日別アーカイブ: 2021年8月27日

【教えて!仁先生】歯の神経を取ると、ホントに脆く弱くなるの?歯が折れるの? #神経取る #神経抜く #歯が折れる #根管治療 #根幹

こんにちは!

こんな質問をいただきました!

歯が痛みます。今度、神経を取る治療の予定ですが、神経を取ると、歯が脆く弱くなり、将来、折れてしまうと聞きました。仁先生、神経、取らないほうがいいでしょうか?

Youtubeで動画を配信するようになってから、大変多くの方から頂くトップオブトップのご質問、歯の神経を取ると脆く弱くなりますか?

将来、歯が折れてしまいますか?どの位持ちますか?将来抜歯ですか?神経取らないほうがいいですか?これです!

むし歯治療とは、唾液中に存在する細菌が、歯に感染し、歯を溶かしながら、内部へと進行し、感染を拡大する病気です。

歯を削り取ることで、細菌の感染を取り除くのがむし歯治療です。

そして、その感染が歯の神経にまで及び、神経が炎症を起こし、さらには壊死してしまっている場合、その感染を取り除くために、結果として神経を取り除きます。これが根管治療です。

ではどんな時に、どんな症状の時、根管治療が必要となるでしょうか?

それはこの2つの時

① すでに歯の神経は、感染により回復することのない炎症を起こしている場合

② 既に歯の神経が死んでしまっている場合

①を不可逆性歯髄炎、②を歯髄壊死といいます。

それはどんな症状の時か?

①はズキズキ、ジーンとした我慢の出来ない痛みがあり、痛み止めが必要なほどです。

②は①のような痛みがある場合と、全くない場合もありますが、レントゲンで見ると、根っこの先端が黒く映る場合があります。歯茎が腫れることもあります。

現在の症状から、現在の病状そして、それに対する適切な治療法について簡単にチェックできる表です。コメント欄にリンクを添付しておきますのでご活用下さい。

神経を残せるか否か 根管治療は必要か その症状から診断名と治療法をチェック

神経は残せるか否か?根管治療は必要か? (miyazaki-dentalclinic.com)

このような症例ではいたずらに「治療時期を遅らせる」ことで、むし歯はさらに感染拡大・進行し、その後に行う治療では、さらに歯の内部を削る量が多くなるばかりでなく、歯を支えている骨にまで悪影響を及ぼします。

「歯の神経を残したい、取りたくない」とする希望・不安の裏には「歯の神経を取ると、歯が脆く弱くなる」という間違った解釈があるからではないでしょうか?

でも、その「弱くなる、脆くなる」ってどの程度でしょうか?

本当のことでしょうか?

脆く弱くするには、他の原因があるのではないでしょうか?

ここに3つの論文があります。

① 根管治療歯と生活歯の含水率の違いは2%以下

(Papa et al Endod Dent Traumatol 1994)

② 根管治療歯と生活歯の生物学的特性の変化は殆どない

(Sedgely and Messer J Endod 1992)

③ 根管治療を行っても、剛性の低下は5%であったが、辺縁隆線を超えて形成を行うと、64%の剛性が低下する(Reeh and Messer JOE 1989)

①と②の論文は、根管治療をしても、歯は脆くならないことを証明する論文です。

根管治療をしても、皆さんが想像するほど、歯は脆くも弱くもなりません。ご安心下さい。

但し、③の論文はその逆。歯が脆くなることを証明する論文です。

その内容は、根管治療の際に「削られた歯の部位」によっては、歯は脆くなることがあることを示しています。

https://miyazaki-dentalclinic.com/26959

その部位は写真の赤矢印部分「辺縁隆線」です。

この部分にむし歯があれば削らざる得ません。

もう少し分かり易くお話しすると

歯の神経を取る事で、約2~5%、少しだけ弱くなりますが、おそらく皆さんが想像しているほどは脆く弱くはならないということです。

「削り方」「むし歯の削る量」によって、歯の脆く弱くなる程度は、大きく影響を受ける!ということになります。

つまりは、怖がっている時間は、感染拡大の時間であり、無駄であるといことになります。

これ以上の感染を拡げないためにも早々の根管治療が必要です。

そして何よりも、今ある痛みを改善できること、これが一番大切なこと。

痛みのある中では、冷静に考えることなどできません。

歯の神経を残すことも大切ですが、たとえ歯の神経を失ったとしても、その後の、根管治療を適切に行う事がとてもとても大切です。

早期に治療すれば、歯は永く長く使用できるのです。

そのためには、早期発見・早期治療。ラバーダム+マイクロスコープが不可欠といえるでしょう。

今後も皆さんから頂いたご質問に回答させて頂く動画を配信します。

ぜひチャンネル登録して頂ければ嬉しいです!

ご質問はぜひコメント欄にお願いします!

その内容は可能な限り詳細に!

皆さんの歯が健康になること!これがこのチャンネルの願いです!

今回も最後までご覧頂きましてありがとうございました!

この動画の内容は私個人の見解です。歯科医師によって考え方は様々でしょう!

素晴らしい先生、全国に沢山いらっしゃいます。

詳しくは最寄りの歯科医院でぜひご相談下さい!

それではまた次回の動画でお逢いしましょう!

宮﨑歯科医院 Youtubeチャンネル

 

 

 

 

FMヨコハマ Lovely Day♡に院長が出演しました!

Lovely Day♡│FMヨコハマ│2021/08/26/木 9:00-12:00

http://radiko.jp/share/?sid=YFM&t=20210826093901

39分から当院院長が出演します。ぜひご視聴ください!

宮﨑歯科医院 Youtubeチャンネル

 

 

 

 

 

フィステル ファイルが残っている 抜歯 根管(根幹)治療?

いつも見ています!

初コメント失礼致します。

僕は大阪在住30歳で今左下の奥歯を治療中です。

小学生の時の神経を抜き、銀歯を被せていたのですが、その後、20歳、26歳で疲れがある時や風邪の時に、しばしば銀歯の部分が痛んでいました。

25歳の時に歯医者に行って、再根管(根幹)治療をして治してもらいました。

しかし、最近フィステルというものが歯茎にでき、いつもより少し痛みも強かったので、また歯医者さんに見てもらったのですが、そこでスクリューポスト?金属のネジみたいなものが入っていると言われ、まずは、それを取り、その後に根管(根幹)治療を続けていたのですが、次はファイル?リーマの先端が残っている。しかも、歯の根の先が割れているとのことでした。

先生には治療を続けて歯を残すか、抜歯するか悩みどころですと言われています。

抜いた場合はインプラントする形なのですが、正直、その先生も30歳でお若いので、経験面の部分で少し不安な部分もあります。しかし、めちゃくちゃ親身になって下さる良い先生なので悩みます。

ベストなのは、どの形なのでしょうか?

実際に拝見していないため、頂いた文章からしか推測できませんが、回答させて頂きます。

ご参考いただければ幸いです。よろしくお願い致します。

ご質問、そしてお悩みの点こんな感じではないでしょう!

・治療のキッカケはフィステル

・根管治療をしているものの、根っこの先端にファイルが残っている、後付けで説明を受けた。また、根っこの先が割れている可能性があるとも言われた。それを根拠に、抜歯の可能性の説明を受けている。

・ご担当の先生は、メチャクチャ良い先生。人間的には信頼できるものの、治療としては、やや納得できない部分もあり、本当に抜歯が正解なのか?疑ってしまう自分がいる。

まずは、フィステルについて!

フィステルとは、歯茎から膿が排出するその出口、排出孔をいいます。

歯根の先端に相当する部分が腫れて、その辺りの歯茎にプクッとできるニキビのような小さな穴です。

「瘻孔(ろうこう)」「サイナルトラクト」ともいいます。

原因はこれです。

①不十分な根管治療

②歯の神経の壊死

③歯根が折れている

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。

①~③いずれにしても、原因は、細菌感染です。

①は適切な再根管治療、②も同じ、適切な根管治療です。

①と②は、歯根端切除術という治療が必要となる場合もあります。

③は抜歯となるでしょう。

フィステルには以上のように①~③があります。

それを適切に対処すれば問題は解決します。

ただ、今回の問題は、突き詰めると次のようなことではないでしょうか?

①ファイルが折れていることは、事前にレントゲンなどで分かっていたことではないだろうか?

②折れているといわれたが、実際に折れているところを見ることができていないので、納得しづらい

③ご担当の先生の人間性は、メチャクチャ素敵でとても優しい

でも、そこに知識と技術が伴っているか否かは、患者には分かりづらい

ここが悩みどころなのでしょう。

ここで冷静に、原点に立ち返る必要があるようです。

なぜ、歯科医院に行っているのか?

歯科医院は、歯の問題を抱えた患者様が、その問題を解決する場所です。

患者様の今回の問題解決法の希望は、「再根管治療で歯を治すこと、つまりは抜歯せずに残すこと」でしょう。

それが出来る歯科医院なのか?否か?これを譲ってしまっては、感情論で判断するしかありませんし、出来ないものをお願いしかねません。

歯科医師にも得意不得意があります。

私は一般的な矯正治療はできますが、症例数が少ない。どちらかといえば不得意です。

なので、難しい矯正治療をご相談頂いた際は、診査診断の上、専門医へ依頼します。

ご担当頂いた先生は、人間性はとても素晴らしい先生とのこと。

まずはこのご相談内容を率直にご担当の先生にぶつけてみてはいかがでしょうか?

もし再根管治療で歯を残す術をお知りであれば、たとえ治癒の可能性が低かったとしても、治療に臨んで下さるかと思います。

また、ご自身ではできないと判断されたときは、専門の医療機関をご紹介いただけるでしょう。

私なら、そうします。自分の至らないことを認めて、出来る人に紹介できる歯科医師こそ、患者様にとって信頼できる、そして信頼に足る歯科医師ではないかと思います。

根管治療が出来ずに抜歯が必要となる場合はこの動画をご覧下さい、参考になるかと思います。

抜歯宣告

https://youtu.be/C0gkYK-oGZU

抜歯が必要な場合はどんな時?(動画)

https://youtu.be/VjBHd6qEkws

抜歯が必要な場合はどんな時?(当院ホームページでご説明)

https://miyazaki-dentalclinic.com/25415

根管内のファイルを取り除く様子

https://youtu.be/J_wpV0IoWhQ

ご相談したにも関わらず、納得できる回答が得られないこともあるでしょう。

その際は、ぜひラバーダムとマイクロスコープを活用している歯科医院にて、根管治療にお臨み下さい。

出来る限りご自身の歯は大切にして頂きたいと「私は」感じます。

その上で、やはり、今、診て下さっている先生の良さが再認識できるのであれば、もう一度戻りましょう!

先生、喜んでくれると思いますよ!

この回答が少しでもお力になれていれば幸いです!