくお願い致します。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22254
痛みがあり、応急治療が必要な場合はこの限りではありませんのでご相談ください。

〇部位は異なりますが、「痛みがあり、他院で根管治療が必要と説明を受け、当院を受診された患者さま」の症例があります。ご参考までに添付させていただきます。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22440

〇神経を取らなくてもいい場合(=可逆性歯髄炎)と神経を取るべき場合(不可逆性歯髄炎)の症状の違いについての診断基準がございます。こちらもご参考、ご一読いただけると幸いです。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22012

患者様さまのような症状を有する患者様の場合、その痛みの原因は2つあります。
①歯の深部での細菌感染による一時的な痛み⇒神経は生きている。
②細菌の感染により神経は死んでいるために痛みが生じている⇒神経は全部あるいは部分的に死んでいる

この違いは、術前では分かりづらい場合がございます。
神経を残すべく治療に臨みますが、神経がすでに死んでいる場合は根管治療が必要となります。このような場合の1例についてはこちらをご参考ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22367

当院受付スタッフに申し伝えておきます。ご連絡いただければ幸いです。

痛む歯を使用してのお食事は避けていただいていたほうがよろしいかと思います。
もし強い痛みが生じた場合は、前医で痛み止めが処方されているようであれば服用ください。また痛み止めが処方されていないようであれば、市販のロキソニンが鎮痛、消炎作用があるため効果的でしょう。お薬のアレルギーなどないことをご確認の上、服用ください。』

当院ではこのようにメールにて回答させていただきしたところ、後日、患者様よりご連絡をいただき、当院にて診査、加療させて頂くこととなりました。


まずは当院歯科衛生士による診査、治療説明後、患者様の同意を頂いた上で治療に臨みました。 部位は上顎側切歯。プラスティック樹脂(コンポジットレジン)が詰めてあります(黄色矢印)。レントゲン画像所見より、神経(歯髄)に近接していることが分かります。

ラバーダムを装着し歯面を洗浄

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。細菌を駆除するのがむし歯治療の目的となります。そのため、当院では必ずラバーダムを装着します

ラバーダム装着後は、歯面に付着した唾液を薬液を用いて洗浄消毒します。

このような、無菌的配慮が治療を成功に導きます。

この後に、むし歯を齲蝕検知液を用いて染色しながら削り取ります、マイクロスコープを用いて注意深く行います。むし歯は細菌の感染症であるため、染色した部位は徹底的に取り去ります。少しでも残してはいけません。目に見えない細菌の感染症である「むし歯治療」において、肉眼・裸眼の治療は無力です。マイクロスコープや拡大鏡が必要です。

歯髄壊死した状態

本症例ではむし歯を取り去ると、神経が露出(露髄)し、そこに血流は認められませんでした。健全なる神経(=歯髄)は、ピンクの水風船のような形態をしており、血流がみとめられるため、神経に至るむし歯治療では、そこから「出血」が認められます。そのような場合は、神経を残す治療が可能ですが、本症例ではそれが全くありません。そのため、その状態を動画・静止画で記録しつつ、根管治療を行うこととなります(術式の詳細は動画をご参照ください)。

根管内をゲーツグリデンドリル、ニッケルチタンファイルなどを用いて適切に清掃します。その後は次亜塩素酸などを用いて洗浄消毒を徹底しておこないます。当院では従来よりあるステンレススチール製のファイルは極細のものを「新品」のみ使用します。滅菌消毒による複数回使用は、器材の劣化をまねく恐れがあるため当院では行いません。
1回目の治療、最後に根管内に水酸化カルシウムを貼薬し、1週間経過を観察します。

1週間後再度来院いただき、キレイになった根管内を適切にガッタパーチャ樹脂により充填し(=根管充填)、治療後の再感染を予防します(術式はCWCTを採用)。
術式の詳細は動画をご参照ください。

すべての治療過程において、マイクロスコープは不可欠です。
むし歯は目に見えない細菌の感染症です。この感染を駆除するためには、適切なコンセプトに基づく、マイクロスコープやラバーダムなどの「無菌的配慮」ができる環境づくりが医院に必要です。

多くの歯科医院があります。感染症であるむし歯治療の原則に従い、真摯に治療に臨まれている歯科医院は多くあります。

神経を残す治療根管治療をお考えの患者様は、この点にご留意頂き、医院をご選択くださることを切に願ってやみません。