日別アーカイブ: 2019年5月25日

メール 問い合わせ 神経残したい 親知らず むし歯

親知らずが横から生えてきたことで、手前の歯が深いむし歯になり、神経の治療が必要と云われた患者様からのご相談メールです。

当院には類似した内容で、ご来院される患者様が多数いらっしゃいます。
皆さまのお悩みのお一助になれば幸いです。ぜひご一読、ご参考ください。


ご相談内容

先ほどはお電話でのご丁寧な対応をありがとうございました。X線写真を別メールでお送りします。
【症状】本人は2日前に強い痛みを感じていましたが今は落ち着いています。本人はまだ神経が生きているといっています。
【診療状況】他医院でX線を撮っていただき、左上奥歯の親知らずと接触している部分に大きな虫歯があると説明がありました。CTも見せていただきましたが、奥歯の4分の1ぐらい?が虫歯になっているとのことでした。
【治療法の説明】治療方法の説明を総合すると下記のような説明でした。
・奥歯を抜いてインプラント、または親知らずを移植。あるいは、
・奥歯の神経を抜く、または神経が死ぬのを待つ
・奥歯を抜く(かみ合わせによっては当分そのままいける)
・親知らずが出てくるのをまつ
・親知らずを部分矯正、または全体を矯正
【ご相談】奥歯の神経や歯をできるだけ残せないでしょうか。また、将来のために親知らずは残せるものでしょうか(歯内療法は歯の内側から治療すると理解しています)。
よろしくお願いします。

はじめまして。宮崎歯科医院の宮崎と申します。まずは詳細なる病状・前医の診断のご説明のメールをありがとうございました。また、レントゲン写真の添付送付、拝受し拝見致しました。

実際に拝見しておりません。そのため、適切な回答とならない場合もございます。その点ご理解とご了承頂いた上で以下の回答をご参考くださいます様お願い申し上げます。

本メールに頂きましたレントゲンに矢印を添付致しました。その画像(下模式図)を見ながらお読みいただければ理解が深まるかと存じます。

 

親知らずが横からはえてきて手前の歯が深いむし歯 根管治療神経の治療が必要と云われた 神経残したい 都内港区内幸町新橋虎ノ門日比谷霞ヶ関歯科歯医者日比谷 マイクロスコープ

回答させて頂きます。

レントゲン写真より、青矢印部に親知らずが接触し、その先に大きなむし歯が認められます。赤色の部分が歯の神経(=歯髄)でむし歯が近くまで進行していることが分かります。

歯の神経(歯髄)を残す・取らない・根管治療しない 東京都内内幸町西新橋虎ノ門霞ヶ関神谷町日比谷有楽町の歯科歯医者 マイクロスコープが必要
むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。

https://miyazaki-dentalclinic.com/19505

その細菌により歯が溶かされると歯は軟らかくなるため、レントゲン上では黒く写ります。
https://miyazaki-dentalclinic.com/3169
(レントゲンでは硬いものが白く、やわらかいものが黒く写ります。歯が黒く写っているということはむし歯が疑われます)

レントゲンでは、むし歯は神経にギリギリ到達していないように見えますが、このような症例の場合、細菌はすでに神経に達しており、感染していることがしばしば認められます。それについては以下のリンクに組織学的に説明しております、ご参照ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/19490

奥歯のむし歯は、神経に達しており、歯髄炎あるいは歯髄壊死を起こしている状態といえるでしょう。
その根拠として、黄色の矢印部に黒い部分が認められます。
これを根尖病変といいます。根尖病変は、神経内に感染が認められる場合にしばしば認められる所見です。
根尖病変について⇒https://miyazaki-dentalclinic.com/19617

マイクロスコープ 根管治療根っこ神経の治療 精密歯科治療 神経を残す治療 東京都内港区千代田区新橋虎ノ門内幸町霞ヶ関日比谷神谷町銀座 歯科歯医者根尖病変がある場合は、根管治療(歯の内部の細菌感染を取り除くこと)が適切な治療法となります。

当院の根管治療の実際についてはこちらをご参照ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/23892

この度のむし歯については、根管治療が第一であり、その治療の際、神経が残せる状態にあるのであれば、神経を残す治療に切り替えるという治療法となるでしょう。
神経を残す治療について⇒https://miyazaki-dentalclinic.com/23900

しかし、根管治療の際に、2つの問題点が生じます。
①親知らずの存在。
②むし歯となっている歯の生えている方向。

①について
根管治療の際には、ラバーダムを装着しますが、そのラバーダムの装着が親知らずで邪魔されます。
ラバーダムについてはこちらをご参照ください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/17703

②について
むし歯となっている歯は、喉(のど)の方向、つまり奥に向かって生えています。非常に見づらく、器具の到達が困難なようにレントゲンからは推察されます。(実際に拝見しておりませんので推察の域をでません)

そのため、この歯を根管治療で残すならば、親知らずの抜歯が必要となるでしょう。
そのためには、CTで確認する必要があります。
当院にご来院頂いた場合は、当院で新たにCTを撮影し診断致します。※当院へCTデータをご持参頂く場合もございましたが、画像が不鮮明であるため、現在は他院でのデータ持ち込みはお断わりさせて頂いております。
CTについて⇒https://miyazaki-dentalclinic.com/17776

上記①②のため、根管治療が不可能であれば、これ以上の感染拡大を予防すべく、抜歯が適切な治療法といえるでしょう。その際は、親知らずを抜かずに移植や矯正による移動が考えられます。

頂いたメールおよび頂いたレントゲンからの当院の推断は以下の通りです。

・むし歯の歯は、感染が神経に至っている可能性が高く、根管治療を前提に治療に臨むべきであろうと推察される。
・その際、親知らずは治療の妨げとなる場合があるためあらかじめ抜歯が必要となる可能性がある。
・根管治療の際、もし神経の炎症が軽微なものであれば、神経を残す治療も可能性としてはあるが非常に少ないであろう。
・根管治療ができない状態である場合、これ以上の感染拡大を予防すべく、抜歯が適切な治療法となるだろう。
・その際は、親知らずの状況によるが、抜歯せず、矯正や移植などの再利用治療が可能性として考えられる。

実際に拝見していなことより、上記は推察の域をでません。また治療に際して、治療を受ける患者様が、どの程度お口を開いていられるか(時間、開口量など)の因子も治療の成否、治療方法の選択に関わってきます。

他ご送付いただいレントゲン写真を拝見すると、歯の治療をあまりご経験されていないご様子がレントゲン写真より推察されます。

大変ご心配でしょう。何もない歯を抜歯するのであれば、心配極まりないでしょう。しかし、現在の歯科医学をもってしても治療が不可能なのであれば、これ以上の感染拡大をさせない治療法をご選択することは、たとえそれが抜歯だとしても、それは適切な治療です。抜歯をしたとしても、大丈夫。適切に対応すれば問題ありません。

抜歯後についてどうなるのか?などの心配がなくなれば、今ある可能性のある治療法を前向きに選択できるかもしれません。

患者様のご参考になる回答となっていれば幸いです。よろしくお願い致します。(宮崎)

(当院の初診の流れ)
当院にお越しの患者様は必ずご一読くださいます様お願い申し上げます。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22254

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