日別アーカイブ: 2020年11月17日

「骨がとけて、歯が、かけていて被せができない」治療法は?インプラント?

先生の動画凄く参考になります。

今右奥歯の治療中ですが、骨がとけて、歯が、かけていて被せができない状態で、歯茎を下げてる外科治療を勧められています。

歯がほんとに薄い為、どうなのか悩んでいます。歯を抜いてインプラントにするべきなのか。あまり納得いく説明がなく、動画で見せられるので、歯医者帰るべきかも悩み中です。

コメントありがとうございます!

とても難しい状況にあるのでしょう。
歯医者さんとしても、悩ましい状況のようですね。

当院でも同様の状況、多々あります。

どんな状況かというと、

治療することはできる、そして今よりは改善するが、全く問題なくなるわけではなく、以下のような問題がある場合です。

①改善はするが、やや違和感が残る可能性がある。白黒はっきりつかず、グレーな状態。
たとえば、かむとやや違和感。疲れると疼く可能性など。普通の食事は問題ないが、強くかむと違和感。
これは、歯自体が壊れてしまっており、その完全修復に難がある場合です。

②治したとしても、早期に、数年単位で問題が出る可能性。
これは、度重なる治療やむし歯の進行により、歯が薄く、短くなってしまっている状態。
感染は取り除けたけれど、そのために歯が薄く脆くなり、そこに人工歯を被せて「噛む力」がかかった場合、割れてしまう?可能性が考えられるような症例です。

③ブラッシングができない状態。
歯並びの状況や人工歯(クラウンやインレーなど)を被せた「際の部分」が磨きづらい環境を改善しづらい状況ある場合です。
定期的なクリーニングで通っていただければ何とかなるかもしれないけれど、、、樋状況です。

・治せない
・患者様が痛みを今、感じている
ならば、「抜歯」を最善の治療法として説明できるのですが、
・治せないことはないが、もとには戻りづらい
・患者様があまり痛みを感じていない
こんな状況だと、非常に悩ましい。

このような場合には、様々な治療法が浮かんできますが、その治療をしたとしても、結局①~③のグレーな治癒となるため、歯科医師も決めかねる、、、
こんな状況、大変悩ましい。

こんな時は、様々な治療法を並列でご提案し、その利点欠点を患者様に提案させて頂きます。
その上で、患者様にご決断頂く。

理由は、
・治癒がグレーである事
・治療に対する価値観は人それぞれである事

治療に対する価値観は人それぞれです。
・グレーであっても歯を可能な限り残したい、完全にダメと感じたときに抜歯したい!
・海外出張などもあり、できるだけやり直し治療はしたくない。そのためならば抜歯もやむ得ない。
・これまでの歯科治療の苦労から、可能な限り、痛みの生活を確保したい。そのためには抜歯もしょうがない
・金額、費用を抑えたい
・治療回数、期間に限界がある
などなど様々です。

治療法、治癒が明確であれば簡単なのですが、こんな「グレーな治癒」の場合は、「患者様の価値観」が問われます。

ぜひご担当頂く先生と密なるコミュニケーションのもと、ご自身に合った治療法をご選択くださいね!
なにかあればいつでもご相談下さい!

宮﨑歯科医院 Youtubeチャンネル

 

 

抜歯の際に骨を残すには?骨を温存する治療とは?

歯が折れたり、むし歯が深く進行して歯を支える歯槽骨へと炎症が波及することで、やむなく抜歯せざる得ないことがあります。

そんな時、すぐに抜歯はせず、考えてください。
「抜歯はしなくてはいけないけど、そのあとはどうやって治していこうか?」

抜歯をすれば、「歯」だけでなく、その支えとなる歯槽骨も失います。ただ抜いてはいけません。

ブリッジの支えとなった歯が折れてしまい、周囲の歯槽骨が失われています。こんなとき、ただ抜歯してはいけません。


①の図は正常な歯ー歯槽骨ー歯肉の関係図です。歯肉は2mmほどの厚み、歯は歯槽骨で支えられています。歯周病やむし歯で歯槽骨が溶けてなくなると、抜歯が必要となります。その図が②です。歯根を支える歯槽骨は溶けてなくなり、高さが低くなっています。

③の状態で、そのまま抜歯をすると、約1カ月ほどで④の状態となります。抜歯をすることで、歯を失うだけでなく、それを支える歯槽骨も失ってしまうのです。抜歯した後は、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの治療法で歯をつくります。

④の状態に、インプラント治療をすれば、歯槽骨が不足し、⑤のような状態となります。インプラント治療が上手くいきません。インプラントをするためには骨を再生させる手術が必要となり、時間(1年以上)と費用(GBR法)が非常にかかります。また、ブリッジをしても、歯が大きく長くなり、見た目も悪く、清掃もしづらい環境となってしまいます。

抜歯するときは、⑦図のように、歯槽骨を再生させる手術が大切です。抜歯と同時に人工骨(β-TCP)やテルプラグ(アテロコラーゲン)、バイオメンド(人工膜)といった再生材料を使用して、傷口に血液の溜まり易い環境をつくります。血液は、歯肉・歯槽骨をつくります。⑧のような歯槽骨が再生します。

このような歯槽骨、歯肉の状態であれば、ブリッジ治療(⑨)、インプラント治療(⑩)は審美的にも機能的にも上手くいきます。違和感の少ないブリッジや安全確実なインプラント治療は、抜歯から始まります。抜歯の成否が治療の成否を分けるといっても過言ではありません。




歯槽骨をグラスに例えます。
グラスに歯が支えられていますが、グラスが割れてしまうと、歯を抜かなくてはなりません。グラスには、割れたところまでしか水は溜まりません。つまり血液もそこまでしかたまらず、血液が歯槽骨に代わるため、ただ抜いてしまうと抜歯と共に歯槽骨が無くなてしまうのです。そのならないためにも、グラスを補修したり、グラスの中に人工骨を入れて血液が溜まり易い環境をつくってあげます。すると歯槽骨は再生、ブリッジ治療やインプラント治療が上手くいくようになります。



ただ抜歯してしまっては歯槽骨はなくなりインプラント治療がしづらい環境となっていましたが、抜歯と同時に骨をつくることで、歯槽骨が3カ月で再生されました。3カ月後にはインプラント治療を施術することができました。


カ月後のインプラント治療時の手術報告です。上写真をクリック頂き、当院の治療実績をご覧ください。歯槽骨は元通りに再生され、20分ほどのインプラント治療で手術は終了です。