日別アーカイブ: 2021年5月23日

奥歯を抜いたら、伸びたり傾いたりしない?

下の7番の奥歯が抜けても、何も入れなくていいと言う先生と、入れないと上の歯が伸びて来たり、横の歯が傾いてくるから、何か入れないとダメと言う先生がいます。

入れないでいいと言う先生は、噛み合わせ調整をしていたら伸びて来ないし、傾いたりしない。と言います。 何故、伸びたり傾いたりしないのですか?

例えば、指を切った時、えぐってしまった時、必要以上に膨らんで治癒しますでしょうか?

答えは、しません。元通りに戻るでしょう。

身体は、正常な位置、形、大きさを知っています。
そのように治ります。

では、歯はどうでしょうか?

たとえば、下の歯7番を失った時、上の歯7番が生えてくる、伸びてくるといわれることがあるでしょう。
本当にそうでしょうか?

答えは否です。

正常な歯並びの方ならば、かみしめや食いしばりの無い方ならば、
歯を失っても、その周りの歯の移動はありません。これは指を切った時と同じです。
正常な位置にあるならば、本来生えるべき位置に歯があれば、歯は移動しません。

しかし、下の7番を失った方の歯並びが悪い、あるいは、くいしばる癖を持っていて、ぎゅっと噛みすぎていることで、上の7番は本来生えるべきところまで生え切っていない、もしくは斜めになってしまっている。こんな状態の時に、下の7番を失うと、上の7番は移動します。

つまり、本来あるべきところへ移動しているだけなのですが、くいしばっている歯並びからすれば、「伸びてきている」ように見えるのです。

実際はもっと複雑ですが、伸びる場合と伸びない場合というのはこういうことかと思います。

その点を診査した上で、歯科医師は患者様にご説明しているでしょう。