かぶせもの(クラウン)が土台(メタルコア)ごと外れてしまい当院を受診された患者様の根管治療(根っこの治療、神経の治療、歯内療法)のやり直しについてです。
上写真は、術前のレントゲン写真とラバーダムを装着した根管内のマイクロスコープ画像です。本症例であるの患歯となる「上顎第1大臼歯(上の奥から2番目、奥歯)」には、歯の内部に神経の存在するスペース(=根管といいます)が3~4つあります。
3つは肉眼でも見つけることはできるため、肉眼での治療も可能ですが、4つ目は80ミクロン以下であることが多く、肉眼では見つけることが難しいといえるでしょう。
そのため、当院ではCT撮影を行い、レントゲンでは見ることのできない立体画像を用いて診査を行いました。
上画像は、当院で撮影したCT画像です。
上下段ともに横から見た際はひとつの根管(赤線 1本)
ですが、前からみた断層画像(上下段右側)では2つの根管(2本の赤線)が認められます。
つまり、赤矢印部分の根管治療が為されていないことがわかります。このような診査・診断は、肉眼では非常に難しいといえるでしょう。
見えない根管をマイクロスコープで見つけ、慎重に治療した状態が上画像です。ここでさらに重要になるのが、赤線部分。2つの根管が線状に癒合している部分が認められます。このような微細な隙間にも「細菌」は感染するため、徹底的に取り去る必要があります。(このような癒合部を”イスムス”といいます)
イスムスをマイクロスコープと超音波チップを用いて除去する実際はこちらをご参照ください。
根管治療に限らず、むし歯治療には「拡大視野」で臨むことが大切です。
当院ではマイクロスコープを使用した徹底した歯科治療で、やり直しのない歯科治療・一生に一度の歯科治療を目指します。