日別アーカイブ: 2019年3月7日

神経ギリギリ残すが歯髄壊死となった症例 (都内港区内幸町新橋虎ノ門日比谷霞ヶ関歯科歯医者日比谷千代田区)

まずは本症例の病歴をご説明させていただきます。

つめものしている歯(上顎小臼歯)がたまに染みていたため、他院にて診査したところ、「知覚過敏」との診断を受け様子をみることとなりました。しかし痛みが強くなってきたため、再度受診し、つめものを外して神経ギリギリまでむし歯を削ってもらったそうです。これが2~3カ月前の話。その時は一端症状は落ち着いたそうですが、(当院へ来院する)1か月前に激痛があったため、通院中の歯科医師に相談すると、「詰め物が割れているのでもう1回セメント詰め直しましょう。できる限り神経は残しましたが、目に見えない感染があると痛みがでるよ」と説明を受けたそうです。その後、痛みが強くなり、食事も痛かったため、当院を受診することとなったのですが、当院を受診する前日の夜までは痛みがあったのですが、来院日は痛くなくなってしまいました。

詳細に伺うと、前医での深いむし歯治療の際、ラバーダムやマイクロスコープは使用していなかったそうです。とても優しい良い先生だったそうですが、痛みが治まらなかったことから、患者様自身が勉強し、深いむし歯治療ができる環境のある当院受診を決断されたそうです。

治療しても痛みが残っていたのは、「細菌感染が残っていた」ことが推察されます。
痛みは「細菌感染と戦っている証拠です」。

血液が歯に流れ込むことで歯の内部の内圧が高まり、拍動性のズキズキとした痛みが生じます。これを過ぎると、神経は徐々に壊死するため、痛みは一端緩解しますが、周囲歯槽骨を溶かし、歯ぐきが腫れて、膿んでしますのです。これを根尖性歯周炎といいます。本症例では、深いむし歯から歯髄炎となり、徐々に進行し、歯髄壊死に至っていることが、問診より推断されます。

患者様は、「(前医)優しい先生だったから、できるだけ神経を取らないようにしてくれていたんでしょうね。私が無理言っちゃったのかしら」とおっしゃっていました。患者様も、前医の先生もとてもお優しい方です。


しかし、むし歯は細菌の感染症です。感染を取り除けば治癒しますが、歯髄が壊死した場合は、取り去らなくてはなりません。

早期発見、早期治療で神経を残すことが可能です。

マイクロスコープを用いた「神経を残せるか否か?」の診断の様子については上動画をご参照ください。