保険でマイクロスコープ ラバーダム?なぜすぐ神経を抜くの?

当院のyoutubeチャンネルに頂いたご質問とその回答を供覧させていただきます。

患者様皆さまが一度は考えたことのある質問ではないでしょうか?

ぜひご参考ください。

宮崎歯科医院 youtubeチャンネル


《ご質問内容》

「マイクロスコープを使った治療って保険適用じゃない歯医者さんがほとんど、もしくはマイクロスコープがないラバーダム使用しない歯医者さんばかりですが、なんでなんでしょうか? だいたいすぐに神経抜いてしまいますよね…」

 

頂きましたご質問に①~③の番号を付して、以下に回答させていただきます。

①マイクロスコープを使った治療って保険適用じゃない歯医者さんがほとんど。

②もしくはマイクロスコープがないラバーダム使用しない歯医者さんばかりですが、なんでなんでしょうか?

③だいたいすぐに神経抜いてしまいますよね…

 

① マイクロスコープの保険適用について

マイクロスコープの使用が保険で適用できる場合もあります。

以下の2例に限り、保険診療が適用されます。

・下顎第2大臼歯 樋状根の根管治療の際

https://miyazaki-dentalclinic.com/23626

https://miyazaki-dentalclinic.com/24674

・歯根端切除術

https://miyazaki-dentalclinic.com/22325

当院youtubeチャンネル 歯根端切除術
https://youtu.be/28lNOlWQONA

根管治療+歯根端切除術+オールセラミックスクラウン
https://miyazaki-dentalclinic.com/20975

これ以外の歯科治療では、未だ保険治療では認められていません。
これは、歯科医院個人個人が決めているものではなく、国が認めたものです。

当院のように、それでも何とか患者様の病状を回復するために、マイクロスコープを使って治療に臨んでいる医院もありますが、一部負担金あるいは保険外(自費)の根管治療メニューを用意して、対応しているのが現状です。

保険と保険外治療の根管治療の違いについて(表)
https://miyazaki-dentalclinic.com/wp/wp-content/uploads/717e70dfd37efe0fb29af4511ab1fd6d.jpg

保険と保険外(自費)の根管治療の違いについて わかりやすく説明

(マイクロスコープを活用した根管治療で使用する薬剤、治療機器などは非常に高価なものが多く、保険診療費用の枠を大きく超えることがほとんどです。)

当院の保険外治療と保険治療との費用について
https://miyazaki-dentalclinic.com/23190

②マイクロスコープがない、ラバーダムを使用しない理由

1)マイクロスコープがない 理由

1.高価である

現在の日本の根管治療の保険診療代金は、非常に安く、海外の先進諸国の歯科事情とは比較にならないほど低下価格なものといえるでしょう。そのため、日本国民にとっては、非常に助かる診療システムです。

しかし、その日本の保険治療項目は、戦後つくられた国民皆保険制度そのままが踏襲されており、日進月歩する歯科医学とはかけ離れているのが現実です。「痛みなどを取る、最低限の治療」が、現在の保険診療システムといえるでしょう。

対して、マイクロスコープは一機、600万円~1000万円です。
マイクロスコープでの治療には、それに伴う専用の治療機器・器材が必要となります。
繊細な治療となるため、治療時間も必要です。

神経を残せるか否か?現在の症状からチェック
https://miyazaki-dentalclinic.com/24628

保険と保険外(自費)治療の根管治療の違いについて
https://miyazaki-dentalclinic.com/23190

 

2.マイクロスコープを活用するには技術と適切な治療コンセプトが必要。

UCLA正式プログラム 認定 根管治療 修了証マイクロスコープがあれば良い治療ができるとは限りません。

「素晴らしいフライパンがあれば、必ず美味しい食事が出来るとは言えない」のと同じです。

食事をつくるのは、「人」であって、フライパンではありません。

適切な治療には、適切な治療コンセプトが不可欠です。

当院ではアメリカUCLAの歯内療法専門医の治療コンセプトに従い治療に臨んでいます。

マイクロスコープ ラバーダム 保険治療 根管治療 神経を残す抜かないできるだけ治療

2)ラバーダムをしない理由

ラバーダムの使用率は、数パーセントです。当院では100%ラバーダムを装着し治療に臨みます。
保険診療にてラバーダムを装着しない理由は、保険診療にその項目がないからでしょう。

当院では根管治療の際、必ず麻酔を行いますが、患者様のお話しを伺うと、麻酔をせずに根管治療をする医院が非常に多いようです。

麻酔なしでラバーダムを装着すると痛みが生じる可能性があります。また、そのひと手間や必要な道具を揃えることが、現在の日本の保険診療報酬とは見合っていないため、その導入ができない歯科医院がほとんどなのでしょう。少ない保険診療収入で、なんとか工夫をして治療を行っているのが、現在の日本の保険診療システムといえるのではないでしょうか。

③「だいたいだいたいすぐに神経抜いてしまいますよね…」

マイクロスコープとラバーダムを装着した治療環境を整えることができない場合、治療する歯の「神経の炎症状態やその生死」を肉眼で診査・診断し、その神経を生かせるか否かを判断することは不可能です。

当院のマイクロスコープを活用した神経の精査、神経が生かせるか否か?を以下のリンクで分かりやく解説しております。ご参考ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22037

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。

歯の神経(歯髄)を残す・取らない・根管治療しない 東京都内内幸町西新橋虎ノ門霞ヶ関神谷町日比谷有楽町の歯科歯医者 マイクロスコープが必要

マイクロスコープとラバーダムを活用した神経の精査ができない治療環境では、

〇むし歯が神経近くまで進行していることがレントゲンで分かる
〇露髄(むし歯は歯の神経に至っていることが目で見て分かる)が認められる

このような所見が認められたら、早期に、これ以上の細菌感染拡大を予防するために、「根管治療」(感染している可能性の高い神経を取り去ること)をすることが、「その歯を守る」適切な治療方法といえるでしょう。

マイクロスコープのない治療環境では、「すぐに神経を抜いてしまう」といった安易な判断ではなく、「限られた治療環境・治療条件における適切な判断、手際のよい治療」と見方を変えるのが妥当な考え方といえるでしょう。

以前はマイクロスコープはありませんでした。そのため、すぐに神経を取り、それ以上の感染拡大を予防することには「正義」がありました。

しかし、現在ではマイクロスコープに限らず、素晴らしい治療機器が日々開発され実用化されています。

歯科医療に限らず、すべてにおいて、日々暮らしは進化し便利になっています。

その進化を受け入れ選択するか、従来の方法を選択するかは、個人個人の価値観で選べる時代です。

当院では、日進月歩の歯科医療の最先端を患者様に提供できるよう、日々、医院の治療環境を整え、日々の臨床に取り組んでいます。

このyoutubeチャンネルも、当院の取り組みをお知らせする1つの場です。

このようなコメントを頂けることは非常に有難く、多くの方々に有用なご質問といえるでしょう。

長文となりましたが、回答は以上です。この回答がお役に立てれば幸いです。よろしくお願い致します。宮崎

宮崎歯科医院 youtubeチャンネル