他院にてマイクロスコープとラバーダムを使用して「神経を残す治療」を受けた患者様。治療後よりズキズキとする痛みが続き、心配となり当院を受診・ご相談で来院されました。
本動画は、根管治療(全3回)、形成と型どり、セラミックポストアンレー装着まで、治療の全過程を動画で記録し供覧させていただきます。
1回目の根管治療の様子、初診時の状態につきましては、過去に報告させていただいております。以下のリンクをぜひご参照ください。https://miyazaki-dentalclinic.com/24397
前医では、深いむし歯に対してマイクロスコープとラバーダムを装着して「神経を残す治療」に臨んだとのことでした。
治療環境は整っています。なぜ痛みが続くのでしょうか?
前医の施術内容は、下図の「直接覆髄法」とのことでした。つまり、むし歯は取り去っているものの、歯の神経の病状を実際に「診ていなかった」ようです。
むし歯が深く進行すると、歯の神経は炎症を起こし、少しずつ壊死していきます。
そのため、歯の神経が残せるか否かは、実際に歯の神経をマイクロスコープで診査した上で、判断する必要があります。
前医ではマイクロスコープで歯の神経の生死診断がされていませんでした。そのため、歯髄壊死していたにもかかわらず、分からなかったのでしょう。
下画像は、当院で撮影したマイクロスコープによる動画の切り抜きです。
歯の神経が失われ、血流がないことが分かります。
詳しくは、リンクの動画をご参考いただければ幸いです。
https://miyazaki-dentalclinic.com/24397
本症例では、根管治療を3回行い、根管治療を終了しました。
むし歯は感染症です。
感染を取りきれば治ります。複数回、長期間の治療は必要ありません。
少回数、短期間で治癒します。
しかし、これにはラバーダムとマイクロスコープが不可欠といえるでしょう。
ニッケルチタンファイルを使用して根管内を清掃します。
当院ではステンレススチール製ファイルは使用致しません。
極細で湾曲した繊細な根管内を清掃するには、ステンレススチール製ファイルでは不十分であると考えています。
下画像は、根管充填の様子です。
当院の根管充填法は、CWCT。
現在の日本の保険治療。日本では根管充填を「側方加圧充填」で行うことが通法とされています。これはピッタリあっていない樹脂をいくつも押し込む方法。この方法では歯の内部に応力をため込み、歯根破折の原因となるともいわれているのです。当院では、そのようは根管充填法ではなく、垂直加圧根管充填法のひとつ、CWCT(ContinuousWave Condensation Technique)を用いています。当院で使用する器材はISO規格(国際標準化機構)に準じたニッケルチタンファイル(②)とガッタパーチャ(④)です。この規格に準じた器材・材料を使用することでピッタリとした根管充填が可能となります。
根管充填後は、精密に歯を削り、精密な型どりを行い、セラミックポストアンレー製作します。
本症例のように、歯の神経を取る・抜く治療(=根管治療)を行ったにも関わらず、健全な歯の部分が多く残っている症例があります。
この様な症例に、メタルの土台(コア)を入れて、歯の全周を削ってしまうと、歯が脆く、折れやすくなってしまいかねません。
そのため、当院では、上動画症例のように、残っている歯質(歯)が多い場合は、「セラミックポストアンレー」を装着すべきと考えています。
この方法は、USC(University of Southern California)の教授 Pascal Magne(パスカル マニエ)先生が、「根管治療後に歯が破折しない(折れない)ようにするための優れた方法」として推奨されている術式です。
科学的根拠もあり、根管治療後の歯を強固にすることが証明されています。
上画像は、そのセラミックポストアンレーを装着した状態のマイクロスコープ画像です。
隙間もない、どこを治したのか分からない程、自然な仕上がりとなっています。
当院では、マイクロスコープを活用した精密歯科治療を通して、一生に一度の歯科治療・やり直しのない歯科治療を目指し、日々の臨床に取り組んでいます。