#開かない根管 #不良根管充填 #再根管治療 #石灰化

先生いつもありがとうございます。 浸麻時に、手を挙げる練習をしてもらうことで麻酔への意識を逸らし、痛みを緩和させる技術、お見事です!

とても勉強になります。

先生はどうしても開かない根管がある場合はどうされますか?

また、補綴する際は根尖病変がなくても不良根管充填であれば、再根治しますか?

コメント拝読いたしました!

いつもご視聴頂きありがとうございます!

私なりの狭い見解ではございますが、回答させて頂きます!
何卒よろしくお願い致します!

「どうしても開かない根管はどうするのか?」

文章だけからの回答となります。実際の症例を見ておりません。
そのため、頂いた文章・言葉の意味に前提条件を加えさせて頂き回答させて頂きます。
よろしくお願い致します。

『どうしても』
→この言葉の意味が、患者様受け入れない、自分自身の現在の知識と能力ではできない、それすら分からないなど、「どうしても」という感情論では計れない場合があります。

そのため、どうしても、つまりどうやっても?という感情論的な言葉ではなく、「なぜ根管を開けなくてはいけないのか?」という診査診断の明確さが重要となってくるように私は感じています。

この一例として、「ファイルの破折」があります。

ファイル破折も、必ず除去しなくてはならないとは私は考えておりません。
ぜひこちらのリンクをご一読頂ければ幸いです。

根管治療 ファイル 折れた 東京都内内幸町虎ノ門新橋霞ヶ関の歯医者歯科

湾曲根管 根尖でのファイル(器具)が折れることについて

『ファイル、リーマーなどを根管内で折ったことのない歯科医は根管治療をあまりしていないのである』 (現代歯内療法学の父 Dr.Louis I. Grossman)

根管治療の聖書にもこんな言葉があるように、根管治療中に、根管内の清掃器具であるステンレススチール製の「ファイル」(極細のやすりのような器具)が折れてしまい、根管内に残ったままとなっている症例はしばしば認められます。

ファイルの破折は、症例全体の2~6%で生じると報告する調査もあり、部位別の発生頻度の調査がペンシルバニア大学にて報告されています。

根管治療中に使用するNi-Tiファイルは、折れづらい器具ではありますが、金属疲労や食い込みによるねじれ破折により折れてしまうことがあります。

また、複雑な根管形態を有する根管を治療する際に生じやすい(樋状根、根管の分岐、石灰化)という報告もあります。

では、ファイルが破折した場合、している場合、必ず除去しなくていけないのでしょうか?
これにはいくつかの判断要素がある感じております。

1.根管内の感染程度
2.破折のタイミング
3.破折位置
4.治療環境 ラバーダム マイクロスコープはあるか?
5.術者のスキル

その治療のキッカケ、たとえば、痛みの原因は、根尖病変にあり、その根尖病変の原因が根管内にあり、なおかつ、ファイルの先にある可能性があるならば、ファイルを除去しなくてはいけません。
また穿通できていない先に原因がある可能性が高いのならば、穿通しなくてはいけませんし、しないはずはありません。

ファイルが破折したタイミングは術者にしか分かりませんが、例えば自分自身で根管治療を行い、その治療中に折れたのならば、どのタイミングで折れたのかが重要です。
・感染を取れていないタイミングで折れたのであれば、取らなければ治りません
・400㍈近くにまで拡大し、症状も緩解し、最後に40 06ファイルが根尖で折れたのであれば、それは除去する必要はないかと思います。但し、ラバーダム+マイクロスコープ+新品のファイルであることは最低条件です。
いずれにしても折れたら取り除くことを最優先にしますが、それを取ろうとすることで、根管壁が薄くなったり、視野を得るために歯質を削り取ったりすることは、その後の予後に影響を与えます。

・なぜそのファイルを取る必要があるのか?
・なぜ穿通しなくてはいけないのか?
・それをするためにはどのような術式を用いるのか?
・その術式を行った際のデメリット、歯質削除による予後に与える影響は?
・歯根端切除術は可能か?

除去を行った場合のリスクと得られる予後の良しあしを天秤にかけ、患者様と十分に話し合い、治療法の決定を行う必要があるかと感じております。

私は開かない根管はありません。
これはすべてを開けるということではなく、開ける必要のある根管は、つまりは根尖病変があるような根管は、たとえCTで写っていなくても開けることができます。これには多少の経験と知識と技術に加えて、「時間」が必要です。
無理な時は、根管内にEDTAを貼薬して1週間後にトライしてみて下さい。

診療時間に追われた凝り固まった自分の意識もリセットされ(笑)、また根管も結構あきます(笑)、ぜひ!

ファイル除去の動画はこちらを!
〇根管内で折れた器具(ファイル)を取り除く!
https://youtu.be/J_wpV0IoWhQ?si=2iXOS8OjB2LszLqQ

『補綴する際は根尖病変がなくても不良根管充填であれば、再根治しますか?』

→『良い根管治療とは何か』
これについてこちらのリンクで解説しています、ご活用いただければ嬉しいです。
https://miyazaki-dentalclinic.com/25051

動画はこちらです!
〇良い根管治療とは? 抜歯と診断された歯を治す!
https://youtu.be/WvyVDLpTk6U?si=35ytGyLaGMyhpDcK

この動画の4つに該当する場合は、根管治療を行う必要性を説明しています。

それを受け入れるか否かは患者様のご決断です。

根管充填が十分ではなくても、予後に問題はないとする論文もあります。
ただし、根管充填というワンステップを、最後のステップに落ち度があるのに、ほかのステップに落ち度がないなんてことは考えづらいですよね(笑)

神は細部に宿ります

我々歯科医師の責務は、0.5~1.0㍈の見えない細菌との戦いに勝つことです。

患者の免疫に頼ることなく、徹底した知識と技術で、一生懸命に臨むではないかと私考えています!

この回答が少しでもお力になれていれば幸いです!