本動画は、根管治療した歯の歯ぐきが腫れて当院を受診された患者様の再根管治療の様子です。根管治療の回数は1回1時間。2回で終了の予定です。
根管治療に限らず、むし歯治療の目的は、「細菌の感染の除去」です。
その感染を取り除くことが我々歯科医師の担う治療ですが、その治療の際中に、患歯(=処置歯)の内部に唾液が混入すると、その治癒を阻害するばかりでなく、再感染の機会を与えかねません。
そのため、深いむし歯治療や根管治療では、その唾液侵入を予防する術がとても大切となります。それがラバーダムです。
本症例の歯ぐきの腫れの原因は、2つある根管のうちの1つが未治療であり、そこに感染が残っていたことでした。
動画より引用した画像です。本症例は左から2番目の2根管で、歯根の先端では1つとなる根管形態でした。全体の18%で出現する根管形態です。本症例ではそのうちの一つをの根管治療が為されていませんでいた。肉眼ではみえなかったのでしょう。その部位と、2つの根管の癒合部に感染が残ったことが「歯肉の腫れ」の原因です。
当院では、根管治療中の唾液の混入をラバーダムで予防しつつ、マイクロスコープを活用して、癒合部と未根管治療部位を適切に清掃消毒しつつ、治療済みであった根管治療部位も再度根管治療しなおしました。
治療後は、水酸カルシウムを貼薬します。ペリオドンやパラホルムアルデヒド製剤は使用しません。治癒を阻害します。
当院では、根管治療を1~3回で終了します。
毎回、無痛麻酔です。麻酔をしないで治療することなど絶対にありません。
根管治療は、「感染が取り除かれれば治ります」。
つまり、「感染が残っていれば治らない」ということです。
適切な治療コンセプトのもと、適切な治療環境と道具を揃えて根管治療に臨めば、短期間、少ない回数で根管治療は終了です。