10年ほど前にした根管治療の箇所が、最近の検診で膿?炎症?していることが判明しました。
治療するには、被せたものも外すので、残ってる歯の破損、もしくは抜歯する可能性もありリスクが大きいと。
生活に支障がなければ、リスクを考えると今すぐに治療しなくてもいいと言われました。
炎症が確認されても、様子を見るというパターンもあるものでしょうか?
コメントありがとうございます。
「炎症が確認されても、様子を見るというパターン」はあるのか?というご質問、回答させて頂きます。
これは私の見解です。歯科医師によって、その知識・持つ治療オプションは様々ですので、参考の1つとしていただければ幸いです。
この場合、その状態を明確にパターン分類する必要があるでしょう。
それは以下の2つから、4つにパターン分類されます。
・炎症の有無
・治療をする、しない
①炎症 有 治療 する
②炎症 有 治療 しない
③炎症 無 治療 する
④炎症 無 治療 しない
④については、炎症もなければ、当然、治療する必要もありません。
①については、歯科医師が炎症があると診断して、なおかつ患者様にその希望があり、その歯科医師が治すことができるのであれば、議論の必要もないでしょう。
つまり、この①と④には問題はないでしょう。
まれに、③のような状況もあります。
これまでのご苦労やこれまでの歯科医師への不信感から、「この治療した歯には何かあるはず?」という気持ちのもとに、来院される方もいらっしゃいます。
その際は、何もないことを証明するために治療介入することもあります。
問題は②です。
②の炎症が有ると歯科医師が診断しているにもかかわらず、「治療をしない」という決断に至る場合です。
これには、治療を決断しづらい理由がさらにあるでしょう。
1)治療しても、治らないかもしれない
2)痛みを伴う
3)時間がかかる
4)費用がかかる
これは患者さま側の「やらない理由」です。
歯科医師側の理由としては、
5)それを治す治療オプションを持ち合わせていない
「治療をしても治らないかもしれない」「違和感が残るかもしれない」状況がこれです。
6)患者さんが上記1)~4)のリスクを恐れて、決断しないため、治療に踏み切れない
7)そもそも、その状態を治せる・治せないという判断基準すら持ち合わせいない歯科医師の「知識技術経験不足」
今回の場合、「被せたものも外すので、残ってる歯の破損、もしくは抜歯する可能性もありリスクが大きいと。」
とのこと。
治療することによるリスクとして
・被せモノを外す際に、歯が破損する
・治療することで抜歯となる可能性がある
この2点が治療により生ずるリスクとされています。
担当する歯科医師から、説明された言葉が「これだけ」なのであれば、間違いなく、「治療はしない!」ほうがいいでしょう。
なぜならば、治療リスクに対する対処法の説明が無いからです。
例えば、当院の例でご説明しましょう。
他院から、以下のようなことで紹介・転院されるケースが大変多くあります。
「このコア(土台)を外そうとすると、外すときに折れてしまうことがあるので、生活に支障がないならこのまま様子を見て下さい」と言われました。
こんなケースです。
当院では、そんな患者様に以下のような説明をします。
『確かに、外す際に、そのようなことがあるかもしれません。
でも、当院ではマイクロスコープを用いて、その土台を全部削り取っていきます。
外す際に、折れるなどということはありません。ただし、費用や時間がかかります。
また、外している状況は、マイクロスコープで動画撮影しているため、私がミスするなんてことはないでしょう。
ただし、そもそも、外してみたら、折れていた?なんてこともあります。
それについてもマイクロスコープで画像を記録しているので分かります。
また折れていることが判明した場合は、基本抜歯です。
抜歯は残念なことですが、今回治療に臨むことで、割れていなければ大変うれしいことですが、割れていることが判明することも、早期発見早期治療。
前向きな善処です。
抜歯することになった場合は。。。。。。』
このように説明を行っています。
その上で、患者様がどうお考えになるか?
この時点で、痛みや時間や費用などの「治療とは別のこと」に目が行く患者様は、そもそも「治療をするつもりがない」ようです。
そのような時は、「様子を見ましょう」とお伝えしてご説明は終了です。
・患者様が何をリスクに感じているのか?
・歯科医師はそのリスクに対応できるのか?
・そもそも、その現実の説明と対処法をした時に、患者様は本当に治療をしたいと思っているのか?
この3点について、患者様、歯科医師がしっかりと認識したうえで治療に臨むことがとてもとても大切です。
この回答が少しでもお力になれていれば幸いです!