ジルコニアインレー装着後よりズキズキと痛む 《根管治療》

ジルコニアインレー ズキズキ痛い 根管治療 神経残す 抜かない他院で上の奥歯にジルコニア製のインレーを装着された患者様。装着後より痛みが続くため当院にご相談で来院されました。担当医からは、「くいしばりが原因でしょう。徐々に慣れてきますよ」と説明されたそうです。しかし、痛みは増すばかりです。

本動画は、そんな患者様の急患対応時の治療の様子についてです。原因は何でしょうか?

ジルコニアインレー ズキズキ痛い 根管治療 神経残す 抜かない 原因 治療法

神経を残せるか否か 根管治療は必要か その症状から診断名と治療法をチェック一度拝見し、様子をみることになりましたが、その後、痛みが治まらず、何もせずともズキズキと痛むため、急患でご来院されました。

深いむし歯治療後の「鎮痛剤の服用を必要とする程のズキズキ、ジーンとするような痛み」には2つ病態が推察されます。(詳細は右表をクリック、ご参照ください)

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。その進行の深さによって、治療法が異なります。
歯は3層構造です。外側からエナメル質、象牙質神経となっています。

むし歯の深さとその治療法について 従来の肉眼による治療法とマイクロスコープによる治療法の違いとは

上の図は、左から右に行くに従って、むし歯が深く進行していることを表しています。

左から、浅いむし歯、深いむし歯、更に深く、神経に達しているむし歯、細菌の感染により神経が強く炎症を起こしているむし歯(=不可逆性歯髄炎)、感染の拡大により、神経が死んでしまっているむし歯(=歯髄壊死)です。

図の下の表は、むし歯の進行度合いに対応した治療法。神経を残せるか否か?についてです。そして、赤矢印の先、「従来の診査」とは、「歯科医師が肉眼で治療している場合」です。

根管治療とは、細菌感染を取り除くため、歯の神経を取る治療を云います。

むし歯の深さとその治療法について 従来の肉眼による治療法とマイクロスコープによる治療法の違いとは 深いむし歯 神経に達しているむし歯でも歯の神経は残せる

左の「浅いむし歯」は従来の診査とマイクロスコープによる診査の違いなく、神経を残すことが可能です。

同様に、表の右側の「強く炎症を起こしているむし歯」「神経が死んでしまっているむし歯」は、両診査の違いなく、根管治療がその治療法となります。

しかし、黄色枠の「深いむし歯」、「神経に達しているむし歯」の状態であれば、以前の肉眼による治療(=従来の診査)なら、神経をとる根管治療をしなければなりませんでしたが、マイクロスコープ活用することで、神経を取らずに残せるようになっています。

本症例は、前医の治療において、この黄色枠に分類されていましたが、残念ながら、前医はラバーダムやマイクロスコープを使用していなかったそうです。

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症ですむし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。

治療中に唾液が歯に接触することは、治癒を阻害ばかりでなく、再感染の機会を与えかねません。感染と取り除く”むし歯治療”にとって、唾液の侵入を予防するラバーダムは、深いむし歯治療や根管治療では必要不可欠な治療環境と云えるでしょう。

ジルコニアインレーは、セラミックの10倍の硬さを誇ります。かみあわせを維持するには最高の材質ですが、再治療となると外しづらいため一苦労です。ジルコニアインレーを外し、齲蝕検知液でむし歯を診査します。ピンク色に染色された部分、茶褐色に変色した部分はむし歯です。

マイクロスコープの拡大率を8倍から20倍に上げ、さらに精査すると、赤矢印の先に”露髄”が認められました。”露髄”とはむし歯が神経に達し、神経が露出することを云います。

露髄 歯髄壊死 深いむし歯 むし歯が神経に達している様子

神経が生きていれば、血流があるため、この時点で出血が認められるはずですが、本症例ではそれがありません。歯の神経はピンク色の水風船のような形態ですが、本症例ではそれが認められず、空洞となっています。

これを細菌感染による「歯髄壊死」といいます。神経が感染により死んでしまい、空洞化している状態です。このマイクロスコープの画像所見により、ジルコニアインレーを装着する時点で、露髄していたことが推察されます。

前医は、ラバーダムをせず、肉眼で治療されていたそうです。肉眼ではこの「わずかな露髄」に気づけなかったのでしょう。残念でなりません。

歯の内部には「根管」というスペース(空洞)があります。そこに神経があります。この内部の感染を取り除くのが根管治療です。

根管治療の順番順序 手順 ゲーツグリデンドリル

むし歯は上部から下部へと侵攻します。根管治療はその感染を辿るように、上部から下部
へ、①、②、③の順で根管内を清掃します。

根管治療はえんとつ掃除です。えんとつ内のススを掃除するように、根管内壁に感染した
細菌を削り、磨き、消毒します。えんとつを壊さないように、適切な知識と器具を使用して掃除に臨むように、根管治療を行います。

以前は歯科医の「経験と勘、患者様の治癒能力」に頼らざる得なかった根管治療は、マイクロスコープを活用することで確実性の高い治療となっています。

①~②の部分の感染を取り除いたら、③の先端の清掃をします。この際に使用する器具をファイルといいます。極細のステンレススチール製の針のような器具です

ステンレススチール製ファイル 折れる 原因 ディスポーザブル 使い捨て ニッケルチタン製ファイル

破折ファイル除去判断基準このファイルで根管内壁の感染を削り取りますが、当院では60~100ミクロンのファイルは使い捨て、150ミクロン以上は使用しません。

滅菌し繰り返し使用すると金属疲労を起こし、根管内で破折しやすいこと、太いステンレススチール製ファイルは根管形態を壊すことが理由です。

根管治療 ニッケルチタン製ファイル

③の根の先端3分の1の根管形態は非常に複雑で湾曲しています。そのため、当院では、柔軟性の高いニッケルチタン製のファイルを使用して根管治療に臨んでいます。3種類、計6種類のニッケルチタン製ファイルを使い分け、根尖3分の1の繊細な根管治療に臨みます。

根管内の感染を削り取り、各根管の直径を350~400ミクロンにまで拡げます。その上で、次亜塩素酸を使用して根管内洗浄・消毒します。次亜塩素酸(薬液)に、音波振動を加え、その洗浄効果を高めます。次亜塩素酸は洗浄により水に分解されるため、繰り返し繰り返し洗浄・消毒を行います。

根管内の泡立ち(発泡)は、根管内の汚染を意味しています。この泡立ちがなくなるまで、繰り返し繰り返し洗浄消毒を行います。次亜塩素酸の作用時間と根管内の無菌化には
比例関係があるといっても過言ではありません。徹底した薬液洗浄が必要です。

根管内の洗浄 次亜塩素酸 濃度 音波振動 エンドアクチベーター

根管内の洗浄後は、洗浄液を吸い取り、根管内を乾燥させます。その後は、水酸化カルシウムを貼薬します。次回根管充填で終了です。

本症例では、ジルコニアインレーを装着する前に、すでに神経が壊死していたか?治療後の露髄により壊死したか?定かではありません。その時点でラバーダムとマイクロスコープを活用していれば結果は変わっていたかもしれません。

根管治療 水酸カルシウム

根管治療根っこの治療 神経の治療 どんな治療?何をしているの?詳しく知りたい 動画で説明 適切な診査診断のもと、マイクロスコープを活用することで、安全、確実なる歯科治療が現在では可能となっています。

ぜひ皆さまに知っていただきたい、利用して頂きたい機器といえるでしょう!

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