日別アーカイブ: 2021年5月5日

小さなむし歯でもラバーダムは必要か?

C2つまり、浅いむし歯つまり、エナメル質直下のむし歯から、歯の神経に近いむし歯までと、その範囲があいまいです。

そのため、当院では、象牙質に達している状態の場合、レントゲンでまずはチェックした上で、CT撮影を行い、歯髄にまで残り『1.1~1.5mm』となっている症例では、必ずラバーダムとマイクロスコープで治療に臨みます。

これは、むし歯が歯を溶かし感染、2層目の象牙質があと1.1~1.5mmとなった時には、神経に炎症の兆しが認められる(=歯髄炎)という、Ricucci先生の文献を根拠としています。

つまり、露髄していなくても、神経はすでに炎症を起こしている、もう歯髄炎になっているということを表しています。

歯髄炎になった状況で、ラバーダムもなく削ることで、感染・炎症を惹起することがあります。これでは治療の意味がありません。 このことについては以下のリンクをご参照ください。

『歯の神経の炎症(=歯髄炎)は、いつ始まるのか?』について https://www.youtube.com/watch?v=Ukmi7sQBdUc&t=335s

『歯髄が生きている?死んでいる?どうやって見極めるの?診断基準とは!』 https://miyazaki-dentalclinic.com/27821

神経に近いむし歯治療後にズキズキと痛くなり、抜髄に至る。

こんなお話しをよく耳にするでしょう。 これには以下の理由が考えられるのです。

①治療中に感染させている

②むし歯を取り残している

③露髄はしていなかったけれど、そもそも歯髄は炎症状態にあった。

ただ、免疫と平衡がとれていたけれど、治療をきっかけに痛みが発現した これです。

こういったことが無きように、術前の診査がとても大切になるのと考えています。

これを踏まえて言うならば、この条件より軽症の場合であれば、ラバーダムは要らないのではないか?と考えています。

事実として、すべての症例でラバーダムを使用しているわけではありません。

 

 

仮の蓋を外し、痛みがなくなったら来てくださいという形なのですが、これは良くないのですか?

私が通ってる歯医者では根管治療後に痛みが出ると仮の蓋を外し、痛みがなくなったら来てくださいという形なのですが、これは良くないのですか?

実際に拝見していないため、適切な回答とならない場合もありますので、当院の場合で回答させていただきます。

当院では、根管治療後に痛みがあるという理由ひとつで、仮の蓋を外して数日間放置するということはしておりません。

ただし、根管内や歯の周囲の炎症が強く、出血や膿が止まらず持続的に排出されている状況では、治療中に10分ほど消毒しつつ、その排出仕切るのを待ちます。
排出すれば、腫れや痛みがしばらく続く可能性があることを説明した上で、仮蓋をしてご帰宅頂きます。

この10分の間に、出血と腫れが止まらない場合は、サンダラックという薬剤に綿球を下した上で、仮蓋をします。
この仮蓋は通気性があり、出血や膿を輩出してくれる作用がありつつ、食べ物などが入りづらくしてくれる仮蓋です。

でも、この仮蓋では、唾液中に存在する細菌の侵入予防にはつながらないため、翌日はご来院頂き、翌日には再度消毒してしっかりと仮蓋をしています。

つまり、根管内の感染より、まずは症状の改善(出血と排膿する道を確保し、痛みを和らげること)を優先する場合があるということです。

おそらく、ご通院中の歯医者様は、その点を優先されているのでしょう。
ご自身の臨床経験に即した治療術式なのかもしれません。

この回答が少しでもお力になれていれば幸いです!