日別アーカイブ: 2021年12月18日

歯の根幹治療をしたのですが、ズキズキした痛みがあります。歯の神経をとっても治療後に痛みは出るものなんでしょうか?

歯の根幹治療をしたのですが、ズキズキした痛みがあります😓 歯の神経をとっても治療後に痛みは出るものなんでしょうか?

大変多く頂くご質問です。

回答させて頂きます!

まずは結論から!

歯の神経をとる根管治療後は痛みます。ズキズキやジーンとした痛みがあるのが普通のことですのでご安心下さい。

痛みは術後、2~3日続きますが、1週間ほどかけて少しずつ弱まります。

痛みが弱まらない

悪化してきた

耐えがたい

強烈な薬の臭いがする

こんな治療後の病状も、このチャンネルのコメント欄で伺うことがあります。

これについては、あとでご説明させて頂きます。

治療後に痛むと皆さん不安になるようです。

痛みを取るために治療したのに、

これ以上悪くならないようにするために治療したのに、なんで治療後こんなに痛むの?

こんな認識であれば、不安になるもの当然です。

人は知らないものに恐怖を感じます。

まずは根管治療とはどんな治療なのかをキチンと学ぶことが大切です。

歯医者さんは、根管治療を患者様に分かり易く説明するために、「歯の神経を取る」「歯の神経を抜く」治療と説明します。

これは決して間違いではないのですが、ここだけを切り取って解釈すると、術後に痛みがあることが理解しづらくなってしまいます。

歯の神経を取る、抜くというのは、治療後の結果だけを見て表現しています。

結果だけではなく、その治療がなぜ必要なのかを理解することがとても大切です。

根管治療がなぜ必要なのか?これはむし歯の治療をご説明することで理解することができるでしょう!

歯は3層構造です。表層からエナメル質、象牙質、神経です。

唾液中に存在するむし歯の菌、歯を溶かしながら、歯の内部にまで感染を拡げていく病気がむし歯です。

細菌の感染症なんで、放っておいても治りません。

でも取り除けば、治ります。

取り残せば、治りません。

放置すれば感染拡大進行します。

だから、徹底的に感染を削り取る。これがむし歯治療です。

むし歯が2層目、象牙質に至ると冷たいもの甘いものが染みるようになります。

神経に近ければ、神経を「間接的」に薬で保護して凍みないようにしてから治します。

これを間接覆髄法っていいます。

神経のことを歯髄っていいますが、その歯髄を覆って治すので、覆髄法っていうんです。

さらにむし歯が深くて、神経に達していれば、冷たいものが強く凍みて痛みます。

こんな場合は、直接、神経に薬を付けて治します。これを直接覆髄法っていいます。

さらにさらに深く進行すると、神経が炎症を起こして治らない、神経が死んでしまうこともあります。この場合は、炎症を起こした神経や壊死した神経のみ取り除き、部分的に健康な神経を残します。これを部分断髄法っていいます。

もっと深くにまで進行してしまうと、流石に神経を残すのは難しい。

こんな時は、徹底して感染を取り除くべく、神経を取る・抜く治療といわれる「根管治療」が必要となるんです

これ以上感染拡大し、歯を支える骨にまで悪影響を及ぼす前に行う治療、それが根管治療です。

つまり、むし歯治療は、その進行度合い、感染の深さで、適切な治療法が決まるんです。

歯の内部に感染した細菌を徹底的に取り除いた結果として、歯の神経が抜けた状態、歯の神経を取った状態となる。これが根管治療なんです。

細菌感染を徹底的に取り除くこと、これがむし歯治療の最重要ミッションなんです。

神経を取ることが治療ではないんです、神経を抜くことが治療ではないんです。

感染を取り除くことが必要なんです、これ大切!

歯も身体の一部です。

根管治療は、例えるならば、腕に刺さった汚れた棘を取り除くようなものでしょう。

汚れた棘が刺さっていれば、皮膚は腫れ、ズキズキ、ジーンと痛みます。

歯の内部に細菌が刺さっていると想像していただければ分かり易い。

その棘を麻酔をした上で、炎症起こした部分も含めて抉り取る。

これが根管治療です。

抉り取られた部分には知覚はありませんが、その周囲の組織は健全です。

当然、麻酔が切れれば痛みますよね

また、身体は、えぐられた部分に血液を流して治そうとします。

すると、血液の流れ、つまり心臓の鼓動に一致したようなズキズキ、ジーンとした痛みが生じるんです。血液循環が身体を治すのは、身体の免疫機能の原理原則です。

つまり、痛みは「今治っているよ!」っていうサイン!

悪いことではないんです。むしろ良いこと!

でも、先ほどお話しさせて頂いたように

痛みが弱まらない

悪化してきた

耐えがたい

強烈な薬の臭いがする

術後、こんな症状がある時は注意が必要でしょう。

「痛みが弱まらない、悪化してきた」

術後こんな症状の時は、以下のことが考えられますので、ご担当の先生にご相談下さい

①まだ治療途中、感染が残っている

治療術式にもよりますが、1回の治療で感染をすべて取り除けないこともあるでしょう。

そのような、細菌感染が残っていて、なおかつ、クスリでその炎症や感染を取り除ききれない場合は、症状が改善しづらいこともあるようです。

②免疫機能が低下している

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症であり、その細菌は0.5~1.0㍈、目で見ることもマイクロスコープで見ることもできません。そのため、100%感染を取り除くことは難しく、人の免疫に頼らざる得ないのが現状です。

人の身体には、そもそもこういった細菌を駆逐する、自分の身体を治す力があります。

これを免疫といいます。これには個人差がありますが、誰しも共通していることは、身体が疲れると、精神的に疲れると、免疫機能は低下します。

皆さん、お仕事、育児に家事、勉強、人間関係に、日々、頑張り過ぎです。チョット身体を休めてあげて下さい。それだけで治ってしまうこともあるようです。

③気温気圧などの外的環境の変化

気温・気圧の急激な変化に身体は敏感です。それだけで身体は疲労します。

具体的には、雨、台風、季節の変わり目、飛行機、登山、スキューバダイビングなどは、気温・気圧に変化を及ぼします。根管治療後は、ご注意ください。

以上のようなときは、ご担当の先生に一度ご相談下さい。

ただし、先ほどもお話しさせて頂きました通り、術後2~3日は痛みます。これは普通のこと、その後は和らぎますが、それが弱まらない、どっちかといえば悪化している時は、ご相談下さい!ということです。

そして最後に、「強烈な薬のにおいがする、耐えがたい痛み」

むし歯を削り取り、歯の内部の細菌を滅菌消毒する薬としてホルムアルデヒド製剤が使用されることがあるようです。

この薬は気化することで、根管内の細菌を消毒します。

そのため、歯の内部で圧力が高まり、その薬理作用で痛みが強く生じる場合もあるようです。

特に、歯が痛くて歯医者さんへいって、即日根管治療、そしてこの薬を使用すると、術後の痛みと、薬の作用のダブルパンチ。結構つらい痛みが続くようです。

ぜひ早々にご担当の先生にご相談ください。

根管治療は、歯の神経を取る・抜く治療ではありません。

神経を取ることで、確かに歯の知覚はなくなりますが、歯を支える周囲の組織は健康です。

その部分には感覚があり、治療期間中、そこには多少痛みや違和感があるものです。

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です

根管治療の目的、つまりむし歯治療の目的はその細菌を取り除くこと!

これにはラバーダムとマイクロスコープそしてご担当する歯科医師の優しさが、

三種の神器となるでしょう!