日別アーカイブ: 2020年4月2日

インプラント?再度歯根端切除?抜歯?治療法は?

海外 根管治療 歯根端切除 術後 痛みあり

海外で痛みが生じご相談を頂いた患者様への回答となります。

内容は、再根管治療+歯根端切除から2年後に海外にて痛みが生じ、どのように対応すればいいのか?についてのご質問とその回答です。上記リンクをご参照下さい。

今回はその続きとなります。
その後、痛みがやまなかったため、現地の口腔外科医を受診。抜歯?再歯根端切除?インプラント?をすすめられ、どのようにすればよいのか?についての質問とその回答となります。

同様の内容のご質問を大変多くいただいております。

ここに供覧させて頂き、皆様のご参考になれば幸いです。
よろしくお願い致します。

ご質問

アドバイスどおり、ロキソニンを飲んでマウスピースをして寝たところ、今朝は痛みが引いていました。

他方で、腫れが見られ、押したときの痛みも広がっていたため、当地の口腔外科を受診いたしました。

その結果、大変残念なことに感染が再発している、とのことでした。

択肢は2つあると言われ、1つは歯根端切除術の専門医に診てもらい、その手術がもう一度可能であればしてもらう方法。ただしほぼ間違いなく数年後には再発するため、時間稼ぎにしかならない。

もう1つは(自分の専門である)インプラントを行うこと。7カ月程度の期間が必要だが、感染は再発しない20年以上は持つ。

今日はとりあえず抗生物質を処方され、自分のところでなくても良いが、早めにどうするかを決めた方が良いと言われて帰ってきました。

インプラントがちゃんと固定できるだけの土台があれば良いのですが、抜歯の上、インプラントをせざるを得ないかな、と思い始めております。

直接診断したわけではないので、正確なことは言えないと思いますが、診断結果とレントゲンをご覧になった上での宮崎先生の率直なご意見、アドバイスをお聞かせいただけないでしょうか。

回答

メール、画像、拝受いたしました。

頂きましたメールより推断させて頂きます。

実際に拝見していないため、適切な回答とならない場合もございます。
予めご理解頂いた上でご参考下さい。よろしくお願い致します。

メールの文章より、このたびの症状の原因を推測することができるようです。

① 「アドバイスどおり、ロキソニンを飲んでマウスピースをして寝たところ、今朝は痛みが引いていました。」

いままでロキソニンを飲んでも痛みが引かなかった症状が、マウスピースを装着することで痛みが引いたとのこと。

上下を噛み合わせないようにしたことで症状が緩解するということは、かみしめや歯ぎしりが原因のひとつとして大きく関与していることを推察致します。

②「腫れが見られ、押したときの痛み」「大変残念なことに感染が再発」

「腫れ=感染」と結びつけるのは時期早々かと推察致します。
これまで約2年間何もなかったものが感染をするということは考えずらいことです。
感染したのであれば、それ相応の理由が必要となります。

今回のような痛み・腫れといった症状の発現には、様々な原因が絡み合い発現しているため、原因は一つとは言えませんが、その原因について、可能性について以下に推測・説明させて頂きます。

1)そもそも歯根端切除を行った歯は、支える能力が弱い。「古傷」のようなものであること。

歯根端切除に関わらず、根管治療した歯、とくに「再根管治療」した歯は、歯自体が壊れてしまっていることが多く、治療したとしても「古傷」のような治癒形態となっていることが多く感じられます。

そのため、かみしめや歯ぎしりなどの力が掛かりすぎると、その古傷が痛み、腫れるといった症状がでることがほとんどです。つまり、主要な原因として考えられるのが「くいしばり」「はぎしり」となります。

その力をかけないようにしてあげると、その症状は自然と和らいでいきます。

歯ぎしり食いしばりは、古傷をたたき続けるようなものです。さすがにその古傷は腫れたり痛んだりするでしょう。

2)1)の力が度を超えると、歯にヒビが入り、折れてしまうことがあります。そのヒビから感染し、この度のような歯茎が腫れるという症状が発現することがあります。このような症例では、そのヒビの部分の骨(歯槽骨)が失われているため、歯周病のポケット検査をすることで比較的容易に判定することが可能です。

マウスピースを使用することで症状が和らいでいること(腫れはいまだ治まってはおりませんが)から推測すると、かみしめなどの力が過剰に働いたこと、多忙による免疫機能が低下したことにより、上記1)を理由として腫れ、痛みが出たのではないか?と、“まずは” 考えるのが妥当ではないかと思います。

抗生物質も服用され、今後1週間後に、どのような症状となるのか、経過を観察してみてはいかがでしょうか。

その間に、症状が悪化するようであれば、2)の歯根破折(ヒビ)を考慮し、その際は、抜歯が最善の治療法として考えられてくるでしょう。

診て下さった歯科医師の先生は、口腔外科を専門とされているとのこと。

口腔外科をご専門とされている場合、インプラントなどの外科治療に長けていらっしゃることが多く、インプラント治療を第一選択としてご選択され、患者様へご説明することが多いようです。

歯を保存的に治療することに関しては専門医への対診・紹介をされるのではないでしょうか。

そのため、今回ような症状・レントゲン所見の場合は、口腔外科医として症例数の多い、成功率の高い(治療後に問題の生じずらい、やり直し治療の少ない)インプラント治療をご説明することになるのでしょう。

確かに、時間稼ぎになる可能性も否定できません。

以前、再根管治療→歯根端切除術により治癒するという考え方がありましたが、現在、アメリカでは、歯根端切除術は炎症部位を取り除き、骨を再生させるための治療として認識されています。

そのまま経過が良好であればそのままでもよろしいのですが、歯が折れたり、再発したりすることもあるため、その後はインプラント治療が必要となっていのが現状の最新の歯科治療です。

このような状況をご考慮頂いた上で、今後は対処法としていくつか考えられるでしょう。

① 歯ぎしりによるものであれば、マウスピースと抗生物質で症状が緩解するでしょう。その後症状が緩解していればそのまま経過を観察する。

② 症状の改善がなければ、まずは歯根端切除術を行い経過を観察する

③ 歯が折れている場合、あるいは口腔外科医の先生のおすすめの通り、インプラント治療を行う。

この3法となるのではないでしょうか。まずは①の経過観察の上、その病状の推移をみて頂ければよろしいのではないかと思っております。

この回答が、少しでもお力になれていれば幸いです。
よろしくお願い致します。宮崎

宮﨑歯科医院 Youtubeチャンネル