日別アーカイブ: 2020年3月9日

根管治療しても歯が弱くならない、脆くならない対策法

むし歯が深く進行すると、根管治療(神経を取る治療、根っこの治療)が必要となります。歯の大半を削るため、根管治療後は残った歯根に土台(コア)を差し込み、その上に人工の歯をかぶせます。

この土台(コア)の目的は2つ。
① ひとつは周知の通り、失った歯を回復するための土台
② そしてもう一つ。これが大切。口内から歯根内部への再感染経路の遮断です。

この2つの目的を果たすためには、次の事が土台(コア)に求められます。
① 歯を割ることのない柔軟性ある素材であること
② 精度が高く、歯根の隙間なく接着することです。

コア ファイバーポスト ファイバーコア 費用 料金 利点欠点土台(コア)には次の4種類があります。
(右図クリックで詳細参照ください)

① 銀合金製の土台=メタルコア
② 金合金製の土台=ゴールドコア
③ 金属の支柱の周りにレジン(プラスティック)を固めた土台=CRコア
④ グラスファイバー繊維を含む強化プラスティック製の土台=ファイバーコア

①のメタルコアは、経年的に脆くなる根管治療後の歯には不向きであることが文献で証明されているものの、戦後皆保険制度の流れそのままで現在も保険診療適用の材料とされています。当院では10~15年後に歯根破折を起こし、インプラント治療を余儀なくされた症例を多く拝見しております。可能な限り使用したくない材料といえます。
③のCRコア。金属支柱をプラスチックで覆い製作された土台です。プラスチックが大半であることから、歯に負担がかかりづらいとお考えの歯科医師も多いようですが、①のメタルコアと比較した破断試験では、有意差がないことがわかっております。この材料につきましても当院では使用したくない材料といえます。
②のゴールドコアは、メタルコアに比較してやや弾性があることから従来より保険外治療用コアとして使用されています。保険外治療であることから、型どり方法や製作模型材料、ゴールドの物性より、メタルコアより精度高く製作することが可能なため、メタルコアよりは良いとされていますが、ファイバーコアが台頭したことにより、現在では使用しない材料のひとつです。

結局のところ、根管治療後の脆くなった歯に優しい物性であり、接着操作の可能な④ファイバーコアが、現在のおける最良の土台(コア)といえるでしょう。メタルを使用しない現在の最新歯科治療においても最良といえるのではないでしょうか。

上写真はガラス管を歯根に例え、荷重を加えた実験です。ガラス管にメタルコアを挿入し荷重を加えると、ガラス管は破折します。一方、ガラス管にファイバーコアを挿入し、同様の荷重を加えた方は、ファイバーコアが変形・破折することで、ガラス管の破折は起こりませんでした。ファイバーコアの歯根破折予防の効果があるといえるでしょう。
(最新エンドグローバルスタンダード文献サンメディカル写真参照)

根管治療後どうやって治す どうかぶせる 

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