日別アーカイブ: 2020年7月24日

神経を抜いた取った歯、根管治療後の歯の寿命?

ここに3つの論文があります。

① 根管治療歯と生活歯の含水率の違いは2%以下
(Papa et al Endod Dent Traumatol 1994)

② 根管治療歯と生活歯の生物学的特性の変化は殆どない
(Sedgely and Messer J Endod 1992)

③ 根管治療を行っても、剛性の低下は5%であったが、辺縁隆線を超えて形成を行うと、64%の剛性が低下する(Reeh and Messer JOE 1989)

①と②の論文は、根管治療をしても、歯は脆くならないことを証明する論文です。
根管治療をしても、歯は弱くも脆くもなりません。ご安心下さい。

但し、③の論文はその逆。歯が脆くなることを証明する論文です。

その内容は、根管治療の際に「削られた歯の部位」によっては、歯は脆くなることがあることを示しています。その部位は「辺縁隆線」。写真の赤矢印部分です。

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。この「辺縁隆線」部にむし歯があれば削らざる得ません。


その際は当院でも「歯が脆くなる可能性」をご説明させて頂きつつ、そうなっても問題が大きくならない治療法を加えてご説明いたします。

根管治療をした歯がすべて脆くなるわけではありません。
根管治療をした歯がすべて差し歯になるわけでもありません。
その病状によって最小限の切削治療が可能なのです。

上の論文から分かる事は、
根管治療したから歯が脆くなる訳ではないこと。
根管治療したことにより、歯を失う「量」に比例して、歯が弱く脆くなること。
つまりは、早期に治療して、できるだけむし歯が拡がるのを防ぎつつ、最小限に削り根管治療を行えば、弱く脆くならない!ということが分かります!

その対策法は、以下の「根管治療後、どう治す?」でまとめました。ぜひご一読下さい!

歯が脆く弱くならないようにするためには、早期発見・早期治療。+マイクロスコープが不可欠といえるでしょう。

根管治療後どうやって治す どうかぶせる 

宮﨑歯科医院 Youtubeチャンネル

 

歯にヒビ、折れた 抜歯?抜かないで残したい!

この動画は、他院にて根管治療を行うも、その治療の最中に「歯にヒビが入っている」ということから治療は中断。抜歯を宣告された患者様についてです。

これに対して、当院では術前にCTを撮影しつつ、歯周基本検査により歯根の先端にまでヒビが及んでいない可能性を診査、仮診断を下したうえで、ラバーダムとマイクロスコープを活用し、再根管治療に臨んでいます。

前医治療中、歯にヒビが入っている説明を受け、抜歯を宣告されているものの、患者様はその様子を実際に目で見て確認はされていない!?とのことでした。

当院では、治療中の様子を動画で記録。ヒビが途中でストップしていることを確認した上で、根管治療に臨んでいます。

抜歯は最終手段です。

抜歯するならば、ぜひ患者様ご自身の目で確認した上で、抜歯をご決断頂きたいと思っております。

そのためにはマイクロスコープの活用が便利です。

その治療の様子を、上の動画でご覧頂けます。ぜひご活用下さい!

また、抜歯には明確な「診断基準」がございます。
患者さまにも分かるようにご説明しているリンクを以下に添付します。ぜひご活用下さい!

抜歯基準 なぜ抜歯するのか なぜ抜歯が必要か?

宮﨑歯科医院 Youtubeチャンネル

 

 

 

1回で根管治療を終了させるのは歯の中の衛生的な点で大丈夫なのでしょうか?

 

1回で根管治療を終了させるのは歯の中の衛生的な点で大丈夫なのでしょうか?

無知で申し訳ないです。

コメントありがとうございます。

皆さんが疑問に思う大変意義あるご質問を有難うございます!55

ご説明させて頂きます。

よろしくお願い致します。

根管治療は、歯の神経にまで達した際のむし歯治療を云います。

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。

歯を溶かしながら歯の内部へと感染を拡げていくのがむし歯です。

むし歯治療は「歯の内部に感染した細菌を駆除すること」です。

歯の内部には神経があり、その神経のあるスペースを「根管」といいます。

根管は煙突状の構造をしており、その数は奥歯に行くほど増えていきます。

前歯で1本、小臼歯で1~2本、大臼歯で2~4本です。

その根管内部に感染した細菌を取り除くのが根管治療です。

いわば煙突掃除といえるでしょう。

煙突内壁にこびりついたスス(細菌)を洗浄消毒するのが根管治療です。

従来の保険治療における根管治療では、この根管内に薬剤を塗布して根管内部の細菌を滅菌消毒します。根管上部に薬剤を置くことで、その薬剤が気化し、根管内部に浸潤し、歯の神経を殺しつつ、内部の細菌を消毒します。

この方法では根管治療時に最小限の麻酔(もしくは無麻酔)で短時間で治療を終了することのできる利点があります。

根管治療のポイントは、治療中に、治療している歯に唾液が侵入しないようにすることがとても大切です。この方法ならば、薬剤を手際よく交換するだけなので短時間で行えます。

ただし、肉眼と経験に頼った治療であることから実際に根管内部の感染が取り除けているのか否か?を判定することが出来ません。また薬剤の効果を待たなくてはいけないことから、長期間・多数回の治療が必要となるのもデメリットといえるでしょう。

このようにして、多くの患者様をできるだけご負担なく治療を進めているのが従来の保険治療における根管治療です。

ここでお見せした動画はこの方法とは一線を画した根管治療法です。

大きな違いは以下の2点です。

ラバーダムを使用することで、治療中の感染予防を徹底していること。

マイクロスコープを使用することで、根管内のむし歯を精査。徹底除去が簡単に行える。

これにより、複数回必要であった根管治療を少ない回数で終了することが可能です。

確かに、根管内に残留した細菌、象牙細管内に残留した細菌の可能性は否めません。

そのような症例では、複数回の根管治療が必要となりますが、当院では3回程で終了しております。

従来のラバーダムを装着しない肉眼に頼った根管治療では、長期間・複数回の治療を行うことで、それだけ唾液接触による感染機会を多く与えかねません。

歯の衛生的にも優れた根管治療法が、ラバーダムとマイクロスコープを活用した根管治療法、この動画の術式といえるでしょう!

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