相談内容: はじめまして。精密根管治療を実施するのに、保険適用と保険外の区別は何でしょうか?
8年ほど前に一度根管治療を実施しましたが、再度治療が必要な状況のようです。
保険内で治療してくれる歯科医を探しています。よろしくお願いします。
はじめまして。宮崎歯科医院です。
どうぞよろしくお願い致します。
ままで、根管治療に「自費」の根管治療がなかったのに、なぜ突然「自費の根管治療」を勧められるのか・・・
困惑する患者様が大変多く、当院でも毎日のようにご説明をさせていただいている状況です。
https://miyazaki-dentalclinic.com/31237
上記のリンクの図表にそってご説明を勧めさせて頂きます。
よろしくお願い致します。
まずは、なぜ根管治療が必要となるのかについて説明させて頂きます。
むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。
https://miyazaki-dentalclinic.com/19490
細菌が歯の内部に歯を溶かしながら侵攻する疾患です。
むし歯の治療は、その「細菌の感染を取り除くこと」が目的になります。
そのため、「徹底的に細菌を取り除くこと」が治療にとって最重要となります。
以前は、歯科医師は、今と比べて診療器材の制限から『肉眼に頼らざる得なかった』ため、術後の患者様の病状回復をもって、
その治療の成否(細菌の感染が取り除けた否か?)を判断せざる得ませんでした。
また、むし歯は、細菌の感染症であることから、『患者様の免疫が強ければ…』、たとえ細菌が残っていたとしても、
抑え込むことができるため、結果、細菌が残っていても治癒することもあったようです。
私は15年以上前から拡大鏡ルーペ(肉眼の3倍と5倍と10倍に拡大して診ることのできるルーペ)を使用して治療に臨んでいます。
現在ではマイクロスコープと拡大鏡を使用しているため、肉眼での治療はしておりません。
マイクロスコープを使用している現在、自分自身の昔の診療を振り返ると、肉眼では見えておらず、
『経験と勘』頼っていたこと、患者様免疫に期待していたことを痛切に感じています。
https://miyazaki-dentalclinic.com/12950 (拡大鏡ルーペについて)
1cmにも満たない歯の内部の感染を取り除くには、肉眼での治療は困難を極めます。
そのため、当院ではマイクロスコープを日常臨床に取り入れています。
https://miyazaki-dentalclinic.com/13490 (マイクロスコープについて)
3~20倍にまで拡大できる安定した視野により、徹底したむし歯の除去と精密なる歯科治療が可能となっているように日々感じております。
やり直し治療も少なくなり、徹底したむし歯の治療が可能となり、以前であれば根管治療となっていた歯も、
それを回避、『神経を残せる』ようにもなったという実感が私にはあります。
(神経を残す治療についてはこちらをご参照ください)
https://miyazaki-dentalclinic.com/21762
現在、一般的に歯科医院で打ち出している「保険外・自費の根管治療」は、このマイクロスコープを使用しての治療ではないかと思います(図表②)。
マイクロスコープの使用には、『経験』が必要となります。
日常に使用されている先生であれば、その効果は絶大なるものではないかと感じております。
私は拡大鏡ルーペ、マイクロスコープの両者を使い分けております。
どちらも視野を拡大できるメリットがあります。あらゆる方向から見て治療するような場合、
つまり手術のような状況、またはブリッジ治療のような、いくつもの歯の平行性を計るような治療では、
拡大鏡ルーペに軍配が有るように感じています。ただ、拡大鏡ルーペは頭に固定して使用することから、頭部のブレが、視野のブレとなってしまうことがあります。
それに対して、マイクロスコープにもいくつかのメリットがあります。
その拡大率を3倍から20倍に変えることが出来ること。
マイクロスコープがしっかりと床に固定されているため、視野が安定していること。
光源と視線が一致しているため、影が生じずらいことなどです。
これはつまり、拡大鏡ルーペに比べて明確な視野を得ることができることになります。
使用している実感を例えると
動いてるモニターをみているのか、動かないモニターを見ているのか?といった具合でしょうか(笑)
動かない方がモニターの画面は見やすいですよね!
図表にあります①ラバーダムについてご説明したします。
前述させて頂きました通り、むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。
根管治療は、歯の内部(根管内)にまで感染した細菌を取り除く治療です。
そのため、治療中に唾液が混入することは、治癒を阻害するばかりでなく、細菌の再感染の機会を与えかねません。
私は、根管治療に限らず、深いむし歯治療でも、このラバーダムを装着して治療に臨んでいます。
一般的に歯科医院で打ち出している「保険外・自費の根管治療」では、必ずこのラバーダムを装着しているでしょう。
ラバーダムについてわかりやすく動画で説明しております。ぜひご参考ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/24287
また、保険外根管治療では、レントゲンだけでなくCT診査を活用しています。
https://miyazaki-dentalclinic.com/11679
根管の形態は非常に複雑です。
術前にCT撮影し、精査することで、「治るのか?治らないのか?治らないならばどうすればいいのか?」が明確となります。
再根管治療の症例では、とても大切な、私としては無くてはならない必要な診査機器と感じています(図表③)
その他、根管治療に必要な治療機器や薬剤の違いについて図表に明記させていただいています。ぜひご参考ください。
根管内を無菌化するために「効果的な」器材を使用するか否かが保険と保険外(自費)との違いです。
保険治療には一定のルールがあります。その範囲内で行うのが保険適用内の根管治療です。
歯科医師の先生により、「根管治療の治療コンセプト」に違いがあります。
それにより使用する機器・薬剤に違いはあるかと思います。
図表は私が例をあげたものであるため、必ずと言えるものではないかもしれません。
ぜひご担当の先生やこれから通院をお考えの歯科医院にお尋ねください。
私が一番大切ではないかと感じてるのは、図表の一番下段にある⑫「治療のコンセプト」です。
私は、UCLA大学歯学部(University of California Los Angeles School of Dentistry)の卒後教育である
根管治療プログラム(Endodontic Mentorship Program)を修了し、その治療コンセプトに準じて根管治療に臨んでいます。
https://miyazaki-dentalclinic.com/19901
UCLAの先生方、ロサンゼルスでご開業の清水先生には大変お世話になり、それにより私の歯科人生は激変したといっても過言ではありません。
たとえマイクロスコープを使用していても、たとえCTやラバーダムを使用していても、担当する歯科医師の「適切な治療コンセプト」つまり「診査診断能力」「症例数」がなければ、マイクロスコープでいくら拡大しても、見えていないに等しい結果となりかねません。
事実、私がそうでした。UCLAの治療コンセプトをご教授いただいたことで、なぜ治らないのだろうという患者様の症例が少なくなったのと実感しています。
以下の症例は、他院にてマイクロスコープとラバーダムを使用しているにも関わらず、膿んで痛みが取れないため、当院を受診加療させて頂き改善した患者様の症例です。
是非ご参考ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/24309
当院の根管治療の症例につきましては、以下のリンクにある「根管治療の症例」をご参考ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/17366
私の感じている保険と保険外による根管治療の違いは、この上記の通りです。
治療器材などで言うならば、一番の分かり易い違いは、「マイクロスコープ」「ラバーダム」「CT」ではないでしょうか。
これまでの保険治療による根管治療が悪いという訳ではありません。
手際よく、唾液の入らないように配慮した上で根管治療を行われる歯科医師の先生も多くいらっしゃるかと思います。
また保険治療でも、マイクロスコープやCT、ラバーダムなどを使用して治療して下さる先生もいらっしゃるようです。
歯科医学は日進月歩です。
昔にはできなかったことが今ではできるようになっています。
根管治療の分野でも同様で、いままで診査することが出来なかった、見えなかったものを見ることができるようになったことで、治せないものが治るようになりました。
私も日々研修会に参加し、自身の医術が遅れを取らないようにしております。
根管治療で歯科医院を受診される際は、上記のような点に留意いただき、担当してくださる先生との信頼関係のもと、治療に臨んで頂けますことを願ってやみません。
この回答が少しでもお力になれていれば幸いです。
よろしくお願い致します。 宮崎