ここに3つの論文があります。
① 根管治療歯と生活歯の含水率の違いは2%以下
(Papa et al Endod Dent Traumatol 1994)
② 根管治療歯と生活歯の生物学的特性の変化は殆どない
(Sedgely and Messer J Endod 1992)
③ 根管治療を行っても、剛性の低下は5%であったが、辺縁隆線を超えて形成を行うと、64%の剛性が低下する(Reeh and Messer JOE 1989)
①と②の論文は、根管治療をしても、歯は脆くならないことを証明する論文です。
根管治療をしても、歯は弱くも脆くもなりません。ご安心下さい。
但し、③の論文はその逆。歯が脆くなることを証明する論文です。
その内容は、根管治療の際に「削られた歯の部位」によっては、歯は脆くなることがあることを示しています。その部位は「辺縁隆線」。写真の赤矢印部分です。
むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。この「辺縁隆線」部にむし歯があれば削らざる得ません。
その際は当院でも「歯が脆くなる可能性」をご説明させて頂きつつ、そうなっても問題が大きくならない治療法を加えてご説明いたします。
根管治療をした歯がすべて脆くなるわけではありません。
根管治療をした歯がすべて差し歯になるわけでもありません。
その病状によって最小限の切削治療が可能なのです。
上の論文から分かる事は、
根管治療したから歯が脆くなる訳ではないこと。
根管治療したことにより、歯を失う「量」に比例して、歯が弱く脆くなること。
つまりは、早期に治療して、できるだけむし歯が拡がるのを防ぎつつ、最小限に削り根管治療を行えば、弱く脆くならない!ということが分かります!
その対策法は、以下の「根管治療後、どう治す?」でまとめました。ぜひご一読下さい!
歯が脆く弱くならないようにするためには、早期発見・早期治療。+マイクロスコープが不可欠といえるでしょう。