こんにちは!
こんな質問をいただきました!
歯が痛みます。今度、神経を取る治療の予定ですが、神経を取ると、歯が脆く弱くなり、将来、折れてしまうと聞きました。仁先生、神経、取らないほうがいいでしょうか?
Youtubeで動画を配信するようになってから、大変多くの方から頂くトップオブトップのご質問、歯の神経を取ると脆く弱くなりますか?
将来、歯が折れてしまいますか?どの位持ちますか?将来抜歯ですか?神経取らないほうがいいですか?これです!
むし歯治療とは、唾液中に存在する細菌が、歯に感染し、歯を溶かしながら、内部へと進行し、感染を拡大する病気です。
歯を削り取ることで、細菌の感染を取り除くのがむし歯治療です。
そして、その感染が歯の神経にまで及び、神経が炎症を起こし、さらには壊死してしまっている場合、その感染を取り除くために、結果として神経を取り除きます。これが根管治療です。
ではどんな時に、どんな症状の時、根管治療が必要となるでしょうか?
それはこの2つの時
① すでに歯の神経は、感染により回復することのない炎症を起こしている場合
② 既に歯の神経が死んでしまっている場合
①を不可逆性歯髄炎、②を歯髄壊死といいます。
それはどんな症状の時か?
①はズキズキ、ジーンとした我慢の出来ない痛みがあり、痛み止めが必要なほどです。
②は①のような痛みがある場合と、全くない場合もありますが、レントゲンで見ると、根っこの先端が黒く映る場合があります。歯茎が腫れることもあります。
現在の症状から、現在の病状そして、それに対する適切な治療法について簡単にチェックできる表です。コメント欄にリンクを添付しておきますのでご活用下さい。
神経は残せるか否か?根管治療は必要か? (miyazaki-dentalclinic.com)
このような症例ではいたずらに「治療時期を遅らせる」ことで、むし歯はさらに感染拡大・進行し、その後に行う治療では、さらに歯の内部を削る量が多くなるばかりでなく、歯を支えている骨にまで悪影響を及ぼします。
「歯の神経を残したい、取りたくない」とする希望・不安の裏には「歯の神経を取ると、歯が脆く弱くなる」という間違った解釈があるからではないでしょうか?
でも、その「弱くなる、脆くなる」ってどの程度でしょうか?
本当のことでしょうか?
脆く弱くするには、他の原因があるのではないでしょうか?
ここに3つの論文があります。
① 根管治療歯と生活歯の含水率の違いは2%以下
(Papa et al Endod Dent Traumatol 1994)
② 根管治療歯と生活歯の生物学的特性の変化は殆どない
(Sedgely and Messer J Endod 1992)
③ 根管治療を行っても、剛性の低下は5%であったが、辺縁隆線を超えて形成を行うと、64%の剛性が低下する(Reeh and Messer JOE 1989)
①と②の論文は、根管治療をしても、歯は脆くならないことを証明する論文です。
根管治療をしても、皆さんが想像するほど、歯は脆くも弱くもなりません。ご安心下さい。
但し、③の論文はその逆。歯が脆くなることを証明する論文です。
その内容は、根管治療の際に「削られた歯の部位」によっては、歯は脆くなることがあることを示しています。
https://miyazaki-dentalclinic.com/26959
その部位は写真の赤矢印部分「辺縁隆線」です。
この部分にむし歯があれば削らざる得ません。
もう少し分かり易くお話しすると
歯の神経を取る事で、約2~5%、少しだけ弱くなりますが、おそらく皆さんが想像しているほどは脆く弱くはならないということです。
「削り方」「むし歯の削る量」によって、歯の脆く弱くなる程度は、大きく影響を受ける!ということになります。
つまりは、怖がっている時間は、感染拡大の時間であり、無駄であるといことになります。
これ以上の感染を拡げないためにも早々の根管治療が必要です。
そして何よりも、今ある痛みを改善できること、これが一番大切なこと。
痛みのある中では、冷静に考えることなどできません。
歯の神経を残すことも大切ですが、たとえ歯の神経を失ったとしても、その後の、根管治療を適切に行う事がとてもとても大切です。
早期に治療すれば、歯は永く長く使用できるのです。
そのためには、早期発見・早期治療。ラバーダム+マイクロスコープが不可欠といえるでしょう。
今後も皆さんから頂いたご質問に回答させて頂く動画を配信します。
ぜひチャンネル登録して頂ければ嬉しいです!
ご質問はぜひコメント欄にお願いします!
その内容は可能な限り詳細に!
皆さんの歯が健康になること!これがこのチャンネルの願いです!
今回も最後までご覧頂きましてありがとうございました!
この動画の内容は私個人の見解です。歯科医師によって考え方は様々でしょう!
素晴らしい先生、全国に沢山いらっしゃいます。
詳しくは最寄りの歯科医院でぜひご相談下さい!
それではまた次回の動画でお逢いしましょう!