日別アーカイブ: 2019年4月13日

神経を残す 根管治療についてご質問(メール) (都内港区内幸町新橋虎ノ門日比谷霞ヶ関歯科歯医者日比谷千代田)

「神経を残したい」「適切な根管治療をお願いします」というご希望を頂き、当院には多く患者様がご相談、ご来院いただきます。以下のメールはそのうちの1つです。「症状と病歴の変化」「受けた治療法」のについて詳細に適切にご相談いただいております。これに対する当院の回答を以下に記載させて頂きます。病状へのご不安や適切な治療法を模索されている患者様には大変役に立つ内容ではないでしょうか。ぜひご一読いただき、ご参考くださいますようお願い致します。

ご相談内容

左奥歯にかなり以前に虫歯を治療した歯があります。昨年秋ごろから冷たいものがしみるようになり、次第に①暖かいものでもしみるようになりました。また②固いものをかむと痛みがあります。かかりつけの歯科医で金属を一旦はずし、③その下にあった神経を保護するつめものもとったところ、治療のあとは神経が見えるほど深かったとのこと。④虫歯はなかったらしく、⑤再度神経を保護する薬を2重にいれてもらい、上から白い保護材をかぶせた状態でしばらく過ごしていますが、やはり冷たいものが沁みる感じと、⑥固いものをかんだ際の痛みはあります。行きつけの歯科医に再度話したところ、金属のかぶせものをしても改善する可能性は低く(むしろ金属は熱をよく伝えるのでもっとしみるかもしれないと)痛みをなくしたいのであれば神経を抜くのもの選択肢とのことでした。いまのところ激痛というほどでもなく神経まで⑦虫歯菌が達しているわけでもない中で神経を抜くのはためらわれたので、少しかんがえますと保留しています。神経は残したいと思っており、何か良い手立てはないかと探していたところ貴院のホームページを拝見しました。

はじめまして。宮崎歯科医院 院長 宮崎と申します。どうぞよろしくお願い致します。

詳細なる内容の症状の経緯と治療内容のご説明をありがとうございます。大変よく分かりました。ご相談いただきました内容に回答させて頂きます。

実際に拝見していないことから、現在の病状に対する適切な回答とならない場合もございます。あらかじめご理解ご了承頂いた上でお読みくださいますようお願い致します。

上記ご相談頂きました本文中に①~⑦を付記いたしました。その内容について回答させていただきます。

 

①と②と⑥の「症状の変化」について

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。細菌は歯の上部から下部へ、深部へと進行します。その感染の深度によって、症状が変化します。

まずは、冷たいもので沁みて、そして温かいものが沁みるようになります。
その後は血流増加時(運動、睡眠など)に痛みが増し、それにともない、噛むと違和感痛みへとつながります。

神経を残せるか否かを「症状」から診断する際の一助についてはこちらをご参照ください。https://miyazaki-dentalclinic.com/22012

「むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症であることについて」のご説明はこちらをご参照ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/21898
https://miyazaki-dentalclinic.com/19490

現在は冷たいものが沁みて、硬いもので痛いとのこと。症状から推断すると以下の事が考えられます。

1)細菌感染が内部に存在し、それによる炎症は歯根先端に及んでいる
2)細菌感染は前医により排除されているが、感染による歯髄の壊死の可能性がある
3)細菌感染による歯髄壊死が全体に及んでいる

これに対して行える治療法は以下の通りです。

1)⇒ラバーダムを装着。神経を残す治療を施す。
2)⇒ラバーダムを装着。部分断髄法あるいは根管治療を行う。
3)⇒ラバーダムを装着。根管治療を適切に行う。

ラバーダムについてはこちらをご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=IcQuBhzcGqg&feature=youtu.be

「当院の部分断髄法の症例」についてはこちらをご参照ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22909

③と⑤について

し歯は唾液中に存在する細菌の感染症であることから、深いむし歯治療や根管治療では、治療中の患歯への唾液の流入を予防すべく、「ラバーダム」の装着が必要となります。③の治療の際に、ラバーダムを装着しているか否か?はその治療の成否を決定します。

ラバーダムについてはこちらをご参照ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/17703

 

④と⑦について

むし歯の有無について、拡大鏡ルーペ(8倍以上)あるいはマイクロスコープを使用して診査診断されてのご判断でしたでしょうか。当院ではラバーダムを装着し、唾液が混入しない状態としたうえで、齲蝕検知液を使用してむし歯を染色し、マイクロスコープで診査した上でむし歯を徹底的に取り去ります。私は、肉眼での診査診断での困難さを身をもって痛感していることから、肉眼での治療をここ十数年しておりません。

神経を残せるか否か?マイクロスコープを用いた診断についてはこちらをご参照ください。https://miyazaki-dentalclinic.com/22037

齲蝕検知液とは?むし歯を削る基準についてはこちらをご参照ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22122


むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。
感染を取り除けば治癒しますが、取り除かなければ、感染は拡大します。歯の神経を取ることを心配し、その決断を遅らせることで、病状が悪化してしまう患者様のご相談が多いのは残念なことです。適切な治療を選択し、適切に行えば、歯は永く使用できるようになります。

以上が当院の回答となります。
お役に立てる回答となれば幸いです。よろしくお願い致します。  (宮崎)

 

当院の初診の流れについて(ご来院ご相談される際は必ずご一読ください)
https://miyazaki-dentalclinic.com/22254