根管治療(神経の治療、根っこの治療、神経を取る治療、歯内療法)に何度も何度も通院しても治らない。そんな経験ありませんか?
根管治療は、唾液中に存在する細菌が歯の内部に感染を取り除く治療です。
感染を取り除けば治ります。
それでは、適切な、そして良い根管治療とはどのようなものでしょうか?
根管治療で世界的な権威であるMarwan Abou-Rass教授のファイナライゼーションコンセプトでは、このような記載になっています。
① 適切な機械的拡大・清掃が為されている。
② ガッタパーチャとシーラーで適切な長さまで根管充填されている。
③ 適切な歯冠修復が為されている。
④ 客観的・主観的症状がない、またあっても治癒傾向にある。
むし歯は口内に存在する細菌の感染症です。上記を簡単にいうならば、
① 根管内の細菌感染を除去し
② 再感染しないよう樹脂で緊密に封鎖し、
③ 上から精度の高い「かぶせもの」をかぶせ、
④ 歯科医師が見ても、患者さんの感覚でも問題が無く、治る過程にある。
これを満たす根管治療は「良い根管治療」といえるとDr.Abou-Rassは言っています。
同時に、「(上記のような)適切な根管治療が為されていないならば、経過観察など行わずに速やかに再根管治療あるいは外科治療(歯根端切除)に移行しなければならない」とも言っています。
むし歯は細菌(バクテリア)の感染症です。
口内から感染した細菌は、歯の内部へ浸食し、歯根の先へと及びます。
治療時期が遅れることで、歯根の先端より外部へと細菌感染は進行し、通常の根管治療では治癒できないこともしばしばです。
このような場合は、歯根周囲の骨ととも歯根尖を外科手術にて除去します。
歯根端切除術は、マイクロスコープの台頭により、その成功率が90%以上に上昇し、マイクロスコープを用いた外科治療の有効性が広く知られるようになりました。
これは、2000年初め、インプラント治療が安易に選択されるようになったことから、「まずは徹底して歯を残す、そのためには歯周病治療と根管治療を徹底しなければならない」という風潮がでてきたことによるものとも言えます。
現在日本では、「歯根端切除をすれば治る」と言われることも少なくないようですが、15年先をいくアメリカエンドでは、ちょっと違うようです。
アメリカにおいて、2000年代に早くも成熟したマイクロスコープによるエンド外科手術は、現在反省期に入っています。マイクロスコープ外科手術でも治すことのできない症例が多く出てきているのです。
では、根管治療先進国であるアメリカでは、どのようにしている対応しているのでしょうか?
答はDr.Abou-Rassが1999年に唱えていた「エンド・インプラントロジー」です。
エンド・インプラントロジーとは、
「エンド」とは「エンドドンティクス(=根管治療)」のこと。
インプラントロジーとはインプラント学問です。
これまでは根管治療専門医は、根管治療だけでなく、インプラント治療も視野に治療に臨むということです。根管治療や再根管治療、また歯根端切除術など、必死で歯を残そうとしても、その治療に限界があることが分かってきました。ならば、その後の「インプラント治療」を見据えた上で、根管治療を行うこと。この重要性が問われてきています。そのためには、根管治療だけでなく、インプラント治療ができる「根管治療専門医」が必要となっており、アメリカの根管治療専門医の修得過程には、インプラント治療に関するカリキュラムが導入されるようになっています。
生涯の健康に寄与するために、咀嚼機能を維持すること。
一つ一つの歯を大事にすることは当然ですが、それ以上に、摂食できる・食事のとれる口内環境を維持することがもっともっと大切です。
歯を残せない場合は、従来のブリッジや入れ歯治療などの「残っている歯に負担をかける治療」ではなく、「残っている歯を助けるインプラント治療」をできる環境を整えることの重要性が最新の根管治療分野で問われています。
当院ではこのコンセプトに基づき、適切な根管治療コンセプトに基づき、インプラント治療ができるよう、治療環境を整えて日々の臨床に臨んでいます。