本動画は、他院で根管治療が必要と診断された症例の”歯の神経を残す治療”についてです。
歯の神経を取る前に、根管治療する前に、ぜひご参考いただきたい動画となっています。
他院で神経を取る治療、根管治療が必要と診断された患者様。症状は冷たいものがすごくしみる状態です。
応急的にコンポジットレジン樹脂が詰めてある状態で来院されました。
問診からも、術前のレントゲン所見からも、深いむし歯が疑われます。
まずはラバーダムを装着し、治療中の唾液の接触を予防します。
むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。その感染を取り除くのがむし歯治療です。歯を削る前に、歯の表面を薬液で洗浄・消毒します。
歯は3層構造です。外側からエナメル質、象牙質、
神経となっています。2層目の象牙質は、細い管状の構造物の集まりです。細菌(むし歯菌)は、その細管の直径より小さいため、容易に感染拡大しやすい環境と云えます。
そのため、深いむし歯治療では、ラバーダムの装着が必要となるのです。
治療中の感染を予防する、ラバーダム。非常に大切な治療環境といえるでしょう。
「いままで使わなくても治ったから(ラバーダムは)要らないのでは?」そんなご意見も頂きます。
たしかに、細菌の感染症であるため、それを抑え込める免疫機能があれば、多少むし歯が残っていても痛みなどの症状は無くなるかもしれません。
そこでひとつ質問です。
川で洗濯をしている先で、足を洗っています。川で洗濯をしている横で頭や身体を洗っています。はたして、この洗濯物はキレイになるのでしょうか??
当院手術室でのインプラント手術の様子です。インプラント手術や外科手術を受ける際、滅菌管理された環境で手術を受けますか?それとも野原の真ん中で手術を受けますか?
より”安全・確実”なる治療を目指すならば、ラバーダムという口内の手術室が必要となることがご理解頂けるかと思います。
コンポジットレジン樹脂は神経近くにまで充填されているようです。
マイクロスコープの拡大率を上げ、歯を削らずに、コンポジットレジン樹脂のみを削り取ります。コンポジットレジン樹脂を取り除くと、「露髄(ろずい)」しました。
露髄とは、むし歯を取り除くことで、歯の神経に達し歯の神経が露出することを云います。露髄部より、うっすらと出血が認められます。
露髄部周囲を次亜塩素酸という薬液を使用して洗浄・消毒します。
齲蝕検知液を使用して、むし歯を染色します。水洗後ピンク色に染色された部分、茶褐色に変色した部分がむし歯です。
拡大率を12.5倍に上げむし歯の有無を精査します。微かにでも染色されている部分はむし歯です。染色部は徹底的に削り取ります。また、染色されていない部分は健全な歯です。徹底して削らないように配慮します。
マイクロスコープの強拡大率を活用することで、むし歯のみを削り取り、健全な部分を削らない「できるだけ削らない治療」が可能となります。肉眼では不可能な治療といえるでしょう。
健全な神経には「血流」があります。出血は健全である証拠です。気にせずにむし歯を削り取ります。従来の肉眼による治療では、この時点で「根管治療」が選択されます。なぜならば、肉眼では、この状況が観察しづらいためです。どの程度感染しているのか?神経は生きているのか診断できないからです。これ以上の感染拡大をさせないため、予防的に感染している”疑い”のある「神経」を取り去るのです。
肉眼の治療には限界があります。そのため、
・露髄=根管治療、
・神経に近い深いむし歯=根管治療
となるのです。
マイクロスコープの拡大率を肉眼の20倍にまで上げて、歯の神経を精査します。健康な神経は、ピンク色の水風船のような形態をしています。
歯の神経には毛細血管と血流が認められます。また炎症も軽度であり、健全な神経です。このように、マイクロスコープを活用することで、歯の神経を直接診て診査することが可能です。ぜひ活用したい治療機器と云えるでしょう。
露髄部にMTAを貼薬します。MTAは高アルカリ性で抗菌作用を有する優れた
覆髄材です。当院では多くの症例で応用し、良好な結果が得られています。
《ご質問》
CTを撮影すると歯の中の状態が詳しく判るようですが、メタルインレーの下に虫歯ができている場合もハッキリ判るのでしょうか?
レントゲンだと金属にブロックされてしまうというか、見づらいようですので。